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1990年代'' YAMAHA 楽器・機材【Vol.〇〇】

【Vol.148】YAMAHA QY20 ~大型グラフィック液晶採用のポケット・シーケンサー[1992年]

2018/11/25

 

 

 今回ご紹介する機材はヤマハのQY20というポケット・シーケンサーです。発売は1992年で当時の定価は59,000円。
 
 以前本ブログでも紹介した同社の「QY10」(1990年)の後継機種ですね。ポケット・サイズというよりかは(当時の)VHSビデオカセット・サイズでした。ベストセラー機・QY10を大幅にバージョンアップしたオールインワン・シーケンサーといったところです。

 

YAMAHA QY20


 
 関連記事:「YAMAHA QY10 ~ベストセラー・ハンディ作曲マシン[1990年頃]
 
 
 

QY20の特徴は?

 QY10のメリットを受け継ぎつつも大幅な改良がなされています。前作同様、シーケンサー、音源、ミニ鍵盤、リズムマシンなどを内蔵しており、もちろん乾電池で動く手軽さも失っていません。以下、QY10との比較を交え説明してみましょう。まずは見た目の違いから。
 
 
 

大型グラフィック液晶ディスプレイ採用

 128×64ドット(21文字×8行)のグラフィック・ディスプレイを搭載しています。QY10では「16文字×1行」という狭い表示領域だったのが、いきなり大画面へと変貌を遂げました。大型ディスプレイのフルドット表示が可能になったことにより、のちのQYシリーズに受け継がれていく「ミキサー画面表示」も初登場しています。
 
 
 

2オクターブの鍵盤パッドを搭載

 QY10では1オクターブ(13鍵盤)だったパッドが、QY20では2オクターブ(25鍵盤)と倍増しています。QY10ではできなかった和音入力もできるようになっており、そもそもコード自体もパッドを押すだけで入力できる親切設計となっています。ちなみに音域自体は11オクターブまでカバーしています。
 
 
 

厚みも(ちょい)アップ!

 QY20の厚み(高さ)は37mmとなっていて、QY10よりも12mmほど分厚くなっています。これにより本体重量も300→400g(乾電池除く)に増えています。
 

YAMAHA QY20(advertisement)
QY20/ヤマハ(株) 雑誌広告より画像引用

 
 
 

シーケンサー部は?

 通常のシーケンス・トラックが4つと、「パターン」を演奏するためのトラックが4つ用意されています(→コード1/コード2/ベース/ドラム)。なお入力モードはステップ/リアルタイムに対応。
 
 
 プリセット・パターンは、様々な音楽ジャンルを網羅した100パターンを搭載しており、さらに6セクション(イントロ、ノーマル、バリエーション、フィル1、フィル2、エンディング)が用意されています。それらを自由に組み合わせコードを決めることにより、簡単に曲(らしきもの)の形にすることができます。ちなみに最大同時発音数は28音であり、ここはQY10と変わってませんね。
 
 
 

音源部は?

 AWM音源による通常音色の100に加え、ドラム音色も100(8キット)内蔵されています。内蔵波形メモリーの総量としては、QY10の約4倍に相当します。
 
 
 内蔵音色は今聴くとチープさを感じさせますが、一通りの楽器(ピアノ、ストリングス、ブラス、ギター、ベース等)を収録しており、「とりあえずこれ1台でラフなデモを完成させる」という用途だったら十分だったと思います。それにしてもこの頃のエレキギターの音色はフェイク臭がぷんぷんしますね(笑)
 
 
 なお音源部としては「GMシステムレベル1」に対応しています。よって音色のラインナップも「当時のごくスタンダードなもの」といった感じですね。

 

 

 

外部記録メディアは?

 QY10同様本体内のみ記録可能で、最大保存曲数は20曲まで(QY10は8曲まで)となっています。曲データはMIDIを通してバルク送信(→MIDIエクスクルーシブ・バルク・ダンプ)し、送信先の外部記録メディアにてフロッピーディスクに保存することができました。なおQY10のバルク・データはQY20で読めますが、その逆は不可能となっています。
 

 なお純正ACアダプタは「PA3」です(※PA3Cではないので注意!)。生産終了となっているPA4でもOKです。
 
 
 

個人的かんそう

 QY10からの正統進化といった感じであり、さらにのちのQYシリーズの操作性の基礎となる部分も確立したという印象です。操作性でやや難が見られたQY10の弱点をうまくカバーしていると思います。
 
 
 機能が大幅アップしたことにより、本体も若干厚く(重く)なってはいるのですが、手にした時のサイズ感はほぼ同じだし、“コンパクトさ・手軽さ”という面では許容範囲内の変化にとどめていると思います。また本機では、液晶が大きくなったことにより電池の駆動時間も若干短くなっているのですが(→アルカリ電池で約11時間)、まあこれも許せる範囲でしょう。
 
 
 
 関連記事(ヤマハQYシリーズ):
 「YAMAHA QY10 ~ベストセラー・ハンディ作曲マシン[1990年頃]
 「YAMAHA QY22 ~クイック・コンポーザーQY20がGMフル対応に![1995年]
 「YAMAHA QY100 ~ギタリスト向けに作られた最後のQY [2000~2014年]
 

仕様
■音源方式:AWM音源
■最大同時発音数:28音
■マルチ・ティンバー数:16(DVA付き)
■プリセット音色:ノーマル100+ドラム100(8ドラムキット)
■プリセットパターン:100パターン×6セクション(イントロ、ノーマル、バリエーション、フィル1、フィル2、エンディング)
■トラック構成:シーケンサー・トラック×4、バッキング・トラック×1、パターン・トラック×4(コード1、コード2、ベース、リズム)
■記録容量:20ソング、約28,000音
■ディスプレイ:128×64ドット(21文字×8行)グラフィックLCD
■入力用ミニ鍵盤数:25 ※コード入力可能
■外形寸法:188(W)×37(H)×104(D)mm
■重量:0.4kg(乾電池除く)
■発売当時の価格:59,000円
■発売開始年:1992年

 

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