【書籍】『Let's!めちゃ弾け☆キーボーディスト』(リットーミュージック発行)
2018/11/25
今回ご紹介する本(ムック)は、『Let's!めちゃ弾け☆キーボーディスト 今日から始めてぐんぐんうまくなる!(CD付き)』(リットーミュージック発行)です。初版は2007年12月。
若干昔の本ですが、キーボーディストが押さえるべきポイントは10年前も今もさほど変わっていないので、基礎を学ぶには十分今でも通用します。
これは既にギタリスト向けやベーシスト向けに刊行されていた「Let’s!めちゃ弾け」シリーズのキーボード編ですね。内容は、キーボードマガジン2006年8月号から約2年間連載された、『ビギナーのための初級講座 キーボード学園』コーナーの内容が元になっています。
本書の特徴は?
書き下ろしの部分は少なく、当時のキーボードマガジンからの記事の流用がほとんどです。とはいえ、『「ピアノは弾けるけどキーボードは初めて」のビギナーに役立つノウハウが満載!』というキャッチコピーの通り、初心者にとって役立つ情報を凝縮・再編集しており、これ一冊で基本的な部分はほぼ網羅できるといっていいかもしれません。
まずはシンセサイザーの選び方やその仕組みを解説するところから始まっているのもいいですね。以下、コンテンツを確認してみましょう。
■PART1 キーボーディストになろう編
・はじめてのシンセはスタイルで選ぶ
・博士と覚えるシンセ基礎知識
・バッキングはリズムから! ジャンル別必須パターン20
・目指せ! オールラウンド・キーボーディスト
■PART2 ステップアップを図ろう編
・定番アプローチで鍛える! フィンガリング・テクニック
・ドリル式 耳コピ練習帳
・ABCのナゾを解く! コード虎の巻
■PART3 ライブを目指してスキルアップ編
・10日間集中グルーブ・トレーニング
・ライブやろうぜ
■SCORE
・東京事変「キラーチューン」
・Janne Da Arc「メビウス」
・ORANGE RANGE「花」
コードの基礎から、楽器別・ジャンル別の代表的な奏法なども網羅しています。キーボード(オルガン、エレピ、シンセ等)はピアノとは演奏法が異なることもあり、そういったプレイのテクニックをレベルアップさせるトレーニング集も用意してあって親切ですね。
さらにバンド活動をやっていく上で押さえておきたいリハーサル・スタジオの使い方や、ライブまでの道のりなども書かれているので、「キーボードを始めたい」、「バンドをやりたい」という初心者に寄り添った内容になっていると思います。
なおシンセサイザー特有の音作りに関しての説明は、基礎部分は説明されていますが、よりディープな内容を求める場合は専門の書籍も購入することをお勧めします。個人的所感ですが、本書は「プレイヤー(弾きたい人)」を主軸とした内容作りになっているといっていいでしょう。
まとめ的な
繰り返しになりますが、本書の初版は2007年であり、紹介されている機材(→当時の最新機種)だけを見れば、若干の古さを感じるかもしれません。しかし、ピアノ、ローズ、ウーリッツァー、クラビネット、オルガンなどはおそらくこの先何十年も定番楽器であり続けるだろうし、それら楽器の基礎演奏法を網羅している本というのは、今どきの書籍でもそれほど多くはありません。
キーボーディストのスタイルも近年多様化が進んでいますが、「弾きたい」というプレーヤー志向の入門者には間違いなくお勧めですよ。古本で安く手に入れやすくなっていますしね。