FATAR(ファタール) ~信頼の鍵盤メーカー
2018/11/23
突然ですが、「FATAR」というブランド、聞いたことがないですか? キーボードに詳しい方なら「あーstudiologicとかね。」と頷かれるかもしれません。僕の知っている範囲で恐縮ですが、ちょっと色々書いてみましょう。
FATAR(ファタール)とは
イタリアにある “電子キーボードの鍵盤部分”を専門に製造しているメーカー(ブランド)です。
パソコンを自作した人とかは分かると思いますが、(パソコンの)各パーツは色々なメーカーから発売されています。CPUだったら○○社製、マザーボードは△△社製で、光学式ドライブだと□□社製がいい。。みたいな。
電子キーボードも、内部の音源部、制御マイコン部、鍵盤部など、複数のメーカーのパーツが組み込まれていることが多いです。そして電子キーボードのコントローラーとして非常に重要な「鍵盤部」にも、専門の鍵盤製造メーカーが、各社電子キーボードメーカーに供給していることもあります。
FATARは電子キーボードが80年代頃から普及するにあたり、そのタッチや弾き心地などの “演奏性”に着目し追求し続けている鍵盤製造メーカーです。実際、Clavia(NORD)のnordシリーズやACCESS Virusシリーズなどに鍵盤を供給し、高い評価を得ています(※ただし上記メーカーの全ての製品がFATAR製鍵盤ということではない)。
日本の電子キーボードメーカーではFATAR製鍵盤を採用してるの?
かつてはヤマハやローランドでもFATAR製を多く採用していた時期もありましたが、近年では自社開発を進め、国内自社ブランドでほとんどのパーツを組み上げているモデルが多いですね。ただし、そういった自社鍵盤開発の元になったのは、FATAR製鍵盤の技術が根底にあったことは想像に難くないです。
FATARといえば
個人的には、“本格的なハンマーアクション機構のピアノタッチ鍵盤”が弾きやすく、断然僕の好みです。実際、多くのキーボード製造メーカーからも採用されているように高い評価を受けていますが、一般のシンセサイザー向けの軽いタッチの鍵盤も安定した作りになっています。以下、FATAR本国のHPから代表的なモデルをちょっと画像引用させて頂きました。
HP/40 WOOD
ラインナップ中最上位のモデルであり、型名を見ての通りこれは木製鍵盤となっています。88鍵の本格ピアノ・タッチの高級機に採用されています。
関連記事:「そもそも木製鍵盤のどういったところがよいのかを調べてみた」
HP/400
76鍵と88鍵があり、こちらも最高級のモデルとなっています。木製鍵盤ではないですが、新たにデザインしたハンマーおよび(戻り用の)バネが、リアルなアコースティック・ピアノの演奏性を再現しているとのことです。
ちょっと余談
特に90年代の国内の(割と安価な)電子キーボードって、鍵盤を強く押し込んだ時に「どちらか片側に沈む(ゆがむ)」なんてこともありました。鍵盤根本の固定が甘いのか、鍵盤自体の素材が粗末なのか。。
これら鍵盤部の大半は中国系のメーカー製であり、コストカットの代償といえるかもしれません。演奏性があまり重視されないDTM用鍵盤とか、ダンス/フロアミュージック向けシンセサイザーでたまに見かけた記憶があります。
まとめ的な
そのFATARが90年代後半に立ち上げたのが「studiologic(スタジオロジック)」というキーボードブランドであり、同ブランドの「Numa」というシリーズにて、ピアノ、オルガン、シンセなどを出しています。もちろん採用されている鍵盤は全てFATAR製。もし現物を触る機会があれば、ぜひ実際にそのタッチを実感してみてください。