キーボーディストの守備範囲とは?(後編)
2018/12/08
前回の記事「キーボーディストの守備範囲とは?(前編)」でキーボーディストの守備範囲について触れましたが、逆に「キーボーディストが安易に出さない方がよい音」について書いてみたいと思います。
特にシンセは様々な音色が入っていて万能に思われがちだけど、バンド・アンサンブルとして、他パートの人がやった方がしっくりくるケースがあります。パート別に例を挙げてみましょう。
シンセでギター音
今どきのシンセには大抵色々なギター音が入っています。アコギ系、クリーン系、歪み系などなど。例えば「キーボードが入っていない曲のコピーで、2ndギターをシンセで担当する」というのも無くはないですが、一昔前のカラオケのエレキギターっぽい音になってしまいがちです。何より、ギタリストに嫌がられます。
シンセでエレキギターを再現したいという志を持っている方は、ぜひ中途半端にやらず、コントローラー(ピッチベンド等)やエフェクターを研究し徹底的にやってみてください。
ちなみに、(ショルダー)キーボードでギターサウンドを極めたヤン・ハマー(JAN HAMMER)という有名なキーボーディストがいます。以下はジェフ・ベックとライブ共演(セッション)している貴重な映像。
耳で聴こえてくる分には、ギター音とシンセ音の区別が非常につきにくい感じですね。。フレージングまでギターっぽく寄せてあります。興味のある方はほかにも動画を探してみてください。
関連記事:「Lync LN-4/Jan Hammer SIGNATURE EDITION ~ヤン・ハマー・モデル[1988年]」
シンセでベース音
ここで言及したいのは「シンセベース」です。シンセベースはもちろんシンセで鳴らせますが、エレクトリック・ベース向けエフェクターにもシンセ的な効果にするものが存在します。ベースさんを育てるためにも、そういったエフェクターの存在を伝え、やってもらった方がいいケースもあるかもしれません。そもそも通常のバンド編成において、シンセでベース音色(ベース音域)の音を出すと嫌がるベーシストさんも少なからず居ます。
もちろん、『自前のminimoogで弾くベースシンセ・ソロだけは絶対に譲れない!』という生粋のシンセシストさんは、どうぞやっちゃって下さい(笑)
リズム楽器をシンセで手弾き
CD音源には、現実的に再現不可能なドラムパターンが収録されていることがあります。またシンセドラムを生ドラムにかぶせてある曲なんかもあります。これらもドラマーと相談することなしに勝手に加えたりすると、やっぱり嫌がられることが多いです。
ドラマーさんは『ビートに関しては俺が全責任を持つ!』というプライドを持ってる人が多いので、中途半端にサポートするのはやめた方がいいでしょう。ドラマーさんも必要であると感じたならば、シンセ・ドラムパッドを持ち込むなりすると思います。
追憶的な
上記例は、実際僕が試してみた体験に基づいていたりします。特に若い頃は色々と実験的なことをやって、他パートのメンバーから煙たがられたこともあったですね(遠い目)
特に付き合いの浅いメンバーとは、そういった意見の言い合いにまで人間関係が育っていない時期があります。勝手にやり続けてしまった結果、『あいつとはどうも合わないから、俺抜けるわ』なんてひっそり告げられないように気を付けましょう。