キーボーディストの守備範囲とは?(前編)
2018/11/23
バンドでサウンドを作る時、各楽器パートごとの守備範囲って意識したことありますか? 例えば「この音はドラムの人が鳴らすべき」とか、「この音はボーカルの人が担当」とか。。今回は、僕が思う “キーボーディスト(が担当する音)の守備範囲”みたいな話です。
基本的にギタリストはギターの音、ベーシストはベースの音といったように、自分のパートのみ専念していればよいと思います。ハーモニカ(ブルースハープ)はボーカリストが担当することが多いですね。またドラマーの場合は、ウィンドゥチャイムや、パーカッションも担当することがあります(独立したパーカッショニストというパートの人もいますが)。
では鍵盤奏者は?
キーボード担当者は、もちろんピアノ、エレピ、オルガンといった定番の音色(もちろんシンセ音も)を鳴らしておけば、ほとんどはカバーできると思います。でも実際は、キーボーディストは非常に守備範囲が広いと感じる時があります。
基本的にキーボードの鳴らせる音域(周波数帯域)はどの楽器よりも広く、メロディ楽器でもあればリズム楽器でもあるわけで、やろうと思えば他パートの演奏だって大抵できたりします。ほらほらシンセの中には、打楽器とかギターの音色とか、謎の効果音とかも大量に入ってますよね。
ではキーボーディストの守備範囲って?
一例ですが、以下のような音色だったらどうでしょう。個人的にはキーボーディストが担当するゾーンになると思うのですがいかがでしょうか?
【例1】生楽器系音色(擦弦楽器、管楽器など)
ストリングスとかブラスとかの生楽器は、専門パートの人がいなければ、シンセにて再現することが多いです。生ストリングスとか生トランペットとかは、シンセ一台で再現しようとすると実は非常に難しく、僕自身いまだに試行錯誤しています。
ちなみに「生ストリングス(の再現)」と「シンセ・ストリングス」は、シンセ界?ではそれぞれ独立したジャンルとして扱われることが多いですね。
【例2】SE(効果音)
ギタリストがエフェクターや特殊奏法を駆使して行うこともありますが、それだと斬新な引き出しはあまり多くないでしょう。SEは曲始まりの前とか重要な役割を担うことが多いので、例えばアナログ系シンセを持ってるキーボーディストにとっては、独特の音空間作りに一役買うことができると思います。
なお一言でSEといっても、鳥の鳴き声とか踏切の音とか、フィルターをうねうね回したりしたノイズっぽい音とか、もーほんとに色々あります。最近はあまり主流ではなくなりましたが、僕はそれら効果音をよくサンプラーに割り当てて鳴らしていました。
【例3】打ち込みデータの作成
シーケンス・データの打ち込みは、専門家(=マニュピレーター)やそれが得意な他メンバーにいればお任せしますが、居ない場合はキーボーディストが担当することが多いです。
キーボーディストは楽譜および機械に強いというイメージを持たれることが多く、また実際、シンセには打ち込みができる機種(=シーケンサー内蔵)も多いので、流れ的に担当することがままあります。
一応まとめ的な
実際どんな音が必要とされているかは現場によりますが、スタジオリハーサルの合間に「ほらこんな音も出せるんですよ」とさりげなくアピールして(笑)、メンバーのクリエイティビティを刺激してあげるなどすると、ちょっと粋なキーボーディストさんではないでしょうか。
もちろん出せる音は機種によって千差万別ですし、自分の持っている機材・アイデアの中で、引き出しを開けていけばいいと思いますよ。
さてこのお話、実は後編もあります。よろしければそちらも読んでみてください。
→「キーボーディストの守備範囲とは?(後編)」