自動演奏機能付きピアノとは一体何だ? ~ヤマハdisklavier(ディスクラビア)など
2018/11/26
今回は、自動演奏機能が付いたアコースティックピアノ(以下自動ピアノ)についてお話してみたいと思います。
鍵盤やペダルそのものが機械の力で動いて、演奏者もいないのに自動的に生で(?)演奏してくれるというようなピアノであり、ホテルのロビーとかデパートとか結婚式場とかにまれに置いてあることがあります。僕も若かりし頃友人の結婚式場で初めて目にして、大いに動揺したことを覚えています。だってまるで超常現象かポルターガイスト現象のようじゃないですか(笑)
さてこの自動ピアノなのですが、個人的に最近全くと言っていいほど見かけないんですよね。現在も販売されているのでしょうか。。
自動ピアノ、ヤマハさんが作ってます
ヤマハの「disklavier(ディスクラビア)」シリーズが2017年現在でも製造・販売されていますね。
画像引用元:ヤマハ(株)HP ‹http://jp.yamaha.com/products/musical-instruments/keyboards/grandpianos/enspire/#tab=feature›
同社の “ディスクラビア”といえば自動演奏ピアノのさきがけとして、1982年に「ピアノプレーヤ」の名で発売されたのが初出です。ちなみに “disklavier™”とは元々国外で採用されたモデル名だったらしいですよ。その後、Mark II、Mark III、PRO、E3などのシリーズを経て、現時点での最新モデルは disklavier ENSPIRE™(
自動ピアノ、あまりに見掛けないもんだからてっきり一般向けの製造・販売は終わっちゃったのかと思いきや、ちゃんと作り続けてるじゃないですかヤマハさん!
なおdisklavier ENSPIRE™の場合、全500曲もの多彩な自動演奏のピアノ曲データを内蔵しており、さらにWEB上のヤマハミュージックデータショップから購入(有料)して増やすことも可能だそうです。さらにさらに、手持ちのスマートフォンやタブレットの画面から簡単に操作を行うことができるそうですよ! うーん、すごい時代になりましたね。。
自動ピアノの作り(超ざっくり)
楽曲データの元になっているのは基本的にMIDIデータで、音符情報や打鍵の強弱、ペダリングの情報なんかを、内蔵のサーボモーターで制御し、機械的にデータを再現するという感じです。
中には、オプションとして後からこの “自動演奏ユニット”を取り付けられる機種もあるそうですね(→工事費込みで大まかに数十万円ほど)。なお前述したヤマハさんのdisklavier ENSPIRE™に関しては、製造工程にて88鍵全てにセンサーを取り付けるため、完成したピアノに後付けするような構造にはなっていないそうです。
個人的に思うところ
自動演奏ピアノというと、最初は感動的な音空間になったとしても、内蔵曲ばかりだとすぐ飽きるというのもありがちなのではないかと思います。その点ヤマハさんのように曲(正確には曲データ)をネットから追加購入できるというのはよいですね。また、一部の自動ピアノには自分の演奏を録音できる機能も付いており、客観的にタッチの強弱やタイミング等をチェックできることから、上手く使えば自身のレッスンにも有効でしょう。
でもって商業施設とかならともかく、こういった自動ピアノが一般家庭で購入検討に挙がることは少ないような気がします。実際、この手のピアノを個人で所有しているという人は僕の周りでは全く皆無だし、知り合いの知り合いで持っているという話も聞いたことがないです。単に僕の交友範囲が狭いだけかもしれませんが(汗)
これは何故なのか自分なりに考察してみるに、やはりメンテナンスがちょっと特殊だから、いざ調子が悪くなったら修理にお金と手間が掛かりそうというイメージがあるのかも。まあ同クラスの一般的なピアノに比べ、そもそもの価格もいいお値段となっているという点もあるでしょう。。
あと一部のモデルだと “音量絞りモード”というのが付いているものもあります。音量が全体的に小さくなるのでBGMとして鑑賞するには便利なのだろうけど、生ピアノは打鍵時の強弱によって音色も変わってくるし、その曲が持つ表現の意図が誤って伝わってしまう恐れがあるんじゃないかなぁ、なんて。ちょっと大げさかもだけど。。
そんなわけで、購入を検討される方にとっては僕の素人意見はさておき(笑)、専門家であるお店の人にじっくり相談してみてください。
【余談】大昔の自動ピアノについて
その昔、巻紙(ピアノロール)に記録された楽譜(孔情報)を読み取って空気の力で自動演奏するタイプのピアノが存在しました。このような空気式の自動ピアノは主に19世紀に発展し、20世紀になり蓄音機やラジオ放送が一般家庭に普及するにつれ廃れていったそうです。
浜松楽器博物館に展示されていた巻紙式自動ピアノ。以下は紙部分のアップ↓
ちなみにDTMでよく目にする「ピアノロール(画面)」は、元々は上記の巻紙(ピアノロール)に似ていることからそう呼ばれるようになったそうですよ。