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その他メーカー 楽器・機材【Vol.〇〇】

【Vol.176】NOVATION DrumStation Rack ~90年代のTR-808/TR-909クローン音源モジュール[1995年頃]

2018/11/25

 

 

 今回は取り上げる機材は、NOVATION(ノベーション)の「DrumStation Rack」というドラム音源です。ドラステですよドラステ! 1Uサイズであり発売は1995~96年頃、日本での価格は86,000円でした。
 
 前年に発売された「BassStation Rack」のデザインを継承する、Roland TR-808/TR-909のクローン機といった趣きの内容になっています。なお末尾に「Rack」とありますが、デスクトップタイプ(パッドタイプ)の製品は存在しません。

 

NOVATION DrumStation Rack

 

 

概要

 TR-808/TR-909のサウンドをリアルにシミュレートするドラム音源。(当時)新開発の 「ASM(アナログ・サウンド・モデリング)音源」を採用し、オリジナルに近いリアルな音を再現。またオリジナルのTR-808/TR-909のようにある程度の音色エディットが可能となっています。
 
 
 

音源について

 オリジナルのTR-909ではデジ/アナのハイブリッド音源(→バスドラムなどの皮モノ系はアナログ、シンバルなどの金モノ系はPCM方式)だったのですが、DrumStation Rackではそれを再現すべく、ASM音源とサンプリング音源の2つの方式を採っています。
 
 
 

音色について

 搭載音色は「Bass Drum」「Snare Drum」「Tom Tom (Hi/Mid/Low)」「Rim Shot」「Hand Clap」「Hi Hat (Open/Close)」「Cymbal (Crash/Ride)」「Conga (Hi/Mid/Low)」「Maracas」「Claves」。
 
 
 そして、それぞれにTR-808とTR-909の音色があり、ボリュームノブ横にあるDRUM KITから選択するようになっていますね。

DrumStation-Drum kit Selector

 
ちなみに、Conga、Maracas、Clavesの音色が使えるのはTR-808を選んだ時だけです。

音色のキットはプリセットが25種類、ユーザー領域が15種類となっていて、MIDI鍵盤上に作成した音色を並べることができます。
 
 
 

操作性について

 パネルに配された21個のツマミ(※ボリュームノブは除く)は、TR-808/TR-909を操作したことのある人ならば見慣れているであろうパラメーターが、各カテゴリーごとにブロック分けされています。
 
 例えばSNARE DRUMでは「TUNE」「LEVEL」「TONE」「SNAPPY」がつまみにより可変となっていて、オリジナルのようにリアルタイムのサウンド・エディットが可能になっているという感じですね。本機の一番の売りと言ってもいい部分でしょう。
 
 
 また「TOM TOMS」にはSELECTスイッチがあり、LOW/MID/HIGHの変更が可能です。同様に「HI HAT」はCLOSED/OPENが、「CYMBALS」はCRASH/RIDEの切替がパネル上のスイッチから行えます。
 
 
 なにぶん1Uなのでこれらのツマミやスイッチ類は小さく、操作しやすいとは言いにくいのですが、慣れればあまり気にならなくなる感じでしょうか。
 
 
 

入出力端子について

 メインのアウトプット(L/R)に加え、6パラ・アウト端子が装備されています。またMIDI以前のRoland製品ではおなじみのDIN SYNC端子も装備。他のMIDI機器からMIDIクロックを受信し、DIN SYNC搭載機器(TB-303、TR-808など)を同期することもできます。これができるのはなかなかグッジョブな仕様ですよね!
 
 
 なお本機の奥行は約10cmで、ラック物としては非常にスリムになっています(→その代わり電源ユニットは外付けのACアダプターになっている)

 

 

 

改変モデルについて

DrumStation Rackには、確認できるだけで2つの姉妹機(改変モデル)が存在します。
 

DrumStation Rack V2

 1997年に発表された、バージョンアップOSを搭載したモデル。ボタン/ノブの配置は同じであることからおそらくハード的な変更はないと思われます。ラインカラーがオレンジ色に変更されているのが見た目上の違い。なお本機はおそらく日本未発売だと思われます。
 
 

D-Station

NOVATION D-Station

 

 2002年発売。カラーリングが一新され、ノブ周りのパネル色がシルバーメタリックになりました。こちらも見たところボタン/ノブの配置は変わっていないように見えます。。DrumStation Rackから機能のバージョンアップが施されているのかどうかは不明です(DrumStation Rackが単に改称されただけという説も)
 
 
 

つぶやき的な

 オリジナルのTR-909同様にハイブリッド音源を採用したところなどは、なかなかのこだわりを感じさせますね。ちなみに本機には16段階でかけられるディストーションも内蔵していて、フロア向けサウンド作りを意識したユニークな機能といった感じです。
 
 
 今の時代では本機も安く手に入りますし、TR-808/TR-909のポータブルなハード音源を探している人にとっては、今から手に入れてもアリな一台かもしれませんよ。
 
 
 関連記事:「NOVATION BassStation Rack ~1Uになったベーステ[1995年]
 

仕様(DrumStation Rack)
■同時発音数:最大12ボイス  ※ただし使用するサウンドにより変化
■内蔵音色:TR-808(16音色)、TR-909(11音色)
■内蔵プログラム数:40(25プリセット、15ユーザー)
■外形寸法:489(W)×44(H)×100(D)mm
■重量:2.0kg
■発売当時の価格:86,000円(税別)
■発売開始年:1995~96年頃

 

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