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1970~80年代' Roland 楽器・機材【Vol.〇〇】

【Vol.232】Roland EP-09 ~オート・アルペジオ機能を電子ピアノとして初搭載[1980年]

2018/11/26

 

 

 今回ご紹介するキーボードは、ローランドが1980年に発売した電子ピアノ「EP-09」です。本体価格は99,800円。アンプとスピーカーが本体に内蔵されていて7.1kgという超軽量、さらに10万円を切る低価格ということで、80年代初頭における “軽量エレクトロニック・ピアノ”というジャンルでのちょっとしたムーヴメントを起こしました。では詳しく見てみましょう。

 

Roland EP-09

 

概要

 ELECTRONIC PIANO EP-09は、マイクロ・コンピューターと(当時)精密な電子回路を備えた61鍵仕様の電子ピアノ。さらに電子ピアノとしては世界で初めて「オート・アルペジオ機能」を搭載しました。スピーカー(およびアンプ)も搭載しているので、すぐに音が出せるといった感じです。
 
 
 

内蔵音色について

 音色は4種類。トーン・セレクターには、独立した「ピアノI」「ピアノII」「ハープシコードI」「ハープシコードII」のスイッチが設けられており、いわゆる同時押しによって音色を重ねることもできます。
 
 
 なおこの頃のローランドではたまに見られた同時押しテク、今日では裏ワザ的な感じで回顧されることが多いのですが、本機EP-09では当時のカタログやマニュアルではっきりと「同時押し可能」と記述されていますね。
 

Roland EP-09(advertisement)
EP-09/ローランド(株) 雑誌広告より画像引用
 
 
 

オート・アルペジオ機能について

 ド・ミ・ソなど、押さえた鍵盤を分散して演奏してくれるという機能。当時電子オルガンの分野ではたまに見られましたが、電子ピアノとしては本機にて初めて搭載されました。
 
 
 押さえたキーはUP、DOWN、もしくはUP/DOWNの3つからモード選択ができ、それぞれのモードに応じた順番で発音するという仕組みです。「RANGEスイッチ」で1・2・3オクターブのレンジ切替、「RATEスライダー」でアルペジオの間隔(速さ)を設定することが可能となっています。
 
 
 加えて「SUSTAIN」という独立したコントローラーも見受けられます。これはIとIIがあって、Iの方はいわゆるダンパー効果(減衰する音が持続する)を出すものなのですが、IIの方はアルペジオ演奏音をホールドするモードになります。鍵盤から指を離した後でもアルペジオ演奏を続けることができるといった感じですね。
 
 
 なおSUSTAINはTIMEフェーダーにて設定変更が可能。ちょっとしたリバーブ(残響音)効果を得ることができ、演奏上では重宝されたそうです。

 

 

 

キー・スプリット機能について

 本体ARPEGGIONのカテゴリー・「KYBD SPLIT」をONにすることで有効になる機能。これはアルペジオを中央のC(ド)以下の音程のみに切り替えれば、通常の演奏とアルペジオ演奏とを組み合わせて行うことができるというものでした。
 
 鍵盤左側ではオート・アルペジオでちょっとした自動演奏?を任せ、右手ではメロディが弾けるという感じですね。
 
 

Roland EP-09(advertisement)
EP-09/ローランド(株) 雑誌広告より画像引用

 
 
 

個人的かんそう

 本機の売りといえばやはり「電子ピアノとして初めてオート・アルペジオを搭載」といったところですが、“マイコン内蔵”という部分も個人的には気になりますね(笑)。当時の家庭向け “マイコン”といえばNEC PC-8001(1979年)やPC-6001(1981年)を思い出したりするのですが、“マイコン”という響きはテクノロジーの変化に敏感な当時の人にとって一つの重要なキーワードだったような気がします。
 
 関連記事:「NEC PC-6001 ~パピコン、ぱっ![1981年]
 
 
 出音はというと、まさに当時のマイコン(8ビット)のPSG音源(プログラマブル・サウンド・ジェネレーター)の響きに近いように個人的には感じました。ファミコンのPSGみたいにくっきりした感じじゃなくて、PC-6001(愛称パピコン)とかのややもやっとしたPSGな感じ。すみませんちょっとマニアックですね。。
 
 
 さて本機EP-09ですが、「電子(エレクトロニック)ピアノ」という割に実際のところは、ハンマーアクションやベロシティ・タッチも搭載していないただの61鍵キーボードと見えなくもないです。。『そんなの最後にツッコむなよ!』などと言われそうですが。
 
 
 
 関連記事(同時代の類似コンセプト・キーボード):
 「KORG LP-10 ~コルグ初の電子ピアノ、移調もできるよ![1980年]
 

仕様
■鍵盤数:61鍵
■内蔵音色:ピアノI、ピアノII、ハープシコードI、ハープシコードII
■付属品:電源コード、ペダル(DP-2)、譜面立て、ビニールカバー
■外形寸法:880(W)×115(H)×285(D)mm
■重量:7.1kg(本体)
■価格:99,800円
■発売開始年:1980年

 

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