【Vol.49】TECHNICS(テクニクス) SX-PF1 ~ネオ・ファニチャー的電子ピアノ[1999年]
2018/11/24
今回ご紹介するにはTechnicsの「SX-PF1」という電子ピアノです。発売は1999年。
これは2000年頃、友人に「電子ピアノ買おうと思ってるんだけど何がおすすめ?」と聞かれた時に僕がおすすめしたピアノとして、個人的に記憶に残っています。おそらく “デザイン重視”という注文もあったのでしょう。実際どんな感じの電子ピアノだったのでしょうか。
そもそもTechnics(テクニクス)とは?
Technicsは松下電器産業株式会社(現・パナソニック)の音響機器向けブランドとして知られ、電子ピアノ市場としては2000年頃までは、YAMAHA、KAWAIなどと並びある程度のシェアを誇っていました。
そして2000年代に入り、TechnicsブランドはほぼクラブDJ向け製品のみで存続していましたが、Technicsの全ての製品は2010年10月をもって生産終了となり、ブランドは(一旦)終息しました。
SX-PF1の外観について
特徴は何といってもそのモダンな外観。木目とナチュラルな色調の天然木化粧板が用いられており、直角的に切り取られたモダン・ファニチャー調のデザインは、文字通り “オシャレな部屋”にマッチする “モダンな家具”のような電子ピアノだったと思います。ちなみに本機は専用椅子も付属しており、これまた本体に合うようなデザインに統一されています。
鍵盤機構について
鍵盤部分はスライド式機構を採用しており、「引き出しを手前に引けば鍵盤が出てくる」という構造になっています。これは「弾きたい時だけ取っ手を引いて、弾かない時はすっきり格納」といった感じです。もちろん譜面立ても取り外し可能です。
この “格納”している時の状態のピアノに見えなさ感は特筆すべきものがあるといっていいでしょう。何かの作業台にも見えますし、小洒落た勉強机にも見えなくもないです。
音・タッチについて
「ニューダイナミック・アコースティック方式PCM音源」と、コンサートグランドピアノに限りなく近づいた「ダイナミック・アクション鍵盤」というテクニクスさん独自の技術を採用しているそうです。
内蔵音色はグランドピアノ1音のみであり、その他の電子ピアノによくある機能も大胆に省略しています。ただしMIDI端子やコンピュータ端子は装備しているので、(当時における)最低限の拡張性は備えているといえます。
その他の機能
弾かない時はBGM代わりにもなる「デモ・ピアノ曲」を14曲内蔵しています(ただし鍵盤は物理的に動かない)。
個人的つぶやき
「家具としてのピアノ」という考えは大昔からありましたが、これは現代風の部屋に合うように狙って作られた、まさに “モダン部屋用(電子)ピアノ”というべき出来だと思います。スピーカーも内蔵しているのですが、うまいこと隠してますね。
いやーこういうコンセプト機、2010年代の現在風にブラッシュ・アップして新たに投入してくるメーカーとかないですかね? 70kgはちょっと重すぎなので、35kgくらいで。
仕様
■鍵盤数:88(ダイナミック・アクション鍵盤)
■プリセット音色:1種(グランドピアノ)
■最大同時発音数:32
■機能:デジタルリバーブ、チューニング
■スピーカー:80W(40W×2) 14cm×2、6.5cm×2
■外形寸法:1521(W)×787(H)×598(D)mm ※鍵盤部開状態
1521(W)×787(H)×414(D)mm ※鍵盤部閉状態
■重量:本体71kg(譜面台含む)、椅子10kg
■付属品:譜面台、ヘッドフォン、椅子、楽譜集
■発売当時の価格:480,000円(税抜)
■発売開始年:1999年
■内蔵デモ曲:Your Tears/Awakening/Accident Will Happen/I'll Miss You/美貌の空/Guilty/Healing Hands(テクニクス・オリジナル)/ジムノペディNo.1(サティ)/夕べに(シューマン)/夢(ドビュッシー)/ワルツ・フォー・デビー(ビル・エバンス)/チルドレンズソングNo.1/チルドレンズソングNo.3(チック・コリア)/処女航海(ハービー・ハンコック)