キーボードテクニシャンって何?
2018/11/23
さて今回のお話は、担当ミュージシャンの機材ケア&メンテ等を職業とする「楽器テクニシャン」についてです。一般には「ローディー」(※1)とほぼ同義として認識されることもありますね。僕の知る範囲で恐縮ですが、ちょっと色々書いてみましょう。
お仕事内容
主に、機材選定・音作りのサポート、楽器のメンテナンス、舞台セッティングサポート、トラブル処理 、レコーディングサポートなどなど、ミュージシャンの一通りのサポートという意味で、仕事は非常に多岐に渡ります。
いわゆる大物アーティストがツアーを行う時などは、楽器専属のテクニシャンがそれぞれついていますね。ライブDVD等のクレジットでも確認できます。
よくコンサートの開演前に、スタッフらしき人がステージ上の楽器(ギター、ベース、ドラム等)の音の確認をしてますが、彼らは主にその楽器のテクニシャンです。
「うおいよいよメンバー登場か!」
と期待したらテクニシャンだった。。よくある勘違いです。
ギターやドラムほどではないですが、キーボーディストにも「キーボードテクニシャン」といった専門スタッフさんがいることもあり、前述のようにミュージシャンの様々なサポートをしています。
特にヴィンテージ機材(60~70年代製のオルガンやエレピなど)を導入している場合、演奏中に音が出なくなった時の代替えなど、ライブ中でも常に気にしていると思われます。
また、新機種が増え続ける中で、その中からいいものをチョイスして、その使い方や、メンテナンスの仕方などを憶えて行かなければいけません。
どうやったらなれるのか?
シンセや電子楽器の知識はもとより、PAの知識、電気方面の知識、体力(腕力)、運転免許(できれば大型も)、コミュニケーション力など、多くのスキルが要求されます。
近年では音楽系専門学校でも専門のコースを設置しているところがありますね。そこを卒業したからといって、必ずしも希望している職に就けるとは限りませんが。。音楽業界はいわゆるコネが非常に重要なので、人脈作りがしやすいという意味でも専門学校は有効な選択肢の一つだと思います。
実際のところ、ほとんどのコンサートツアーでは、一人で2~3人くらいのミュージシャンの楽器を担当することが多いので、主にギターやベース担当者がキーボードのメンテも兼務するケースも多いです。
だからこそ、キーボードの専門知識を備え、専門職であることをアピールできれば、キーボードテクニシャンとして希望するポジションに就ける可能性も出てくると思います。これからテクニシャンを目指す方はよく研究し、勉強を重ね、キャリアを積んでいって下さい。
徒弟制度「ボーヤ」について
ひと昔前は「ボーヤ」と呼ばれるスタッフが多くいました(今でもいますが)。これは芸人の世界でもよく “付き人”という意味で使われることが多いです。機材の運搬などの他にも、師匠の身の回りの雑用なども行いますが、いいプレイヤーのボーヤにつけば、素晴らしい演奏を常に間近で見られます。また師匠から仕事のおこぼれを頂けることもあります。
もっとも “修行”みたいな感じなので安定収入的なものはあまり期待できません。師匠から “心づけ”をもらえればまだいい方でしょう。そしてほとんどの人は、師匠のプレイを吸収し数年でやめていくことが多いです。
これぞ!というプレイヤーを見つけたら、弟子にしてもらう気概で門を叩いてもいいかもですね。おいさんもあと25年若かったらなー。若い子は色んな選択肢があっていいなー
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※1 ローディ― …楽器の手配、輸送、搬入出、セッティングといったコンサート業務や、楽器のメンテナンスおよび管理、ミュージシャンに対するサポートなどの業務を行う人々のこと。