【雑誌】『DTM magazine(DTMマガジン)』(寺島情報企画発行)
2018/11/25
今回は、90年代からDTM愛好者に向け長年情報提供をしてくれた雑誌『DTM magazine』を取り上げてみたいと思います。月刊誌(ただし2016年2月号からは隔月刊)でしたが、2016年12月号をもって紙媒体の雑誌としては休刊しました。なお動画(YouTubeチャンネル)でのコンテンツは継続されています。
出版の経緯~休刊へ
90年代に『コンピュータ・ミュージック・マガジン』(電波新聞社)という雑誌が発行されており、その編集者だった寺島明人氏を中心に分離・独立する形で制作された新雑誌が『DTMマガジン』でした。
そうして1994年6月に誕生した『DTMマガジン』創刊号(当時はBNNから発刊)ですが、当時はVol.0となっており、本格的な創刊は同年の7月号であると言えます。それ以降、様々な時代の変化に対応しつつ、DTMの月刊誌としてDTM界をけん引してきました。
2016年2月号からは隔月刊となり、同年12月号(通巻第273号)にて休刊。およそ23年間の歴史に幕を降ろしました。
余談ですが、電波新聞社といえば『マイコンBASICマガジン』(通称・ベーマガ)が個人的には真っ先に思い出されます。80年代当時、マイコン少年だった僕は、同誌に掲載されていたプログラム(BASIC)を入力してゲームしてたっけ。。
確か『コンピュータ・ミュージック・マガジン』は、元々ベーマガの別冊付録・「レッツプレイ!コンピュータ・ミュージック」として刊行され、のちに「Computer Music Magazine」として単独刊行されるに至ったと記憶しています。
内容について
誌名通り、デスクトップミュージック(DTM)をするために必要なハードウェア・ソフトウェアの紹介から、実際の作編曲のテクニックなどを専門に取り扱っていました。
特に2007年頃からブームに火が付いた「初音ミク(VOCALOID)」は積極的に取り上げ、ミク自体も何度も表紙を飾りましたね。ボーカロイドにおける楽曲制作のノウハウを一般層に広めた功績は非常に大きいと思います。実際、その当時のDTMマガジンは(号にもよりますが)発行部数も大きく伸びていたと聞きます。コンビニでも目にしたくらいです。
付録について
DTMマガジンといえば充実した付録!というイメージを持っていた人も少なくないと思います。早い時期からメディアを同梱していたのも本誌の特徴と言えるでしょう。当初は3.5インチ・フロッピー・ディスクから始まり、やがてCD-ROMになり、2000年代初頭頃からはDVD-ROMになりました。
そして近年では「データがダウンロードできる袋とじシリアルコード付き」という形に変化しました。これにより物理メディアは付属されなくなり、個人的にちょっと残念に感じたものでした。。
DTMマガジンの一部のバックナンバーは現在(2017年4月)でも手に入りますが、シリアルコードからダウンロードできるネット上のデータは、アップロード期限があるのでちょっと要注意ですね(→雑誌発売から概ね1年間と見受けられますが、詳しくは個人で確認してください)
個人的つぶやき
創刊当初(90年代中頃)はハードウェア音源全盛の時代だったので、国内の2大音源(ヤマハのXG音源とローランドのGS音源)を中心とした記事が組まれることが多く見受けられました。その後PCの高速処理化に伴い、音源はソフトウェアがトレンドとなり、オーディオ・レコーディングも取り込んだ統合的な音楽制作の時代へと移ります。
そうした時代の変化にも誌名を変えることなく「DTM」というワードを提示し続け、DTMという言葉を世の中に定着させたのは、本誌の功績によるところが大きいと感じます。
冒頭で述べたようにYouTubeチャンネルでのコンテンツは継続されているのですが、やはり紙という「どこでも気兼ねなく読める」媒体が終了してしまうのはちょっと不便でもあり寂しいものですね。。
雑誌『DTM magazine(DTMマガジン)』
■発行所:寺島情報企画
■発行期間:1994年7月号(1巻1号)~2016年12月号(23巻10号)