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その他メーカー 楽器・機材【Vol.〇〇】

【Vol.243】STUDIO ELECTRONICS MIDIMINI(MIDIMOOG) ~後編・ラック&MIDI化したMinimoog

2019/01/25

 

 

 今回は、STUDIO ELECTRONICS社(以下SE社)の「MIDIMINI(ミディミニ)」についてお話をしてみたいと思います。今なお多くのミュージシャンに愛されているシンセサイザーの名機・Minimoogの中身を4Uラックサイズに収め、MIDI機能を搭載したシンセ・モジュールといった感じの内容となっています。

 

STUDIO ELECTRONICS MIDIMINI

 

 以前本ブログでも「STUDIO ELECTRONICS MIDIMINI(MIDIMOOG) ~前編・開発の経緯など」という記事を書きましたが、今回はMIDIMINIの楽器の内容についての記事になります。『MIDIMOOGやらMIDIMINIやらよく分からんわい!』という方は是非前回の記事を読んでみてください。
 
 
 

MIDIMINI概要

 前身であるMIDIMOOGの何度かのバージョンアップを経て、MIDIMINIはオリジナルMinimoogの “model-D” 基板をコピーしたクローン回路を採用。ラック化・MIDI化という他にも、本家Minimoogにはない機能もいくつか取り入れており、単なるMinimoogのMIDIラック版という枠を超えた独特の一台になっています。1990年前後頃から長きにわたって販売され続けているラック・モジュールですね。
 
 
 なおMIDIMINIにも、製造ロットにより仕様の違いが多少なりとも存在するらしいです。Minimoogについての記事は後日(後年?)別途執筆する予定なので、今回はMinimoogとの相違点を中心に展開してみましょう。以下ご参考までに。
 
 
 

Minimoogからの追加点

 ラック化(MIDI化)にあたり、オリジナルのMinimoogでは見られなかった独自の機能も追加されています。
 

モジュレーション用LFOの追加

 オリジナルでは3つのVCOを搭載していますが、そのうち1つはLFOとして使用するというのが半ば(Minimoogにおける)暗黙の了解みたいな感じでした。LFOはモノフォニック・シンセサイザーにとって重要な音作りの要素の一つであり、せっかくの3VCOの分厚いサウンドにモジュレーションを掛けられないというジレンマを抱えるユーザーも少なくなかったのです。
 
 そこでMIDIMINIでは独立したLFOつまみを装備。なおこのLFOはVCO3とミックスすることもできます。
 
 
 

オシレーターシンク装備

 オシレーターシンクとは、一般的に2つのオシレーターの波形を強制的に同調(同期)させることで、より複雑な波形を創り出す機能のこと。まあ一般的には「過激(強烈)な音色変化」などと形容されることが多いですね。ノコギリ波のリード音色にシンクを掛けたりすると、今どきのEDMなどにも使える(かもしれない)クセの強いリード音が作れたりします。
 
 
 

ベロシティ/アフタータッチ対応

 ベロシティはアンプおよびフィルターに掛けることができます。本機をベロシティ対応のMIDI鍵盤とつなげると、鍵盤を押す強さ(速さ)により音量もしくはフィルターのカットオフ周波数をコントロールすることができるようになります。
 
 またアフタータッチでは、同じくアンプとフィルターのモジュレーション効果が得られます(→ビブラートおよびワウ)。
 
 
 

オクターブ変更対応

 オリジナルのMinimoogでは無かった3オクターブ・トランスポーズ・スイッチが装備されています。オシレーター・セクション内の「OCT H/L/M」スイッチから選択します。
 
 
 

その他

●MIDIコントロールによるポルタメントON/OFFが可能
●マルチ・トリガー、シングル・トリガーの切り替えが可能

 

 

 

個人的つぶやき

 この楽器も、僕が勤めていた楽器屋に何度か入荷され試したことがあります。今思い出したのですが、本機発売時のSE社の製品は(当時中野にあった)アンディーズ・ミュージックが国内代理店として取り扱っていたんですよね。どうりで90年代になっても店でよく見かけたはずだ(→ちなみに僕はアンディーズ・ミュージック松本店に勤めていました)。
 
 
 個体による差は多少あるかもしれないにせよ、音色はMinimoogのサウンドということでほぼ間違いないと思います。あの強烈なMimimoogサウンドがMIDIでコントロールできるということで、使い勝手の幅も大きく広がったことでしょう。
 
 
 ただCVの連続性・追従性と比較すると、MIDIだとどうしてもある程度デジタル的に処理されてしまう部分はあって、ベンドやモジュレーションなどの感覚においてはオリジナルと若干の違和感を感じることもあるかもしれません。まあ言われなければ気付かないレベルだと思うのですが。。否、それでも十分魅力的な一台に変わりないですね。
 
 
 
関連記事:
STUDIO ELECTRONICS MIDIMINI(MIDIMOOG) ~前編・開発の経緯など
STUDIO ELECTRONICS SE-1 ~“図太い”MIDI対応・モノフォニック・アナログ…
 

仕様
■最大同時発音数:1音
■オシレーター:VCO×3基(三角波、ランプ波、ノコギリ波、パルス波×3種)
■ノイズジェネレーター:1基
■フィルター:24dB/octローパス・フィルター
■エンベロープ・ジェネレーター:ADSRタイプ×2基
■LFO:1基
■入出力:外部入力×1、オーディオ出力×1
■外形寸法:482(W)×178(H)×165(D)mm
■重量:4.9kg
■発売当初の価格:498,000円(のちに改定の可能性あり)
■発売開始年:1980年代後半

 

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