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1970~80年代' Roland 楽器・機材【Vol.〇〇】

【Vol.121】Roland R-8/R-5 ~ヒューマン・リズム・コンポーザー[1989~90年]

2018/11/25

 

 

 今回紹介する機材は、1989年末にローランドから発売された「R-8」と、翌90年に発売された「R-5」の2台です。両製品には【Human Rhythm Composer】という文字が冠されていますが、分かりやすく言うとリズム・マシンのことですね。R-5はR-8のおよそ半年後に発売された、いわばR-8の廉価版モデルとなっています。
 
 

R-8の概要

Roland R-8

 
 ドラム・サンプルを贅沢にサンプリングしたPCM方式のリズム・マシン。ステレオ出力に加え8系統の独立出力を備えており、さらに音色を外部から拡張できるカード・スロット(ROM/RAM)を搭載しています。
 
 
 機能面では、ドラマーが実際に演奏しているようなリアルな演奏を可能にする「フィール・パッチ」機能を装備しているのが特徴的です(→後述します)

 

Roland R-8(advertisement)
R-8/ローランド(株) 雑誌広告より画像引用

 
 
 

音について

 本体に68音色を内蔵し、各音色にはピッチ、ディケイ、パンが設定可能。さらに叩く強さ(→ドラム系のみ)、打点位置(→シンバル系のみ。カップとエッジ部分など)などのコントロールもできるようになっていて、細かなニュアンスを付けることができます。
 
 
 音色はオン・マイクで録ったものから空気感(アンビエント)を含むものまで、生系ドラムのそれがかなり豊富に収録されています。スネアだけで10種類以上ありますね。
 
 
 また「ニュアンス」というパラメーター(ボタン)が搭載されています。これはドラムやシンバルをどの位置で叩くかということをシミュレートするもので、16段階で変化させることが可能となっています。
 
 
 なお音源(PCM方式)は、サンプリング周波数44.1kHz、16ビットという、CDと同等のクオリティでサンプリングされていますね。
 
 
 

コントローラー類

 VALUEとVOLUMEの2本のスライダー、16個のパッド(4×4)、テンキー、および各種メニューに入ったりするボタンが多数装備されています。
 
 
 

フィール・パッチ機能について

 パターンをわざと不規則に演奏させるものであり、本機の最も売りとされる機能でもあります。これにより生身のドラマーが持つ固有のノリを再現可能ということで、【Human Rhythm Composer】の名が冠されたものと思われます。
 
 
 不規則に演奏といってもテンポがヨレヨレになっては実用的ではないので、このR-8では「ベロシティ」「ピッチ」「ニュアンス」「ディケイ」の4つのパラメーターだけを変化させるというものです。特定の楽器だけに不規則(あるいは周期的)にかけることもコントロール可能であり、作り込み次第では、かなり人間らしいノリに近くなると思われます。
 
 
 

その他の機能

 頻度の多いボタン操作手順をユーザー・ファンクションとして登録できたり、指定した時間内にソングを演奏させるためのテンポの計算をしてくれる「カリキュレーション機能」も装備しています。

 

 

 

R-5の場合

Roland R-5

 
以下はR-8との主な相違点です。

■カードスロット→なし(※R-8は、RAMカード/ROMカード用スロットが1つづつあり)
■パラレル・アウトプット数→4つ(※R-8は8つ)
■LCD表示窓が小型化(→2行×16文字)
■外形寸法、重量、価格(→いずれも縮小)

 
 内蔵している音源や機能はR-8とほぼ同じだと思うのですが、詳しいところまでは把握しきれていません(ごめんなさい)。分かり次第情報を追記します。
 

Roland R-8/R-5/R-8M(advertisement)
R-8,R-5,R-8M/ローランド(株) 雑誌広告より画像引用

 
 
 

つぶやき的な

 本機の音色・音質は今となってはごく当たり前(というかチープ)な感じなのですが、当時としてはなかなかのハイファイを誇っていました。パッドのタッチに慣れ、ニュアンス・パラメーターを使いこなせば、本機のみでも結構な表情を付けることができたでしょう。
 
 
 音のキャラクターといえば、いわゆる “当時のPCM系ローランド”っぽい感じ。とはいえ大げさなクセはなく、パラ出力からミキサーに立ち上げて個別にエフェクトを掛けるなど、後からの加工を前提として考えると本機はこの内容でよかったのだと思います。
 
 
 “人が叩くような微妙な音の変化やノリを表現できる”という機能については、実際のところは結構プログラミングがややこしかったそうで、パラメーターを理解し機能を十二分に使いこなしていたユーザーはそれほど多くなかったそうですね。。
 
 
 
 関連記事(Roland リズムマシン Rシリーズ)
 「Roland R-8M ~1UモジュールになったR-8、でもちょっと違う[1990年]
 「Roland R-70 ~90年代ローランドの進化形リズムマシン[1992年]
 「Roland R-8MKII ~リズムマシン「Rシリーズ」の最終形[1992年]
 

仕様(R-8)
■音源:内蔵音源68種類、コピー音源26種類、外部音源(サウンドROMカード)26種類
■メモリー容量:
 本体:プリセット・パターン32種類、プログラマブル・パターン100種類、ソング10種類
 メモリーカード:パターン100種類、ソング10種類
■分解能:1/96分音符(ライト時)、1/384分音符(プレイ時)
■外形寸法:410(W)×70(H)×290(D)mm
■重量:3.1kg
■発売当初の価格:110,000円(のちに102,000円[税別]に改定)
■発売開始年:1989年末
 
 
R-5
■価格:72,000円(税別)
■発売開始年:1990年

 

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