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【書籍】『究極のキーボード練習帳 アンサンブル強化編』(小川文明著)

2018/11/28

 

 

 今回ご紹介する本は、『究極のキーボード練習帳 アンサンブル強化編』(リットーミュージック・ムック)です。著者は小川文明氏。初版は2003年。現在は絶版となっています。

 

「究極のキーボード練習帳 アンサンブル強化編」(小川文明著)

 
 これは以前本ブログでも紹介した『究極のキーボード練習帳 基礎・定番フレーズ編』の言わば続編ですね。前作が代表的なキーボード(ピアノ、クラビネット、エレクトリックピアノ、オルガン、シンセ)ごとの代表的な演奏例集だとすれば、本書は実際のバンド・アンサンブルで役立つ “実践向け”の演奏テクニックを伝授といったところです。もちろん前著に引き続きCD付きです。
 
 
 

本書の概要

 バンド・キーボーディストとして演奏する際、他パートとの絡みを無視することはできません。本書ではバンド・アンサンブルの中で、どのようにボーカルやギターなどと寄り添い(あるいはせめぎ合い)存在感のあるキーボード・プレイができるかを、具体的なパターンを譜面およびCDにて確認することができます。
 
 

CHAPTER1『ワン・パターンになりがちなピアノ・バッキングのアイディア集』

 特に歌モノで重要なポジションとなってくる単独のピアノ・バッキングに着目した項目。ここでの使用楽器は(生)ピアノのみです。イントロダクションでは様々なパターンを提示、そして文明氏の生歌によるスローバラード調メロディに乗せて、実際のバッキング・パターン例を次々と紹介していく内容となっています。
 
 
 コードワークやリズムの工夫など、ボーカルを引き立て曲をいかに表現していくかを狙ったものであり、ごく単純な「左手ルート+右手コード」というありがちなパターンに毎回終始してしまう僕みたいなプレイヤー(汗)にとっては、目からウロコのアイディアが詰まっていると思います。
 
 
 

CHAPTER2『ギターに負けるな!バンドで存在感を出すアンサンブル・テクニック』

 ギター音が目立ついわゆる “ギター・バンド”において、キーボードがどのように切り込んでいくのかについて主に言及した項目。楽器的にはオルガンの比率が高い印象ですね(表紙でもハモンドオルガンを中心に据えたデザインとなっている)。もちろんモノフォニック・シンセやポリフォニック・シンセなどでのアプローチも提示されています。
 
 
 実際のところ、爆音ギターに対抗してオルガンも音量アップ!となるとただただうるさくなるだけなので、ここで紹介されている “要所でいかに存在感を出すか”という演奏アプローチのアイディアは、実際に爆音ギターに悩んでいる(笑)キーボーディストにとって大いに役立つと思います。
 
 
 本項目は本書で最もページ数を割いており、著者が最も伝えたかったのではないかと思われるのがこのCHAPTERだと推測されます。やはり爆音ギターに対抗するにはある程度パワーのあるハモンドが効果的なんですよね。。個人的には、文明氏がオルガンをゆさゆさ揺らしながら演奏していた衝撃のライブ映像(笑)が脳裏に蘇りました。
 
 
 

CHAPTER3『エレクトリック・ピアノで弾くファンキー・フレーズ&ソロ』

 ギタリストやベーシストが好んで使う「Eのキー」に着目して、ちょっとしたセッションなどで使えるエレピ音色でのファンキー・プレイ例を数多く収録した項目。楽器としてはウーリッツァー、DX7、ちょっとレアなCOLUMBIA ELEPIANなどが登場しています。
 
 
 こちらも様々なアプローチを提示してくれていますね。エレピならではの多彩なエフェクティングのアイディアも盛り込まれているのも興味深いです。前著『基礎・定番フレーズ編』のローズ/ウーリッツァーの応用編(実践編)といった趣きとなっています。

 

 

 

DISC GUIDEも引き続き要チェック!

 前著『基礎・定番フレーズ編』書でもありましたが、本書の「DISC GUIDEコーナー」(→キーボードがフィーチャーされた名盤の紹介・解説)や、ちょっとしたコラムのコーナーも面白いのでお勧めです。
 
 
 

つぶやき的な

 前著『究極のキーボード練習帳 基礎・定番フレーズ編』で提示されたフレーズ例が、実際のバンド・アンサンブル(あるいはシチュエーション)においてどのように応用できるかを紹介した内容となっており、中級クラスのキーボーディストにとって具体的なアイディアの宝庫な一冊と言ってもいいでしょう。
 
 
 惜しむらくは、文明氏のこのシリーズの著作がこの2冊で完結してしまったこと。『定番フレーズ編2』とか『応用編2』とかの続編をリリースするだけの膨大なアイディアはおそらく蓄えていたのでしょう。。
 
 
 なお本書の冒頭に書かれている「キーボーディストの同胞たちよ!バンドの便利屋に成り下がるな!」という言葉は、個人的に心の支えになっていたりします。
 
 

 

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