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【書籍】『究極のキーボード練習帳 基礎・定番フレーズ編』(小川文明著)

2017/12/03

 今回ご紹介する本は、『究極のキーボード練習帳 基礎・定番フレーズ編』(リットーミュージック・ムック)です。著者はキーボードマガジンでの連載や機材レビューなどで知られていた小川文明氏。初版は2002年で、現在は絶版となっています。
 

『究極のキーボード練習帳 基礎・定番フレーズ編』(小川文明著)

 
 本書は、ピアノ、クラビネット、エレクトリックピアノ(ローズ、ウーリッツァー)、オルガン、シンセと楽器ごとに分かれており、各楽器ごとの特性を活かしたおいしい演奏をするべく、基礎からステップアップできるよう様々なレッスン・パターンを用意してくれています。端的に言えばポップス/ロックバンドでキーボードを弾く人向けの教則本といったところですね。CDも付いてます。
 
 
 
なお本書の細かな解説をしてもネタバレ(?)になるだけの恐れがあるので、以下、僕自身が本書を読んで感じたことを率直に書いてみたいと思います。
 
 
 

本書の概要

 ひとことで “キーボード”といっても色々あるのですが、その中でもバンドで使用頻度の高いピアノ、クラビネット、ローズ、ウーリッツァー、オルガン(ハモンドオルガン)、シンセサイザー(本書では例としてミニモーグ)の6つの鍵盤楽器の演奏例が、基礎パターンから上級パターンまで細かい解説と共に譜面で書かれています。また同梱のCDはそれら譜面と連動しており、耳で聴く教材として学習の理解を深めるのに大いに役立ちます。
 
 
 

本書を使いこなす “個人のレベル”について

 まず、全くの初心者は本書を読みこなすことは難しいでしょう。コードや奏法、あるいは楽器そのものについての専門用語が当たり前のように飛び交いますし(笑)、実際の演奏練習にしても「右手と左手をまだ別々に動かすことができない」という鍵盤ビギナーにとってはかなり厳しいと思います。
 
 
 じゃあ中級者向けかといえば、何をもって中級者と定義するのかも難しいところではありますね。。少なくとも譜面が読めて、左右の手(指)が独立して動かせるというレベルになるまでは、もう少し易しい本なりで勉強(練習)してから臨んだ方がよいと思います。
 
 
 では以下のケースだとどうでしょう。クラシックのみを聴いて育ち大学までピアノをみっちりやっていて、たまたま軽音部員から「ロックバンドにキーボードで入ってよ! ピアノ弾けるよね?」と誘われ、本書を最初に手に取ったとします。この場合でも結構な難解さを感じる人も多いと思いますが(笑)、あとは本人の学習次第で何とか本書を使いこなせるといった感じでしょうか。。
 
 
 

やっぱり上記の鍵盤楽器は揃えないといけないの?

 本書の同梱のCDでは、いわゆる本物の楽器を使用し収録してあるそうです(※オルガンのみ近代のモデル・KORG CX-3を使用)。
 
 
 上記のクラビネット、ローズ、ウーリッツァーなどの楽器は1960~70年代に製造されたいわゆる “ヴィンテージもの”であり、一般人が気軽に手に入れられる感じではありません。
 
 
 でも今どきの(オールインワンタイプの)デジタルシンセだったら上記の音色は大抵入っていますし、奏法を含めかなりの部分でカバーできると思います。ソフトシンセを使うという手もありますね。ただし楽器によっては以下の機能がある方が望ましいです。

ピアノ →重みのあるいわゆるピアノタッチのもの(できれば73鍵以上)
オルガン →ドローバーおよびロータリー・スピーカー効果のSLOW/FASTが切り替えられるもの
シンセサイザー→ピッチ・ベンドが装備されているもの

 
 シンセの中にはピアノタッチ鍵盤のモデルもありますし、ピッチ・ベンドはほとんどのシンセに搭載されているので問題ないでしょう。問題はオルガンですね。。上記6つの鍵盤楽器全てを弾きこなすオールラウンダーを目指す人にとっては、ピアノタッチのシンセに加え、オルガン専用機(あるいはオルガン向けコントローラー)があるとよいと思います
 
 
 

どこから手をつければいい?

 著者の小川文明氏も巻頭で書いていますが、本書はどこ(どの楽器)から始めても構いません。
 
 ただしこういった教則本を手に取る人は、いわゆる生真面目なタイプの人間が多いのではないかと個人的には感じます(笑)。そんな、本の頭(→つまりピアノ)から律義に1ページずつ進めるという人を考慮してか(?)、本書の冒頭はブルースから始まっています。しかも最初は片手のみ。
 
 
 ブルースといえばアドリブもアリなわけで敷居が高いというイメージがあるかもしれませんが、とりあえず3コードの進行さえ押さえておけば突然のセッションにも対応できます。このように本書は、「書かれた譜面を間違わず完璧に覚えるまで練習する」というよりかは、ブルースを入口として「バンド・キーボードにおけるノリの感覚を養う」と提起しているような意思が感じられます(個人的には)
 
 
 

DISC GUIDEは要チェック!

 本書では各楽器ごとに、その楽器がフィーチャーされた名盤(アルバム)も紹介・解説されています。これがまた超絶マニアック!(笑)。本書の随所で見られる著者の様々な “引き出し”は、こういったキーボードの名盤を何百枚も聴いて(なおかつ弾いて)、自らの血肉としていたのでしょう。大いに参考になると思います。
 
 
 

つぶやき的な

 楽器を修練する際、既存の名プレイヤーの名プレイを耳コピだけでどんどん吸収して自分のものするといったタイプのプレイヤーっていますよね。“練習してる”という意識を持たず、興味のあるプレイに対して時間を忘れて次々とコピーし、いつの間にか弾けるようになっているという人。理論などは後追いで学習するいわゆる “天才肌”タイプとでも言えばいいでしょうか。
 
 
 ただし世の中のプレイヤーというのはそういう人ばかりではなくて(→そもそも現代人は忙しい)、こういった演奏例が書かれた教則本にスキルアップを期待する僕みたいな人(笑)も数多くいると思います。本書の内容を深く理解し、自分の演奏に昇華させる域に達するには相当の熱量が必要となると思いますが、努力した分だけスキルアップにつながると個人的には思います。文面から伝わってくる著者の熱量も、あるいはモチベーションキープにつながるかもしれません。
 
 
 今から15年も前の書籍であり、絶版後はちょっとしたプレミアとなっている本書ですが、ワンランク上の演奏を目指すプレイヤー指向のキーボーディストさんにとっては非常にお勧めできる一冊といったところです。なお中古本を探す際は、多少値が張るとしても必ずCD付きのものを選んでください。理解度が天と地ほど違いますよー
 
 

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