アコースティックピアノの「寿命」を考える
2018/11/24
アコースティックピアノは基本的に木材と金属材のみでできているので、電子楽器などに比べ一般に「寿命」が長いと思われます。
いや待ってください、そもそもアコースティックピアノに「寿命」という概念はあるのでしょうか? もしガタがきても修理し続ければ半永久的に使えるのでは。。と疑問を持ってしまったので、ちょっと調べてみました。
実際のところ
普通の環境で使用し、定期的に調律を行っているピアノを、オーバーホールなしで高品質を保つことができるのは30年くらいだと言われています。それ以上経つとどうしても品質が落ちてしまう部品があるそうです。
しかし世界には200~300年近く昔のピアノも現存していて、今でも現役で弾ける状態のものもあるそうです。ピアノに使用されている木工部品だったら今も部品が残っていることが多いそうで、実際、欧米では高価なピアノや古くて価値のあるピアノは、修理・修復をし続けて使う人が多いようです。
さすがに100年前の金属部品のストックは無理がありますが、現代でも部品を作ることは不可能ではないでしょう。となると部品の交換を行っていけば、半永久的に使うことができるとも言えます。
そうなるとコスト的には、もはや新品を買った方が安いというケースもあると思います。日本ではヤマハなどが代表するように、品質の良いピアノが大量生産されるようになり、新品のピアノが比較的安く手に入るようになっていますね。
個人的に思うところ
骨董的価値が重んじられるピアノであれば多少お金がかかっても修復されるでしょうし、家庭用の「ただの古いピアノ」だったら新品のピアノに買い替えた方が安く上がっていいのかもしれません。
絶対的な「寿命」というものはそもそもなく、「このピアノも寿命だな・・・」と思ったらそのピアノは寿命、そういう考えも多分ありだと思います。
つぶやき的な
メカニック的には(交換していけば)OKだとしても、果たしてそれが “音楽的にOK”なのかを判断するのは弾き手(聴き手)によるところも大きく、画一的に判断するのは難しいですね。
どんなに部品を交換したとしても、「昔のような音の艶が戻らない」と感じてしまったならば、もうそのピアノは、(少なくともその人にとっては)寿命を終えたと考えていいのかもしれません。
そうはいっても、ピアノを必要としている人(国)はたくさんいます。以前本ブログの記事「中古ピアノはどこへ行く?」で取り上げたように、次の人に幸せに使ってもらえれば、それはそれでよいと思います。