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1970~80年代'' YAMAHA 楽器・機材【Vol.〇〇】

【Vol.379】YAMAHA CE20 ~DX7登場前年のFM音源搭載キーボード[1982年]

2018/11/28

 

 

 今回ご紹介するキーボードは1982年にヤマハから発売された「CE20」です。当時の定価は220,000円。

 

YAMAHA CE20

 

 本格的な音色エディットには対応していないいわゆるプリセットボイスタイプの電子キーボードなのですが、当時まだ珍しかったFM音源(FM Tone Generator)を音源部に採用しているのがポイントでした。では詳しく見てみましょう。
 
 
 

音源部について(個人的所感入り)

 当時画期的だったFM音源システムをキーボードの音源方式として採用。ただし本機はプリセットタイプのキーボードであるため、キャリア/モジュレータなどの用語はカタログにもマニュアルにも登場していません。
 
 
 今ではあまりピンとこないかもですが、80年代初めの当時では、FM音源によるアコースティック楽器(オーボエ、クラリネット、ブラスなどの木管楽器や金管楽器)は、非常にリアルという触れ込みで話題になったのです。それまでのアナログによる電子発振方式の音源では得難いサウンドが、新世代の音源チップにより手に入ったという感じでしょうか。
 
 
 

内蔵プリセットについて

 本機のプリセットサウンドは、「モノフォニック」と「ポリフォニック」の2つのセクションに計20種類が用意されています。パネル上には、各々楽器名が書かれたボタンがそのまんま20個用意されているので、音色選択は直感的に行うことができますね。内訳は以下。
 

モノフォニック …PICCOLO、FLUTE、OBOE、CLARINET、SAXOPHONE、TRUMPET1、TRUMPET2、TROMBONE、VIOLIN、CELLO、CONTRABASS1、CONTRABASS2、ELECTRIC BASS1、ELECTRIC BASS2(※左から並んでるボタンの順)

ポリフォニック …BRASS、HORN、ORGAN、ELECTRIC PIANO、HARPSICHORD、STRINGS(※同じく左から並んでるボタンの順)

 
 モノフォニックの各音色は文字通り「同時発音数1」なのですが、ポリフォニックの音色では8音までのコード演奏が可能になっています。
 
 
 

鍵盤部について

CE20のキーボードは4オクターブの49鍵。

キーを押す指の強さ、速さに応じて、「音量」「音色」「ビブラート」をコントロールする3つのセンシティビティ機能を搭載。以下補足になります。
 

トーンイニシャル …キーを押すタッチ(強さ)によって、音量・音色をコントロールする。
トーンアフター …押さえているキーをさらに押し込むことにより、音量・音色を変化させる(→音量は大きくなり、音色は明るくなる)
ビブラートアフター 押さえているキーをさらに強く押し込むことにより、ビブラートに変化を付ける(→強く押せばビブラートは深くなり、弱く押せばビブラートは浅くなる)

 
 これら “センシティビティ”は、パネル上の独立した3つのスライダーによりかかり具合を個別に調整することができます。
 
 
 まあ、当時のこのクラス(価格帯)の電子キーボードとしては珍しかった、“ベロシティによる様々な音の表情付け”に対応していたという感じですね。とはいえ実際のところは、本機でキータッチによる音のコントロールは非常に難しかったという話は聞きます。

 

 

 

エフェクト部

 内蔵エフェクター、というには若干おおげさかもしれませんが、音に “効果”を加える機能もいくつか有していました。
 

ビブラート

 音程(ピッチ)に周期的な変化を持たせることによって音にうねりをつけるエフェクト。本機では「デプス」(→ビブラートの振幅)、「スピード」(→ビブラートの速度)、「ディレイ」(→ビブラートのディレイタイム)が、パネル上の各スライダーにてコントロール可能となっています。
 
 

シンフォニック機能

 複数の楽器が同時に鳴っているかのような音の厚みを作り出す機能。オルガン、ストリングスの選択時には、本機能が自動的に連動するようになっていました。
 
 

スライドコントロール

 キーからキーへなめらかに音程(ピッチ)を移動させるいわゆるポルタメント効果を設定できる機能。ホイールによってピッチ移行のスピードを任意にコントロールすることができます。
 

YAMAHA CE20

 

つぶやき

 CE20は、ベストセラー機「DX7」(FM音源を積んだフルデジタル・シンセサイザー)の前年に発売された、FM音源タイプの電子キーボードの草分け的な機種として名を残しているといったところですね。
 
 
 FM音源としては同社のGS1(1980年)が最初期に登場したのですが、高級路線のGS1(→当時の定価260万円)に対して、CE20は20万円代というホーム・ユースのプリセットキーボードとしての位置づけであり、この価格感がのちのDX7にも受け継がれたといった感じです。非常に乱暴なまとめですが、CE20は名機・DX7の前身モデルの一つと言ってもいいかもしれませんね。
 
 

仕様
■鍵盤:49鍵
■音源方式:FM音源
■最大同時発音数:8音
■マルチティンバー数:1
■内蔵音色(プリセット):
 ポリフォニックボイス6、モノフォニックボイス14

■外形寸法:841(W)×86(H)×294(D)mm
■重量:9kg
■発売当時の価格:220,000円
■発売年:1982年1月

 

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