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2000年代~ KORG 楽器・機材【Vol.〇〇】

【Vol.375】KORG KARMA ~【前編】革新的なフレーズ生成機能を備えたワークステーション[2001年]

2018/11/28

 

 

 今回紹介するキーボードは、コルグが2001年初頭に発表・発売した「KARMA(カーマ)MUSIC WORKSTATION」というシンセサイザーです(以下KARMA)。発売当時の定価は189,000円(税抜)、のちにオープンプライスとなっています。

 

KORG KARMA

 

 このシンセはただのワークステーションではなく、鍵盤などからの演奏情報を元にして、リアルタイムでフレーズ/パターンを生成してくれるという画期的なキーボードとして世に出たわけです。発売から17年が経とうとしていますが、未だに使用しているミュージシャンも多いと聞きます。浅倉大介氏が長年愛用しているというのも有名ですね。
 
 
 さてそんなKARMA(カーマ)、今回は前編ということで、本機の目玉と言える「KARMA機能」(フレーズ自動生成機能)の記述を中心に展開してみたいと思います。
 
 
 

とりあえず外観

 くすんだワインレッドにも見える落ち着いたシルバー・レッドのボディ。スイッチやツマミなどの操作子の配置などを含め、全体的なデザインは同社のワークステーション・「TRITON Le」に近い印象です。
 
 
 実際KARMAの内蔵音源は、TRITONと同様の「HI(Hyper Integrated)シンセシス・システム」というPCM路線の音源を搭載しています。TRITON専用拡張音源ボード(EXB-PCMシリーズ)も搭載可能であることから、TRITONの派生機として開発が進められたシンセサイザーだったのではと予想します。
 
 
 

“KARMAテクノロジー™”について

 本機の最大の特徴である、驚異的なフレーズ生成機能 “KARMA™”について触れておきましょう。これは “Kay Algorithmic Realtime Music Architecture”という言葉の頭文字をとってつなげたものであり、この機能(テクノロジー)の名がすなわち機種名にも冠せられているということですね。
 
 
 ひとことで言うと、(ミュージシャン/プログラマーである) “スティーブン・ケイ氏によって開発された、リアルタイムで高度な音楽生成を行えるアルゴリズム”といったところでしょうか。
 
 
 本機能は、従来の(安価な)伴奏機能付きキーボードなどによく見られたアルペジエーターのような簡単なものではなく、音色や音域、音量、あるいは音の積み方の変化によっても様々に変化する演奏フレーズを自動的に生成してくれる技術のこと。鍵盤およびノブを操作することでMIDIデータをリアルタイムで生成可能であり、そのように生成されたフレーズ/パターンは内蔵のシーケンサーに取り込んで、MIDIデータとして再生することも可能です。

 

 

 

“KARMA™”の中核を担うモジュールについて

 “KARMA”の機能はいくつかの部分に分かれていますが、その中でも最も重要なのが「GE(ジェネレーテッド・エフェクト)」と「KARMAモジュール・パラメーター」と呼ばれる、2ブロックにて構成されているモジュール。以下ちょっと補足してみましょう。
 
 
 

GE(Generated Effect)

 鍵盤からの入力を元に、どのようなフレーズを生成するのかというルールを決定するブロック。
 
 
 本機のGEには様々な音楽ジャンル(およびそれらの奏法のパターン)がプログラミングされていて、その数は実に1,000種類以上のパターンが用意されています。ロック、ジャズ、クラシックといった定番どころから、当時のムーブメントの一つでもあったテクノや民族音楽なども含まれ、それらが鍵盤を押さえるだけで次々と斬新かつ本格的なフレーズを生み出してくれるといったところです。
 
 
 このフレーズ生成アルゴリズムは、各パターンごとにハーモニー、スケール、和音構成、音量や音色の変化など約400種類のパラメーターを持ち、そのうち最大で16種類をユーザー自身がエディットすることもできます。
 
 
 でもってその16種類のコントロール要素は、パネル上のノブ(×8)とスイッチ(×2)にアサインすることができ、演奏しながらのリアルタイムコントロールなんかも可能になります。これが単なる音色のリアルタイム変化だけではなく、(自動生成された)フレーズも面白いように変化します。つまみを大胆に回せば、フレーズも劇的に変化したりして相当楽しいです。
 
 
 KARMA最大の特徴は前述したフレーズ生成機能にあると言えますが、そのフレーズをシンプルな操作性で大胆にコントロールできるライブ性(リアルタイム性)にも強烈な魅力があると感じます。
 
 
 

KARMAモジュール・パラメーター

 GEをどのような範囲で割り当ててMIDI入出力を行うか、対応するキーゾーンはどうするか、あるいはMIDIフィルター、トリガーなどの各パラメータを設定するためのブロックのこと。
 
 
 

続きもあるよ

 というわけで、KARMAの最大のセールスポイントと言えるフレーズ自動生成機能について、非常に簡単ではありますが駆け足で記述してみました。後半では音源部やシーケンサー部、バージョン2.0などについての記述もありますよ。
 
 
 続きの記事→「KORG KARMA(カーマ) ~【後編】音源部、Ver2.0などの補足
 
 

仕様
■鍵盤:61鍵(ベロシティ、アフタータッチ対応)
■音源方式:HI(Hyper Integrated)・シンセシス・システム
■音源部:32MB ROM、425マルチサンプル+413ドラム・サンプル
 ※PCM ROMオプションによる拡張可(EXB-PCMシリーズ対応、最大2枚)
■最大同時発音数:62音(シングル・モード時)、31音(ダブル・モード時)
■プログラム数:
 640ユーザー・プログラム(384プリロード)
 GM Level2準拠256プログラム+9ドラムROMプログラム
 786ユーザー・コンビネーション(384プリロード)
■内蔵エフェクト:ステレオ・デジタル・マルチエフェクター
■シーケンサー部:16トラック+1マスタートラック、最大記憶容量200,000ノート
■ディスプレイ:240×64ドットLCD
■外形寸法:1100(W)×119(H)×320(D)mm
■重量:10.0kg
■発売当時の価格:198,000円(税別)
■発売開始年:2001年

 

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