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ピアノ、シンセサイザー、オルガンとか鍵盤楽器もろもろ。関係ない記事もたまにあるよ

1960~80年代 KORG 楽器・機材【Vol.〇〇】

【Vol.370】KORG Λ(ラムダ) ~PEシリーズの流れを汲む “ポリフォニック・アンサンブル・キーボード” [1979年]

2019/01/20

 

 

 今回ご紹介する鍵盤楽器は、コルグが1979年に発売した「Λ(ラムダ)」という “ポリフォニック・アンサンブル” キーボードです。定価は250,000円でした。これは、以前本ブログでも紹介した「PE-1000」「PE-2000」の流れを汲む一台ですね。

 

KORG Λ

 

 PE-1000の減衰音系サウンド(ピアノ、クラビ等)、PE-2000の持続音系サウンド(オルガン、ストリングス等)を足し合わせたような全9種類のキーボード音色が、パネル上のタブレットにてワンタッチで得られるといった感じです。では詳しく見てみましょう。
 
 
 

概要

 エレピやストリング、クラビやオルガンなど代表的なキーボード・サウンドを収録し、好みの音色タブレットを押すことにより瞬時にサウンドを切り替えて演奏することができるキーボード。鍵盤数はちょっと珍しい48鍵。この鍵盤は先代のPEシリーズ同様全鍵で発音可能となっています。
 
 
 

内蔵音色について

アンサンブル・セクション:5種(ブラス、オルガン、コーラス、ストリングスI、ストリングスII)
パーカッシブ・セクション:4種(エレクトリックピアノ、クラビ、ピアノ、ハーモニクス)

 
 これらは、基本的にオルガンと同様のタブレット・スイッチを押して選択します。もちろん複数の音色のミックスも可。
 
 
 これだけだと単なるプリセット・キーボードなのですが、本機では、アンサンブル・セクションではエンベロープのアタックおよびディケイを、パーカッシブ・セクションではエンベロープのディケイとトレモロのオン/オフおよびそのスピードをコントロールすることができます
 
 
なおタッチ・センス(タッチの強弱による音量・音色変化)には対応していません。
 
 
 

音作りなど

 各鍵盤のボイスには分周方式の3系統のVCOを装備。さらに2層コーラスも搭載しているため、3基のオシレーター+コーラスによってより広がりのある豊かなサウンド作りができます。またエンベロープやVCAもそれぞれのセクションに1基ずつ搭載されています。
 
 
 両セクション(系統)のミックス+ステレオアウトで出力した場合、本機一台のみでピアノ(→パーカッシブ系)、ストリングス(→アンサンブル系)を同時に演奏しながら、それぞれ別々のスピーカーで再生することができます。
 
 
 

ジョイスティック装備!

 こういったアンサンブル・キーボードには珍しく、シンセのようなジョイスティックを鍵盤左部に搭載。このジョイスティックは、ピッチベンド(→横方向)コーラスLFOのスピード(→縦方向)がアサインされており、同時にコントロールすることによりリアルタイムでの音色変化も積極的に行うことができます。
 
 
 横方向のピッチベンドは和音ごとベンド可能ですし、縦方向のLFOコントロールは、オルガンの回転スピーカー効果を表現するために有効ですね。

 

 

 

よだん・型名について

 ほぼ同時期には、同じくギリシャ文字の「Σ(シグマ)」および「Δ(デルタ)」というキーボード(シンセサイザー)が同社から発売されており、Λ(ラムダ)を含めたこの3機種はセットにして語られることが多いですね。ちなみに「Λ(ラムダ)」のネーミングは、側面から見た形が “Λ”の形に似ていることに由来しているそうです。
 

KORG Λ(advertisement)
Λ(Lambda)/京王技研工業株式会社 雑誌広告より画像引用
 
 
 

まとめ的な

 用意されている音色名だけ見ると、さも元となる楽器をリアルに鳴らしてくれると想像してしまいがちですが、実際のところはこの時代らしい “疑似的電子音”といった感じですね。それがかえって本機の味となっており、現代のリアルなサンプリング・サウンドに慣れている人にとっては新鮮に響くと思います。コーラスなどをかませることにより、よりリッチでアナログっぽい重厚感のあるサウンドが得られます。
 
 
 本機を “ストリングス(あるいはパッド)専用機”として見ても、この時代の他のストリングス専用マシンに決して引けをとらない存在感だったと思います。
 
 
 

個人的つぶやき

 KORG Λ(ラムダ)というと、Sense of Wonderで難波弘之氏が1980年代初頭からセットに組み込み続けている「ストリングス(パッド)・キーボード」としての印象が強いですね。難波氏はこのΛのストリングスにオルガン音を重ねることが多く、暖かみの中にも芯のある独特の音色を作り出しています。
 
 
 なおSense of Wonderは2018年現在でも積極的にライブ活動を行われているそうで、これは実際見に行って色々と確かめたいところであります。名古屋にも来てくださるんですよね?(笑)
 
 
→(2018年12月追記)来てくださったので記事を書きました!
 「『SENSE OF WONDER』ライブ行ってきた!(2018年12月) ~備忘録
 
 
 
 関連記事:
 「KORG PE-1000 ~70年代コルグの「アンサンブル・キーボード」[1976年]
 「KORG PE-2000 ~たった1台のオーケストラ?[1976年]
 

仕様
■鍵盤:48鍵(F~E)
■同時発音数:48音(全鍵ポリフォニック)
■プリセット音色
 アンサンブル系:5種(ブラス、オルガン、コーラス、ストリングスI、ストリングスII)
 パーカッシブ系:4種(エレクトリックピアノ、クラビ、ピアノ、ハーモニクス)
■オシレーター:3基(各ボイスにつき)
■エンベロープ:2基(各ボイスにつき)
■VCA:2基(各ボイスにつき)
■LFO:3基
■外形寸法:824(W)×147(H)×497(D)mm
■重量:15kg
■発売当時の価格:250,000円
■発売年:1979年

 

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