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2000年代~' Roland 楽器・機材【Vol.〇〇】

【Vol.367】Roland SP-404(/SP-404SX) ~サイズ感・パッドの操作感が秀逸なデスクトップ・サンプラー

2018/11/28

 

 

 今回は、コンパクトサイズ・サンプラーとして(後継機を含め)長年支持を集めている「Roland SP-404」を取り上げてみたいと思います。いわゆる無印の発売は2005年。価格はオープンプライス(発売当初の市場実勢価格は38,000円前後)でした。現在では生産終了となっています。

 

Roland SP-404

 

 SP-303、404辺りは一般的にはDJ向け(クラブ系音楽のトラックメイク用)として人気が高いですね。とはいえライブで使う飛び道具的な音とか、舞台・イベントなどの効果音(のいわゆるポン出し)でも広く使われています。前モデルであるBOSS SP-303との比較を交えつつ記事を展開してみましょう。
 
 関連記事:「BOSS SP-303 ~ハンディ・ワンショット・サンプラー[2001年]
 
 
 

筐体デザインおよび操作性

 ボディは近未来的なシルバーメタリックを採用し、よりスタイリッシュになった印象ですね。自照式のパッドも8→12に増え、本体だけで最大24種類(12×2バンク)のサンプルを扱うことが可能。他にもラバータッチの3つのツマミにより、より直感的なリアルタイム・パフォーマンスに対応します。
 
 
 SP-303よりもパッドが一段(4個)増えたため、大きさ的にはSP-303よりも少しだけ大きくなっているといったところでしょうか。まあさほど気になるほどの大きさではなく、気軽に扱える範囲内と言えるでしょう。
 
 
 多少の変更は見られますが、全体的なパネルデザインはSP-303のそれを概ね踏襲した感じとなっており、旧モデルのユーザーでも違和感なく使えると思います。
 
 
 ただしディスプレイである「7セグメント×3桁 LED」もSP-303と同様の仕様。効果音のポン出しならばまだしも、トラックメーカーが行う(本体内のみでの)サンプル編集、エフェクト操作はこのセグメントを見ながらになるので、SP-303同様結構な慣れが必要となってくると思います。
 
 
 

長時間のサンプリングを実現

 サンプリング可能時間は、本体のみで約5分(※モノラル、STANDARDモード)。これは、SP-303の「約31秒」(※同じくSTANDARDモード)と比較すると飛躍的に伸びていますね。なおSP-404のサンプリング・グレードは「STANDARD」「LO-FI」の2つから選択可能であり、LO-FI(ローファイ)の場合はSTANDARDの2倍のサンプリングができます。
 
 
 さらに、外部メディアもスマートメディア™からコンパクトフラッシュへと変更。SP-303のスマートメディア™ではMax64MBどまりだったのですが、SP-404では最大1GBのコンパクトフラッシュに対応し、STANDARDモードで実に386分ものサンプリングが可能ということです。これだけあれば、超大作の舞台(の音効用マシン)として使用しても何も問題ないでしょう(笑)

 

 

 

サンプルの取り込み・外部記録メディアについて

 SP-404では、ライン入力、マイク端子からの入力に加え、内蔵のマイクからも直接サンプリングが可能。
 
 またコンパクトフラッシュ経由でPCとのWAV/AIFF(オーディオ・ファイル)のやりとりができますね。SP-404のサンプルをオーディオ・ファイルとしてエクスポートしパソコンで編集したり、市販のサンプリングCDなどからPCに取り込んだオーディオ・ファイルをSP-404へインポートすることもできます。
 

 

 なお別売りのコンパクトフラッシュですが、SP-404には非対応のメーカー・型番のものもあるらしいです。詳しくはRolandのHPからご確認ください(上記広告のハギワラシスコム HPC-CF1GZ3U5は動作対応確認済)
 
 
 メーカーHP→ SP-404 コンパクトフラッシュ動作確認情報

 

 

パターン・シーケンサー搭載!

 SP-404におけるパターン・シーケンサーとは、パッドを使ってのサンプルの演奏情報をリアルタイムに記録・再生する機能のこと。本機ではクォンタイズ(→手入力によるタイミングのばらつきを補正する機能のこと)をかけることもできます。
 
 
 フレーズのサンプルをいくつか組み合わせてちょっとした曲を作ったり、リズムのサンプルを組み合わせてリズム・パターンを作る際に便利ですね。記憶可能なパターン数は、本体内にMax24パターン、コンパクトフラッシュにMax96パターンまで記録可。トラック制作およびライブ・パフォーマンス時にも有効に使えると思います。
 
 
 

さらに増えた内蔵エフェクト

 SP-303に搭載されていた全エフェクト26種類+新エフェクト3種類を加えた全29種類を搭載。追加された3つは、大まかに説明すると以下のような感じ。
 
★SUBSONIC …低音のサイン波を加え、重低音の効いたキック音を作れる
★BPM LOOPER …BPMに連動し、入力音を短周期でループできる
★DJFX LOOPER …上記のショート・ループ機能に加えてリバースさせ、ターンテーブルのスクラッチ風サウンドが出せる
 
 
 

エフェクトの選択について

 エフェクトボタンは、中央の丸型のLEDを取り囲むように配置されている6つのボタンですね。主要なエフェクトは以下5種類です。

●フィルター+オーバードライブ …本機のフィルターはローパス。よって高音域をカットし歪みを加える
●ピッチ・シフター …音程を変化させる
●ディレイ …音を繰り返す
●アイソレーター …低/中/高音域の音の抽出や消去をする
●ヴァイナル・シミュレーター …アナログ盤の音質に変換する

 
上記は直接ボタンを押して選べるようになっています。
 
 
 なお残り24種類のエフェクトはMFX(マルチエフェクト)としてまとめられ、[MFX]を押しながら「CTRL3 /MFX」ツマミを回すことにより、使用するエフェクトを選べるようになっています。これら24のエフェクトは全てパネル上にエフェクト名が印刷されているので、いちいちマニュアルを引っ張り出す必要がなくて親切ですね。
 
 
 アイソレーターなどはいかにも(当時のテクノ/ハウス系向けの)DJ用途といった感じなのですが、フィルターやオーバードライブ、ピッチシフターなどはキーボーディストが使っても普通にアリですね。

 

 

 

後継機・SP-404SXについて

Roland SP-404SX

 
 2009年頃に発売されたSP-404の後継機。2018年3月現在、現行で販売されているようです。外観および基本仕様はSP-404と共通している点も多いですが、記憶メディアにSDカードを採用し、さらに大容量化が図られているといったところですね。
 
 
 もちろん細かい点でもいくつか違いは見られ、よりDJの音楽制作/パフォーマンス向けの機能が充実しているといった感じです。こちらのSP-404SXはまた後日別途記事にするかもしれません。

 

→ サウンドハウスで「Roland SP-404SX」の価格をチェック

 

 

つぶやき的な

 近年はDJシステムもPC内でほぼ完結できるデジタル化が進み、本機やAKAI MPCなどに代表されるハードウェア・サンプラーが登場する機会は多くないのかもしれません。とはいえ単品でサンプル音を「即」出せるというのは代用の利かない強みであり、現在でも様々な現場に使われているのを目にします(この間も地下アイドル系ライブのPAブースで本機を使っているのを目撃した)
 
 
 SP-404はSP-303よりもパッドの打感が改善され、ツマミも滑りにくくなっているなど細かな点でも改良点が見られますね。本機のみでのトラック制作はちょっとやりにくいかもしれませんが、何度も言及しているように “音効マシン”としては非常に優れていると思います。キーボーディスト、トラックメーカー、あるいは音楽ジャンルすら問わず、手持ちの機材に一味足したい時に重宝すると思いますよ。
 
 
 
 関連記事(ローランド/ボス SPシリーズ):
 「BOSS SP-202 ~「Dr.Sample」DJ向けコンパクトサンプラー[1997年]
 「BOSS SP-303 ~ハンディ・ワンショット・サンプラー[2001年]
 

仕様(SP-404)
■最大同時発音数:12音
■インターナルメモリー:
 サンプル24(12サンプル×2バンク ※プリロード・サンプル分も含む)
 パターン24(12サンプル×2バンク ※プリロード・パターン分も含む)
■メモリーカード(コンパクトフラッシュ):
 サンプル96(12サンプル×8バンク)
 パターン96(12サンプル×8バンク)
■サンプリング周波数:44.1kHz
■データ・フォーマット:SP-404オリジナル・フォーマット(WAV/AIFFインポート・エクスポート可)
■パターン・シーケンサー:
 最大記憶音数 インターナルメモリー=約8,000音(プリロード・パターン分も含む)
        メモリーカード(コンパクトフラッシュ)=約8,000音
■レコーディング方法:リアルタイム・ループ・レコーディング(クォンタイズ可)
■内蔵エフェクト:29種
■電源:DC9V(単3電池×6、もしくはACアダプター)
■外形寸法:177.6(W)×72.1(H)×256.7(D)mm
■重量:1.3kg(本体のみ)
■発売当時の価格:オープンプライス
■発売開始年:2005年

 

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