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E-mu 楽器・機材【Vol.〇〇】

【Vol.366】E-mu Proteus FX ~エフェクター内蔵の廉価版Proteus[1994年]

 90年代を彩った音源モジュールにも色々ありますが、今回はE-mu Systemsの「Proteus FX」という機種を取り上げてみたいと思います。発売は1994年、当時の定価は120,000円。当時のE-mu製品としてはいわゆる廉価モデルに分類される、お手頃価格な音源モジュールでした。

 

E-mu Proteus FX

 

 これまで本ブログでもいくつか紹介したProteusシリーズですが、このProteus FXでは(2系統の)デジタル・マルチエフェクターが搭載されたというのが大きなポイントですね。ちなみにこの “FX”というのはエフェクトを意味する略号として、一般的にもしばしば使われます。
 
 
 関連記事(E-mu Proteusシリーズ):
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E-mu Proteus /1 ~イーミュPROTEUSシリーズの初号機[1989年]
 「E-mu Proteus /2 ~オーケストラ音源特化型モジュール[1990年]
 「E-mu Proteus /3 World ~世界中の楽器のサウンドを集めた音源モジュール
 「E-mu PROTEUS/MPS ~PROTEUSに鍵盤が付いた![1991年]
 
 
 

音源ほうめん

 16ビットデータ・エンコーディングによるデジタル・サンプリング波形を8MB装備。
 
 Proteus/1のポップ&ロックサウンド、Proteus/2のオーケストラサウンドを継承し、さらにグランドピアノ・サンプルも追加。内蔵音色は512(4バンク×128プリセット)となっていて、希望の音色に瞬時にアクセスすることができます。
 
 
 128プリセットの内訳は、以下16の楽器カテゴリーが各8音色収められているといった感じですね(16×8=128)。

●キーボード ●クロマティック・パーカッション ●オルガン ●ギター ●ベース ●ストリング ●アンサンブル ●ブラス ●リード ●パイプ ●シンセ・リード ●シンセ・パッド ●シンセFX ●エスニック ●パーカッション ●サウンドFX

 

 

音作り方面は?

 初期Proteusでも言えることですが、本機は基本的にはプリセット・サンプラー。フィルターは搭載されていません。用意されたサンプルをミックスすることにより新しい音色を作ることはできますが、各種モジュレーターなどを駆使した積極的な音作りにはあまり対応しないと考えた方がいいでしょう。
 
 
 

GM対応なのか?

 本機には「GMフレンドリー・モード」というモードがあり、これに設定することでGM音源としても使用可能となるそう。市販のMIDIデータも本機のみで楽しむことができるといった感じですね(何だフレンドリーって…)
 
 
 とはいえ個々の音色はGMで規定されているものとは完全一致しているわけではなく、DTM向け専用GM音源機にて演奏した場合と比べると、相当な違和感を受けることは間違いないです。まあ、GMデータの大まかな雰囲気を把握するための “簡易GM”みたいな認識でちょうどいいのではないかと。。
 
 
 関連記事(同時代のGM音源機):
 「YAMAHA MU5 ~XG対応直前のヤマハ製GM音源モジュール[1994年]
 「Roland SC-55 ~ローランドの初期DTM音源モジュール。リモコンも付いたよ!
 「KORG X5DR ~ライブでも使えるGM音源モジュール[1995年]
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デジタル・エフェクター内蔵!

 機種名にも冠せられている本機の顔とも言えるエフェクター。これは2系統(A/B)のデジタル・エフェクターとなっていて、「A」系統ではリバーブを始めとしたいわゆる空間系、「B」系統ではそれに加えファズやリング・モジュレーターも用意されています。
 
 
 まあシンセサイズ・セクションであまり凝った音作りができない分、エフェクト・セクションで調整してね、という感じでしょうか。なおこのエフェクター部は、以前本ブログでも紹介した「E-mu MORPHEUS」とほぼ同じと見ていいですね。
 
 
 関連記事:「E-mu MORPHEUS(モフェウス) ~Z-Planeフィルターを初搭載したPCMシンセモジュール[1993年]
 
 
 

コストカットのしわ寄せ?

 本機ではコストを下げるためか、これまでのProteusシリーズと比較した際にいくつか変更されている部分もあります。
 
 
■電源がACアダプター
 …電源部が、ラックマウント設置時の処理に困る(笑)ACアダプターに変更されました。
 
■アウトプット端子の省略
 …従来のProteusシリーズではステレオ3系統だったアウトプットが、1系統(L/R)のみとなっています。
 
■反応速度が遅い(個人的所感)
 …本機の音源の反応はちょっと遅く、同時発音数を上げていくとその遅延が顕著に見られたと回想します。カタログなどによるメーカー公式の記述によると「<4ms」と書かれていますね。
 
 
 

おまけ・Vintage Keys Plusについて

 Proteus FXと同時期に発売された、ビンテージ・サウンドを多数収めたプロ御用達の1U音源モジュール。パネルデザインはFXとよく似ているのですがこちらの定価は220,000円と、FXのほぼ倍という価格設定でした。
 
 
 両機のコンセプトは異なりますが、その見た目の近さからも、“高級機のVintage Keys Plus、廉価機のProteus FX”と捉えられることも多かったように思います。
 
 
 

個人的つぶやき

 特に90年代におけるE-muの1U音源といえば、まさに百花繚乱とも言える様々なタイプのモジュールが登場しました。その中でも本機Proteus FXは、価格も安くてGMにも(一応)対応していたことから、シリーズ史上最もコストパフォーマンスに優れていたという評価が与えられることもあります。
 
 
 本機の(特に生楽器系の)音色は、当時のこの価格帯のものとしては非常に生っぽく仕上がっており、さすがはProteusといったところ。楽器音ごとのエンベロープも細かく作り込んであるという印象でした。
 
 
 反面、シンセ系の音色はお世辞にも存在感のあるキャラクターとは言えず、よくも悪くも個性的だったE-muらしい “独特のクセ”は影を潜めたという感じですね。。優等生といえば聞こえはいいですが、音は前面に出てきてくれず周りの埋もれてしまいがちでした。特にリバーブを掛けるとさらに薄くなるという、「何のために “FX”を冠したんだい?」とか、個人的に思うところはいくつかあったりします(笑)
 
 
 
■関連記事(E-mu 1Uラック)
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仕様
■最大同時発音数:32音
■メモリー容量:8MB
■データ・エンコーディング:16ビット
■内蔵音色数:512(4バンク×128プリセット) ※GMフレンドリー・モード採用
■ティンバー数:16マルチティンバー

■内蔵エフェクト:2系統
■外形寸法:438(W)×45(H)×152(D)mm
■重量:2.1kg
■発売当時の価格:120,000円(税抜)
■発売開始年:1994年

 

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