キーボーディスト、脱初心者を目指す

ピアノ、シンセサイザー、オルガンとか鍵盤楽器もろもろ。関係ない記事もたまにあるよ

AKAI 楽器・機材【Vol.〇〇】

【Vol.361】AKAI S1000KB ~S1000のキーボード版(S1000 Ver2.0の補足もあり)

2018/05/07

 今回取り上げる機材はAKAI professionalのサンプリング・キーボード「S1000KB」です。発売は1988年末~89年1月頃。当時の定価は525,000円でした。

 

AKAI S1000KB

 

 S1000KBは、以前本ブログでも紹介した「AKAI S1000」のキーボード付きバージョンですね。S1000の数ヶ月遅れでリリースされました。まあスペック的にはS1000ほぼそのままという感じなので、記事の内容も重複する箇所も多々ありますがよろしければお付き合いください。
 
 
 

概要

 S1000 バージョン2.0のシステムを標準搭載した、61鍵鍵盤付きS1000であり当時のSシリーズ最新機種。
 
 
 

基本スペック

 16ビット、16ボイス、サンプリング周波数は44.1kHz/22.05kHzで、標準メモリーは2MB(最大8MBまで増設可)。まあこの辺りはS1000に同じです。鍵盤部は61鍵で、タッチセンスにも対応。
 
 
 またS1000と同じく正弦波、ノコギリ波、矩形波、パルス波の4種類のシンセ波形も内蔵。他にもフィルターやピッチ・モジュレーション、エンベロープ・ジェネレーター(2系統)も搭載しており、ちょっとしたシンセサイズも可能となっています。
 
 
 

操作性について

 サンプリングされた波形データはグラフィカルLCDに表示され、スタート・ポイント/エンド・ポイント、あるいはループなどのエディットに素早く移行できるようになっています。また画面のスケールを変更することにより波形のズーム・イン/ズーム・アウトも可能で、より細かな編集も直感に頼らず細かく行うことができますね。
 
 
 ラック型のS1000とはスイッチ、つまみ(ダイヤル)のデザインは異なりますが、配置および機能はほぼ同じと言っていいでしょう。
 
 
 

入出力端子

 入出力端子についてもラック型とほぼ同様ですね。アウトプットについてはステレオ・アウトのほかに8つのパラ・アウト端子を装備。またインプットについては、通常のフォン端子に加えXLR端子(キャノン)にも対応しています。なおこれら各種端子は本体のリア・パネルに全て集約。
 
 
 以上がざっくりS1000KBについてですが、内部仕様についてはラック型のS1000とほぼ同じなので、予想通りS1000の焼き直し記事みたいな感じになってしまいました。。まあ大目に見てくだされ。

 

スポンサーリンク

 

 

ほそく

 というわけでS1000KB本体の記事が早々と終わってしまったので(汗)、“バージョン2.0”について以下記述してみましょう。
 
 
 なお “S1000 システム・バージョン2.0”とは、S1000シリーズ共通の内部OSのバージョンのことであり、以前の1.0からのアップデート版です。S1000KBでは最初からバージョン2.0となっています(S1000ではソフトによりアップデートが可能)
 
 
 

バージョン2.0での主な追加機能

■サンプリング・レートの変更を後から可能

 S1000シリーズ共通のMaxサンプリング周波数は44.1kHzですが、バージョン2.0では、サンプリングした後にレートを8~65.535kHzの間で変更することが可能になりました。
 
 

■タイム・ストレッチ機能

 サンプル波形の任意の区間を圧縮(あるいは伸張)できるという機能。データの特定部分を伸ばしたり縮めたりすることができるということで、つまりはサンプル・タイムの可変ができるということです。
 
 10%程度の可変幅だったら元音のニュアンスはほぼ損なわれませんし、あえて200%などとして、意図的にサウンドの質感を変えることも可能です(→ロボットボイスっぽくなる)
 
 

■ベロシティによるスタート・ポイントの可変

 文字通り、ベロシティ(→鍵盤を押す速さ)によりサンプル・データのスタート・ポイントを変えることができるという機能。通常のスタート・ポイント(いわゆるサウンドのアタマ)とは別に、ベロシティ値によって2ヶ所目のスタート・ポイントを設けられるということです。
 
 実際の使い方としては、アタックの強いストリングス音色サンプルなどに掛けると効果的かもしれません。弱く弾くとスタート・ポイントがずれてアタック部分をスキップ(省略)できるので、シンセの単純なベロシティ変化とはまた一味違ったニュアンスを表現できるかもです。
 
 

■プログラム・チェンジによるハードディスクからのデータのロード

 あらかじめボリューム・ラベル(※1)をプログラム・チェンジのナンバーに対応させておくことにより、外部MIDI機器からのプログラム・チェンジ情報によって、ハードディスクからのデータの呼び出し(→ラベル検索)が行えるようになるというもの。
 
 うーん、ちょっと分かりにくいでかね。。まあS1000HD(あるいはハードディスクを増設したS1000やS1000KB)において、シーケンサーからのプログラム・チェンジ情報受信によって、読み込みに時間のかかる長大なデータも事前に(前の曲の演奏中に)ロードができるということで、ライブ向けの機能の一つといったところでしょうか。
 
 S1000KBではハードディスクを読み込みつつ演奏も可能であり、それが本機の最大の特徴と言ってもいいかもしれません。
 
 

■S900のデータとの互換性向上

 S1000シリーズとS900のデータは、サンプル・データとループ・ポイントのみ互換性があったのですが、バージョン2.0ではキー・グループ(→複数のサンプルをキーボードに割り当てた際の、ひとまとまりの設定単位のこと)も互換性を持つようになりました
 
 

■2つのサンプル・データのマージ(結合)

 2つのデータを結合して新しいサンプルを作り出すことができる機能。旧バージョンでは、2つの異なったサンプル・データを結合しようとする場合、2音色分のキー・グループを作ってデュアル・サウンドにしていたところを、1つのサウンドにまとめることができるようになったというところです。
 
 
 こんなところでしょうか。。なおバージョン2.0では、当時大容量データを扱えるということで最先端デバイスだった「オプティカル・ディスク」(CD-ROMなど)にも対応するようになりました。

 

スポンサーリンク

 

 

個人的かんそう

 S1000の機能はそのままに、鍵盤が付いて初心者でも扱いやすいサンプリング・キーボードといったところでしょうか。いずれにせよ演奏用の鍵盤は必要となるので、サンプリング中心の音楽制作(および演奏)において最初の一台として本機を選ぶのは悪くなかったと思います。
 
 
 とはいえ何ですかこのデカさは!!(驚)。奥行深すぎでしょう~ 当時のアカイさん。。とゆうことでラック型のS1000シリーズに比べて、極端に目にする機会が少なかったのがこのS1000KBの実際だったりします。良く言えばレア・サンプラーですが、実際そんなに売れなかったのでしょうね。。 
 
 
 
 関連記事(AKAIサンプラーSシリーズ):
 「AKAI S612 ~アカイ・サンプラー「S」の元祖[1985年]
 「AKAI S900 ~世界中に広まったアカイ・サンプラーの定番機[1986年]
 「AKAI S1000(/S1000HD/S1000PB) ~ステレオサンプリングに対応した…
 「AKAI S01 ~10万円を切るお手頃・イージーサンプラー[1992年]
 「AKAI S2000 ~AKAIとMacの強力タッグ!?サンプラー[1995年]
 

 ---

※1 ボリューム・ラベル …S1000のほか、当時の一般的なサンプラーで多く採用されていたボリューム管理用のラベルのこと。ここでのボリュームとは、1つのサウンドを構成するいくつかのパラメーターの集合体のことを指す。

仕様
■鍵盤:61鍵(タッチセンス付き)
■サンプリングビット数:16ビット(リニア)
■サンプリング周波数:44.1kHz/22.05kHz
■最大サンプリング数:200
■最大プログラム数:100
■最大同時発音数:16ボイス
■メモリー容量:2MB(最大8MBまで拡張可能)
■サンプリングタイム(2MB):
 モノラル時:23.76秒(※44.1kHzの場合)、47.52秒(※22.05kHzの場合)
 ステレオ時:11.88秒(※44.1kHzの場合)、23.76秒(※22.05kHzの場合)
■内蔵ディスクドライブ:3.5インチ(2HD,2DD)
■外形寸法:1112(W)×127(H)×520(D)mm
■重量:26kg
■発売開始年:1988~89年
■発売当時の価格:525,000円

 

関連記事および広告

関連記事および広告


-AKAI, 楽器・機材【Vol.〇〇】