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Roland 楽器・機材【Vol.〇〇】

【Vol.350】Roland XP-80 ~XP-50をリファインした76鍵仕様シンセ[1996年]

 今回は、ローランドが1996年に発売した「XP-80」というシンセを紹介してみたいと思います。前年に発売されたXP-50の概ね76鍵版と言えますが、LCD画面が大きくなってたり、鍵盤タッチにウェイトが付いていたりといくつかグレードアップ点が見られますね。定価は235,000円でした。

 

Roland XP-80

 

 同時発音数は64音で、マルチティンバーは16パート。ミュージック・ワークステーションXPシリーズの最上位モデルといったところ。とはいえ基本仕様はXP-50をベースにしていると言ってもいいですね。XP-50および、エントリーモデルのXP-10との比較も織り交ぜつつ展開してみましょう。
 
 
 

音色について(個人的所感入り)

 プリセット・メモリーは、音色の基本単位となるパッチが512音色、パフォーマンス(→パッチを組み合わせたもの)が64音色、リズムセットが8つ内蔵(他にもGM音色もあり)。この辺りの構成はXP-50と同様であり、パッチもごく一部を除いてほぼXP-50を踏襲しています。ひいてはJV-1080譲りと言ってもいいかもしれません。
 
 関連記事:「Roland JV-1080 ~90年代の人気音源モジュール(前編)
 
 
 作った音色を記憶できるユーザー・メモリーは、パッチ128音色、パフォーマンス32、リズムセット2となっていて、こちらも(XP-50に)同じです。
 
 
 僕はXP-50をファースト・シンセとして入手し数年愛用していたのですが、XP-80の音色インプレッションとしては、正直体感上あまり目新しさはありませんでした。とはいえD/Aが改良されているらしく、音質的には若干向上しているそうです。なお拡張音源ボード(SR-JV80シリーズ)は4枚まで同時装着可能であり、これもXP-50と同じですね。
 
 
 

操作感

 まず、ディスプレイが大画面ですね。これは同社のJD-990で採用された320×80のフルドットLCDを踏襲しています。音源波形や各種エンベロープ・カーブなども非常にグラフィカルに表示されるので、この点はXP-50(あるいはXP-10、JV-1080)よりあからさまに使いやすくなっています(笑)。パッチ名の文字が大きいのもライブ派キーボーディストにとってはうれしいですね。
 
 
 音色選択にはバンク/ナンバーのセレクト・ボタンが装備され(→XP-50にはなかった)、こちらもぐっと使いやすくなっている印象です。特定のパッチ(音色)を名前で検索したい際は、ディスプレイにパッチのリストを表示させ10個単位で切り替えつつ、目的のパッチに素早くアクセスすることが可能。大型LCDディスプレイならではといったところです。
 
 
 

内蔵シーケンサー

 メインの16トラックに加え、100個のパターン・トラックを装備。記憶容量はXP-50の約3倍に当たる60,000音を実現しています。
 
 
 XP-50には見られない機能としては「アルペジエーター」を搭載している点でしょう。これはXP-10で好評だったそれを受け継いだものであり、外部MIDI機器からアルペジオ演奏をコントロールしたり、内蔵シーケンサーに同期させながら録音することも可能です。このアルペジオ・パターンは、従来のアップ/ダウンなどはもちろん、多彩なパターン(全33種類)が用意されており、ちょっとしたトラックメイクのヒントを得る時にも使えると思います。
 
 
 あと、ディスクからダイレクトに曲データを読み出して高速プレイバックできる「クイック・プレイ」や、鍵盤1つで次々とパターン・トラックを再生する「RPS(リアルタイム・フレーズ・シーケンス)」なんかもXP-50から受け継いでいますね。
 
 
 

鍵盤タッチについて

 XP-80では、XP-50よりも若干ウェイトが感じられるタッチを備えています。これは鍵盤の裏に一枚一枚 “おもり”を接着剤により貼り付けていたことによるのですが、初期ロットにおいてはこの接着剤が溶けてきてしまうという不具合があったそうです。今からオークション等で本機を入手する予定の人は一応気を付けてください。あとLCDのバックライトもね。
 

Roland XP-80(advertisement)
XP-80/ローランド(株) 雑誌広告より画像引用
 
 
 

内蔵エフェクター

 コーラス、リバーブに加え、40種のマルチエフェクト(EFXと呼ばれる)を内蔵。この内蔵エフェクターもXP-50、さらに遡って同社の音源モジュールJV-1080を踏襲しているという感じです。
 
 
 

アウトプットについて

 通常のミックス・アウト(L/R)とは別に、エフェクトの掛かっていない音やEFX音のみをステレオで出力する「ダイレクト・アウト(L/R)」端子も装備。これはXP-50(およびXP-10)では見られないアウトプットですね。実質4パラ・アウトとして使うことができました。
 
ちなみにXP-10で見られたPC接続用のシリアル端子は省略されています。
 
 
 

個人的おもいで

 当時勤務していたシンセ専門店にて本機が入荷された時は、個人的には前年に購入したXP-50にもようやく慣れてきた頃でした。鍵盤タッチはXP-50よりも向上してるし、何よりこの見やすい大型LCDには大いに嫉妬した記憶がよみがえります。。まあスタッフ特権で、店長に頼んでライブ時に何度か貸して頂きましたが(笑)
 
 
 確か1999年のglobeのツアーでは、小室哲哉氏が本機XP-80をソロ・プレイ用としてセットに据えてたんですよね。確かに個人的には、プロでも愛用者が多かったシンセというイメージです。広告でも『プロ仕様XP』などと謳われていますね。
 
 
 
 関連記事(ローランドXPシリーズ):
 「Roland XP-50 ~マイ・ファーストシンセ回顧録
 「Roland XP-10 ~アルペジエーター搭載・普及型シンセ
 

仕様
■鍵盤:76鍵(ベロシティ/チャンネル・アフタータッチ付き)
■シンセサイザー部
 音源:PCM方式
 パート数:16(パート10はリズム・パート)
 最大同時発音数:64音
 エフェクト:EFX40種、リバーブ1種、コーラス1種(8タイプ)
 プリセットメモリー:パッチ512、パフォーマンス64、リズムセット8
 ユーザーメモリー:パッチ128、パフォーマンス32、リズムセット2
■シーケンサー部
 トラック数:フレーズトラック16、パターントラック1 (100パターンまで作成可能)、テンポトラック1 、ビートトラック1
 インターナルメモリー:ソング数1、記憶音数 約60,000音、ソング長 9,998小節
 分解能:96クロック/4分音符
 データ入力方式:リアルタイム/ステップ

■外形寸法:1238(W)×107(H)×349(D)mm
■重量:12.9kg
■発売当時の価格:235,000円(税別)
■発売開始年:1996年

 

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