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1970~80年代'' YAMAHA 楽器・機材【Vol.〇〇】

【Vol.328】YAMAHA MUSIC COMPUTER 「CX5」 ~元祖・ミュージックコンピューター[1983年]

2018/07/01

 今回は変わり種として、YAMAHAがかつて発売した “ミュージック・コンピューター”・「CX5」を紹介してみましょう。発売は1983年。定価は59,800円。いわゆるMSXパソコンですね。

 

YAMAHA MUSIC COMPUTER CX5

 

 若い人は知らないだろうけど、80年代にはこのように “MSX”という統一規格のもとに、各社が互換性のあるパソコンをこぞって作っていたのです。
 
 
 今でもNECやら東芝やら富士通などのメーカーが、各社のカラーを出しつつもWindowsで動作するパソコン(DOS/V機)を作ってますよね。そんな感じで、基本仕様が決められていたかつてのMSXも、各社が個性を出そうと様々な趣向のものがリリースされたのです。今回のCX5はヤマハならではの、まさに元祖・音楽制作専用パソコンといったところですね。
 
 
 

パソコンとしての基本装備

 CX5の本体背面にはディスプレイモニターとつなげる端子、カセットテープレコーダーやプリンターとつなげる端子などが搭載されています。モニターはパソコン専用のものはもちろん、家庭用TVでも表示ができるようになっています。
 
 
 そしてパネルトップ右上には、ファミコンのように上からカートリッジを差し込むための「ROMカードリッジ」用スロットが搭載。まあこのスロットは実際、市販のゲームソフトなどでゲームを楽しむ人が多かったことから「ゲームカートリッジ・スロット」とも呼ばれました。なおMSX本体で鳴らせる音数は3音までです。
 
 
 ここまではMSXパソコンに概ね共通する基本仕様といった感じでしょうか。“CX5ならでは”の装備としては、本体左横に設けられた「サイドスロット」というのが特徴的ですね。
 

YAMAHA MUSIC COMPUTER CX5(advertisement)
CX5/ヤマハ(株) 雑誌広告より画像引用

 

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接続図(例)

 

接続例はざっくり上図のような感じになります。以下は詳細。

FMサウンド シンセサイザーユニット・SFG-01

YAMAHA SFG-01

 CX5にFM音源シンセサイザー機能をプラスするオプション・ユニット。これにより、FM音源方式による8音ポリ(46音色)のデジタル・シンセサイザー機能を追加することができます。発売開始時の定価は19,800円でした。まあこれがないとCX5はただのMSXパソコンですね。。
 
 
 このSFG-01には専用の「ミュージックキーボード・YK-10」(定価29,800円)という、49鍵仕様の標準サイズ鍵盤とつなげるための接続端子が設けられています。また2チャンネルのオーディオ出力端子も備えているので、図のようにオーディオ装置を接続して音を鳴らすこともできます。
 
 

補足・MIDIユニット「SMD-01」について

 こちらのユニットも、前述したSFG-01と同様にサイドスロットに追加するもの。SMD-01ではMIDI端子を装備していたため、外部のFM音源シンセなどとつなげることができます。『DX7だったら既に持ってる』といったユーザーにとっては、こちらのユニットという選択もありました。
 
 
 

ROMカードリッジ

 CX5本体右上にあるファミコンチック?なROMカートリッジ・スロットには、様々な種類のROMカートリッジの中から一つを選んで装着することができました。音楽方面でリリースされたカートリッジの中からいくつか紹介してみましょう。
 

■FMミュージックコンポーザー・YRM-15

YAMAHA YRM-15

 
 FMサウンドシンセサイザーユニットをコントロールして自動演奏を行うソフト。そう、これはCRT画面上でデータを入力・操作して「再生(自動演奏)」することができるいわゆるシーケンサーです。CX5を音楽制作目的で購入した人にとっては、上記の「SFG-01」と「YRM-15」はほぼセットで購入すべきオプションという感じだったと記憶しています。
 
 
 入力の基本は、画面に表示される五線譜に直接音符などを置いていくという方式。画面上でカーソルを移動して音符を入力するか、あるいは前述したミュージックキーボードから演奏して入力も可。コマンド数は全部で73種類あったそうです。
 
 
 これらは8パートまで自動演奏可能で、演奏表現としてはf、p、mfなどの強弱、rit(リタルダンド)などの指定も可能。もちろん各パートごと異なる音色を指定してもOK。定価は7,800円でした。
 
 
 

■FMミュージック マクロ・YRM-11

 FMサウンドシンセサイザーユニットを、BASICプログラムにて活用するための拡張BASIC。これにより(8パート)自動演奏や音声合成による発音などが可能になります。
 
 

■FM音色プログラム・YRM-12

 FMサウンドシンセサイザーユニットをコントロールして、自由な音色作りを可能にするソフト。音色設定はMSXのキーボードから各パラメーターを入力。パラメーターはCRT画面上に表示されそれを見ながら設定が行えます。
 
 

■DX-7音色プログラム・YRM-13
■DX-9音色プログラム・YRM-14

 同社のデジタルシンセ「DX7」「DX9」の音色をMSXを使って作成するためのプログラム。音色作成に必要なパラメーターを画面で確認しながら操作できるようになっています。なおDXとのデータのやり取りはMIDIを使用。
 
 
 

つぶやき的な

 SFG-01のオプションボードの装着が必須だったとはいえ、確かパソコンにFM音源が搭載されたのは本機CX5が初だったと記憶しています(※1)。その後の同社の製品ラインとしては、PCのキーボードが変更されたCX5F、カートリッジスロットを2つ装備したCX11、さらにMSX2の「CX7/128」に続くなど、元祖・お手頃音楽制作向けパソコンとして存在感を放ちました。
 

YAMAHA CX5F

YAMAHA CX5F

 

 そして何より安かった! 当時プロが使うようなPC(MacintoshやATARI、NEC PC-9800など)をベースに本格コンピューター・ミュージックシステムを組もうとすると、あっという間に50万円以上とかの世界でした(※PC本体のコスト含む)。
 
 
 そこでこのCX5をベースにすれば「FM音源+PCベースのシーケンサー」という必要最低限のシステムが10万そこそこで組めたということで、一気にコンピューター・ミュージックが身近になったという感じだったのです。
 
 
 そうはいっても今日のソフトウェア・シーケンサーのような操作感を得られたわけではなく、打ち込みに関しては結構な使いにくさ・難しさがあったそうですね。。
 
 
 
 関連記事:
 「YAMAHA MUSIC COMPUTER 「C1」 ~80年代の音楽専用コンピューター!
 「NEC PC-6001 ~パピコン、ぱっ![1981年]
 
 
 

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※1 …FM音源が本体に標準搭載されたパソコンとしては、NEC PC-6001mkIISR/PC-6601SR(いずれも1984年11月)が初とされる。

仕様
■CPU:Z80Aコンパチブル(クロック周波数3.579545MHz)
■メモリー
 メインメモリ:32Kバイト、Video RAM:16Kバイト、ROM:32Kバイト

■外形寸法:423(W)×68(H)×208(D)mm
■重量:2.0kg
■発売当時の価格:59,800円
■発売年:1983年

 

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