【Vol.12】CASIO WK-3700 ～多機能なんてもんじゃないポップ・キーボード
2018/11/21
先日近所のスーパーに行ったら、入り口前の駐輪場で近所の高校生（の音楽部員？）がライブをしていました。ドラム（実際は電子ドラム）やギター、ベース、さらにはトランペットも入っていて、編成は本格的です。もちろん鍵盤奏者もいましたよー。
演奏ジャンルは様々でしたが、なるべく曲を途切れさせないようメドレー形式になっており、結構楽しませて頂きました。テンポよかったです。
そこで目にしたのが銀色のキーボード（写真奥と中央）で、エレピっぽい音が結構いい感じで鳴っていました。気になったので家に帰ってちょっと調べてみたところ、CASIO WK-3700というキーボードみたいです。2005～06年頃に発売されたものと思われます。ちなみにWKという頭の型名は基本的に76鍵以上の機種に付くみたいですね。
CASIOのWKシリーズといえば、いわゆる「ポップ・キーボード」と呼ばれるカテゴリーのものです。なまじシンセサイザーに詳しい人にとってかかられると、「何だ初心者向けか」とか、「家電量販店の隅っこに置いてあるやつね」とか、果ては「幼児向けおもちゃ」なんてひどい扱いをされてしまうこともあります。
いやいや、このCASIO WK-3700、よくよく調べたらかなりのポテンシャルなんですよ！
当時の他のワークステーションシンセに決してひけを取りません。ちょっと内容を挙げてみましょう。
・内蔵音色数は550
・自動伴奏機能付き（コードを指定するだけで、リズム、ベース音、コード楽器の伴奏が自動的に演奏される）
・自動演奏のリズムは176種（160プリセット＋16ユーザー）
内蔵音色550は結構な数ですが、自動伴奏機能はこのカテゴリーお得意の分野なので、さほど驚くべきスペックではないかもしれません。でもまだまだこんなもんじゃないですよ～
・シンセ機能搭載（内蔵音色を加工してオリジナルの音色作成が可能）
・音色はカットオフ、レゾナンスなどが調整可能
・リバーブ、コーラス、DSPエフェクト、4バンドイコライザーを装備
おおっ！ここまで来ると立派な “シンセサイザー”じゃないですか。シンセには付き物の、ピッチベンドホイールやモジュレーションホイールもちゃんと搭載されています。次、すごいのが来ますよ（笑）
・ドローバー方式のオルガン同様に音色を合成可能
なんですと！？
9本のドローバー（※物理ドローバーは付いてない）を使った各倍音の音量設定と、パーカッションやクリック切り替えによる音作りができるそうです。しかもパラメーターが「16'、5 1/3'、8'、4'、2 2/3'、2'、1 3/5'、1 1/3'、1'」といった感じで、オルガン通にしか分からないフィート表示になっています。これは驚いた。いやまじで。HAMMONDかよ（笑）
つぶやき的な
そんな感じで、本機は相当なポテンシャルを秘めていると言っていい内容となっています。「幼児向けおもちゃ」なんて言った人、とりあえず謝っておきましょう（笑）
外部メディアも、スマートメディアおよびフロッピーディスク(3.5インチ)に対応していて、本機のソングメモリー機能やシンセ機能などで作成した様々なデータを保存できます。GM音源も内蔵しているので、PC上で作成・保存したフロッピーディスク上のSMF（スタンダードMIDIファイル）形式のファイルを、そのままこのWK-3700で再生することも可能です。
もちろん音の太さとか存在感とかは本家のシンセやオルガンには敵いませんが、76鍵盤で、当時の実売価格が10万円以下だったことを鑑みると立派すぎるスペックです。
というわけで音楽部員のみなさん！ ちゃんと使いこなしてあげてね。
関連記事：「CASIO WK-3500 ～多機能・低価格な2000年代ポップ・キーボードの秀作」
仕様
■鍵盤：76鍵（タッチレスポンス機能付き）
■最大同時発音数：32音（一部音色により最大10音）
■内蔵音色：合計824音色
332アドバンスト音色＋200プリセット音色＋18ドラム音色＋100通常のユーザ音色＋20波形付きユーザー音色＋4波形付きドラム音色＋50ドローバーオルガン音色＋100ユーザー・ドローバーオルガン音色
■ドローバーオルガン機能：
ドローバー9本（16'、5 1/3'、8'、4'、2 2/3'、2'、1 3/5'、1 1/3'、1）
パーカッション：Second/Third
■ソングメモリー機能：5曲（6トラック、約10,000音）
■自動伴奏機能：リズムパターン数176種類
■内蔵デモ演奏曲：3曲
■外形寸法：1223(W)×160(H)×423(D)mm
■重量：約10.0kg（電池除く）