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1990年代' Roland 楽器・機材【Vol.〇〇】

【Vol.277】Roland SC-55 ~ローランドの初期DTM音源モジュール。リモコンも付いたよ![1991年]

2018/11/26

 

 

 今回紹介する電子楽器は、ローランドが1991年に発売した「SOUND CANVAS SC-55」というハーフラック音源モジュールです。当時の定価は69,000円(税別)。主に90年代、DTM向け音源モジュールとして、YAMAHAのMUシリーズと共にデファクトスタンダード(事実上の標準機)となったSCシリーズの中の一つですね。

 

Roland SC-55

 

 本機SC-55が登場したのはWindows95が登場する4年も前のことであり、当時の本格派向けDTMというとMacintoshやATARIといったコンピューターを使った音楽制作が主流の時代でした。また、たとえ高価なPCには手が出なかったとしも、従来のハードウェア・シーケンサー(同社のMC-50など)の音源としてもよく組み合わせて使われました。
 
 
 

SC-55音源仕様

 同時発音数24音、16パート・マルチティンバーの「GMシステム/GSフォーマット対応」のハーフラック音源モジュール。内蔵音色は以下のようになっています。

 187音色(+8ドラムセット+1SFXセット)  ※GSスタンダード対応を含む
 128音色(+1ドラムセット) ※同社のMT-32と同等の音色配列

 
 上記の187+128音色を合計し、総数は315音色(ドラムおよびSFXセットは計10セット)ですね。今見れば何てことはない数字なのですが、当時としてはこれだけあれば様々な音楽ジャンルをカバーできるということで注目を集めたわけです。
 
 
 

補足・上記の “187音色”について

 GMシステム/GSフォーマット対応の128音色を基本的な音色(→これをキャピタルと言う)とし、そのキャピタルを元にして作られた「バリエーション」が59音色で、合計187音色ということだそうです。
 
 
 

音色エディットについて

 パートごと(使う音色ごと)にはレベル、ビブラート、パンニングなどの設定変更が行えます。ここまでは普通なのですが、本機ではTVFやTVAも備えており、カットオフ・フリケンシー、レゾナンス、エンベロープ(ADSR)など音色のニュアンスに直接的に作用するエディットを施すこともできます。
 
 
 なお本機にメモリー機能みたいなものはないので、エディットした設定は外部シーケンサーなどに保存しておく必要があります。
 
 
 

内蔵エフェクターについて

 デジタル・リバーブおよびコーラスを内蔵。リバーブはROOM、HALL、PLATEなど全8タイプ、コーラスもフィードバック・コーラスやフランジャーなど全8タイプを揃えています。
 
 
 従来のマルチティンバー音源だったら、各パート共通のリバーブ/コーラスにとどまっていたものが多かったのですが、本機では各パートごとにリバーブ/コーラスの変化量を0~127の範囲で独立して掛けられる点が特筆すべき点だったと言えるでしょう。
 
 
 とはいえ、(上記のTVFやTVAなどの操作にも言えることですが)、本機では各ボタンごとに複数の様々な機能を持たせており、数少ないボタンでそれらを使いこなすのは相当大変だったそうですよ。

 

 

 

赤外線リモコン付属!

 本機にはカード型のリモコンが付属しており、ちょっと離れた場所からでも一部の操作(PART、INST、LEVEL、REVERBの変更)ができました。
 
 
 音源モジュールにリモコン!?ということで非常に珍しい仕様になっていますね。寝っ転がりながらパートやレベルを変更できて、「こりゃ便利だわい」と恩恵を感じた人はどれだけいたのかは謎ですが(笑)。。
 
 
 ちなみに、本機SC-55と同時発売された兄弟機のような「SB-55」(→同じくハーフラックサイズのプレイバック・シーケンサー)にもリモコンが付属されていました。リモコンは両機種共通で、上半分はSC-55用、下半分がSB-55用のボタンが配されています。
 
 
 なるほど、シーケンサー(SB-55)としてはリモコンで曲のPLAY/STOPなどができるのはちょっと便利であり、一緒に開発・発売するからということでSC-55も(やや強引に)リモコンに対応したのかもしれません。。
 

Roland SB-55(advertisement)
SC-55, SB-55/ローランド(株) 雑誌広告より画像引用
 
 
 

つぶやき的な

 のちのSOUND CANVASシリーズ(SC-55mkII、SC-88シリーズ等)に継承される、SCならではの “顔”が本機で確立されたという印象ですね。各パートごとのレベルなどを素早く視認できるオレンジバックのLCD画面や、パネル右側に寄せられた各種パラメーターの「◀▶」ボタンなどのインターフェイスは、“サウンド・キャンバスならでは”といった感じです。
 
 
 SC-55の音源方式は明記されていませんが(RS-PCM?)、当時は同社のLA音源などで見られた「パーシャル」の語がユーザー同士の会話でもしばしば登場しました。本機の同時発音数は一応24ボイスとなっていますが、使用パーシャル数が大きい「バリエーション音色」で曲を作っていくと発音数不足を起こし音が途切れたりと、なかなかの苦労が伴ったらしいですよ(→音色により1音色で2ボイス [パーシャル]消費することもあった)。
 
 
 
 関連記事:
 「Roland SB-55 ~SC-55と同時発売のMIDIファイル・プレイヤー[1991年]
 「Roland P-55 ~ローランドDTMモジュール・“SOUND CANVAS”のピアノ特化版
 

仕様
■最大同時発音数:24音
■パート数:16マルチティンバー
■音色数:
 187音色(+8ドラムセット+1SFXセット)  ※GSスタンダード対応を含む
 128音色(+1ドラムセット) ※同社のMT-32と同等の音色配列
■エフェクト:リバーブ、コーラス
■外形寸法:218(W)×44(H)×297(D)mm
■重量:1.4kg
■発売当時の価格:69,000円(税別)
■発売開始年:1991年

 

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