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テキスト




CASIO 楽器・機材【Vol.〇〇】

【Vol.276】CASIO CZ-1000 ~CZ-101の標準鍵盤搭載モデル[1985年]

2018/02/19

 今回取り上げるシンセサイザーは、1985年初頭にカシオから発売された「CZ-1000」です。以前本ブログでも紹介した「CZ-101」の鍵盤部をミニ鍵盤から標準鍵盤に変更したという感じですね。スイッチ類の配置もほぼ同じで、音源方式(PD音源)、構成(2系統のDCO+DCW+DCA)などのいわゆる基本仕様もCZ-101と全く同様。CZ-1000の定価は110,000円でした(※CZ-101は89,000円)

 

CASIO CZ-1000

 

 本ブログにてCZ-101の記事は既に書いているので、じゃあ詳しくはそちらを読んでくださいってことになるのですが、それだと余りにも芸がないので(笑)、本記事では、CZ-101記事で簡単に説明してしまった部分などを掘り下げて記述してみたいと思います。
 

 
 
 

PD音源方式について(CZ-101/CZ-1000共通)

 PDとは「Phaze Distortion」の略であり、これはROMに書き込まれた正弦波(サイン波)もしくは余弦波(コサイン波)を、読み出す位相角を歪ませることで様々な波形を得るという、カシオ独自のシンセシス方式。本機ではそのPD音源によって作られた基本波形8種を様々に組み合わせた32音色をプリセットで内蔵しています。
 
 
 柔らかいアナログ系のサウンドから金属的な効果音など様々な倍音を作り出すことができ、ピアノ、オルガン、ギター、ブラス、ストリングス、パーカッション、効果音系など多彩な音色に対応します。
 
 
 

アナログ・シンセとほぼ同様の構成(CZ-101/CZ-1000共通)

 本機は全てデジタル・コントロールであるものの、ブロック構成はアナログシンセのそれをほぼ踏襲した仕様となっており、アナログ感覚で音作りが行えます。
 
 
 「DCO」がいわゆる(デジタル)オシレーター、「DCW」がアナログシンセでいうところのVCF、「DCA」がVCAといった感じでそれぞれ2系統搭載。おおまかにDCO【Digital Controlled Oscillator】→DCW【Digital Controlled Waveform】→DCA【Digital Controlled Amplitude】という流れで音作りを行うようになっています。
 
 
 

最大8ステップのエンベロープ(CZ-101/CZ-1000共通)

 本機では、2系統のDCO、DCW、DCAにそれぞれ独立したエンベロープ・ジェネレーター(以下EG)を持っています。一般的なEGといえば【ADSR方式】(→アタック、ディケイ、サスティン、リリースの4ステップ)が採用されることが多いのですが、本機ではそれが8ステップまで可能。つまりどういうことでしょう?? 図を描いてみました。

 


 上図は一般的なADSR。(例えばピアノ音色をモデルにすると)大体このような感じになります。
 
 
 

EG-2

 一例として、アタックからサスティン・ポイントまでの数を増やして全7ステップで描いたEG。『EGが8ポイント可能だからって、どうやって音作りをしていったらいいか見当も付かん!』という人にとっては、こういったアプローチも面白いかもという一つのアイディアです。
 
 
 

 こちらは全8ポイントをフルに使ったEGの一例。本機ではこのようなEGを、各2系統のオシレーター(DCO)、フィルター(DCW)、アンプ(DCA)に個別に設定できます。上図の例で仮にDCAに掛けたとすると、リリース(離鍵)後にちょっとしたディレイ効果が生み出せます。
 
 
 

音色メモリーについて

 32音色のプリセット・エリアの他に、16音色分のインターナル・メモリー・エリア(→いわゆるユーザー・エリア)も用意されています。また別売りのRAMカートリッジ(RA-3:当時の定価6,800円)によりさらに16音色が記憶可能に。
 
 

 

 

ショルダーキーボードとしても使用可能

 本機でもCZ-101同様乾電池駆動が可能で、ショルダー演奏用のストラップ・ピンも付いていることから、多少重くてかさばる(→5.5kg)とはいえ一応ショルダープレイも楽しめる仕様となっています。いや相当重いだろ。。。
 

CASIO CZ-1000(advertisement)
CZ-1000, CZ-101/カシオ計算機(株) 雑誌広告より画像引用
 
 
 

つぶやき的な

 CZ-101発売からCZ-1000リリースまでのスパン(期間)は3ヶ月程度と実はそれほど長くなくて、今の感覚で言うところの『中身は同じで鍵盤違いモデルもついでに作っちゃおうか』みたいな感じに取れますね(笑)
 
 
 発表されてから間もないMIDI機能もふんだんに搭載しており、本機をMIDIモノ・モードにすれば、完全独立した4台分のモノシンセとして扱うこともできました。鍵盤数が少ないとはいえ、標準鍵盤を備えた本格シンセサイザーが定価11万円というお手頃設定だったということで、メーカーとしても期待を寄せていたのだと思われます。
 
 
 とはいえやはりこの頃のデジタルシンセといえば “DX7一強”の時代。本機とYAMAHA DX7をMIDI接続しての操作ノウハウ記事なんかも雑誌で組まれていましたが、CZ-1000自体はさほど注目されることもなく消えていったというイメージでしょうか。最大8ステップのEGといっても、当時の一般的なユーザーにとってはちょっと手に余る仕様だったのではないかと。。
 
 
 ちなみに本機リリースの数か月後にはすぐさま「CZ-5000」というニューモデルが投入されており、おおやっぱり可哀そうなCZ-1000という個人的イメージです。。
 
 
 
 関連記事:「CASIO CZ-101 ~PD音源方式を採用した本格派シンセサイザー
 

仕様
■鍵盤:49鍵(標準鍵盤仕様)
■音色メモリー:プリセット32、インターナル16、外部RAM16
■最大同時発音数:8音(1系統の場合。2系統だと4音)
■エフェクト:ピッチベンド、ベンド・レンジ、ビブラートON/OFF、ポルタメント・タイム、ポルタメントON/OFF、ソロ、トーン・ミックス、キー・トランスポーズ
■電源:家庭用電源、乾電池(単1×6本)、カーバッテリー
■外形寸法:785(W)×90(H)×300(D)mm
■重量:5.5kg(乾電池含む)
■発売開始年:1985年
■発売当時の価格:110,000円

 

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