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KAWAI 楽器・機材【Vol.〇〇】

【Vol.254】KAWAI MX-8R ~MIDIスルー・ボックスも内蔵した8chミキサー[1986年]

2018/11/26

 

 

 今回ご紹介する機材は、KAWAIが1986年に発売した2Uラックマウント・ミキサー「MX-8R」です。以前本ブログでも紹介した「KAWAI MX-8SR ~ラックマウント・ミキサーのベストセラー」の前身となるモデルですね。本機MX-8RにはMIDIスルー・ボックス(→後述します)も内蔵されてたりして、オーディオの他MIDI機器をまとめることもできる便利なミキサーとして登場しました。

 

KAWAI MX-8R

 

 ラック形状の本機は、他のラックタイプの音源モジュールやエフェクターなどと一緒にラック・システム内に組んでしまえるものであり、ライブ時などでも自宅システムのケーブルばらしを最小限にとどめ、気軽に持ち運べるという便利さが売りでした。
 
 
 

音声入力/出力について

 8ch入力の、2ch出力。
 
 8chの入力は標準フォン・ジャックに加えて、チャンネルごとにRCAピン・ジャックも装備されています。ピン・ジャックが主に採用されている音楽機器(例:民生用CDプレーヤー、家庭向け電子ピアノ等)も、変換ジャックを使うことなくダイレクトにつなげることができたという感じですね。
 
 2ch(ステレオ)の出力は、標準フォン・ジャックはもちろんXLR端子(キャノン)にも対応しています。
 
 
 

エフェクト センド&リターンについて

 本機ではエフェクト送り(センド)は2系統(EFFECT1/2)装備されており、それぞれステレオ・リターン用のジャックを備えています。そのため貴重なミキサーチャンネルをエフェクターの返り用につぶさずに済みますね。
 
 
 確かEFFECT1がリバーブ機、EFFECT2がディレイ機につなげるのが推奨されていたと記憶しています。ちなみにEFFECT2にはプリ/ポストの切り替えスイッチも付いています。
 
 
 

MIDI周りについて

 1IN/3THRUのMIDIスルー・ボックスを内蔵。オーディオ信号だけではなくMIDI信号まわりもすっきりまとめることができます。
 
 
 

パネルの構成について

 各チャンネルのレベル調整は縦方向のスライダーで、もちろんチャンネル分(8個)用意されています。あとはEFFECT1のレベル調整つまみが8個、EFFECT2のレベル調整つまみが同じく8個。さらにチャンネルごとのPANつまみも装備されていますね。
 


 
 
 

【補足】MIDIスルー・ボックスとは?

 1系統のMIDI入力(MIDI IN)を複数系統のMIDI信号(→MIDI THRU)に分配して出力する機器のこと。一般に(小さな)箱の形をしていることからボックスという単語が含まれています。
 
 
 複数のMIDI機器をMIDIケーブルで接続する際、MIDI機器のMIDI IN と MIDI THRUを使用してチェーン状につなげるのが一般的です。ただしあまりに接続台数が多い(ケーブル長が長い)とそれだけMIDI信号が劣化することになります。その結果信号が遅延してシーケンサーがジャストのタイミングで発音しなかったり、最悪の場合音が鳴りっぱなしになるなどのMIDIエラーが起こることもあります。
 
そこで使われるのがMIDIスルー・ボックス。イメージとしてはUSBハブみたいな感じです。
 

KENTON THRU-5

(例)KENTON THRU-5

 こういった専用のMIDIスルー・ボックスには、より正確な信号を分配できるようノイズを除去する回路が組み込まれていることが多いです。よって一般的に電源は別途必要となるため、ACアダプターにつなげる必要があるものが多いですね。
 
 
 話を元に戻すと、MX-8Rでは “1IN 3THRU”となっているため、3台までのMIDI機器に分配することができます。当然電源はミキサー部と共有しているのでかさばるACアダプターはありません。

 

 

 

補足の補足

 MIDIスルー・ボックスも、近年ではギターなどのエフェクター・システムでも導入されることが多く、意外と多くの種類が出回っています。上記例のKENTON THRU-5は、MIDIキーボード(あるいはDTM)システムにおけるスルー・ボックスの定番機種の一つといったところですね。
 

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まとめ的な

 MX-8Rは、当時の音楽制作(あるいはライブ)で重要な要素の一つだった「ラック型単体エフェクター」「ラック型音源」を手軽に調整できるミキサーといった印象ですね。2Uのコンパクトなラック・パネル上に、よくぞここまで詰め込んだという印象です。
 
 
 さらに本機の別の売りであるMIDIスルー・ボックスも、当時、増えてきたMIDI音源(シンセ)もスマートにまとめたいというミュージシャンの要望に応える形になったと思います。
 
 
 

個人的つぶやき

 僕も後年MX-8SR(→本機の後継機)を買って10年以上使い続けましたですよ。。2Uラックの縦フェーダーのミキサーって個人的に超便利だと感じているんですけど、最近のメーカーさんは作る気ないんすかねぇ。。
 
 
 関連記事:「KAWAI MX-8SR ~ラックマウント・ミキサーのベストセラー[1989年]
 

仕様
■INPUT:8ch(標準フォン/RCAピン)
■OUTPUT:2ch(標準フォン/キャノン)
■MIDI端子:IN×1、THRU×3
■エフェクト端子:SEND & RETURN(ステレオ)×2
■外形寸法:482(W) x 88(H) x 260(D) mm
■重量:4.5kg
■発売当時の価格:49,800円
■発売開始年:1986年

 

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