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1970~80年代'' YAMAHA 楽器・機材【Vol.〇〇】

【Vol.246】YAMAHA RX8 ~16ビットPCM音源を搭載した80年代リズムマシン[1988年]

2019/04/21

 

 

 さて今回の機材紹介コーナーの一台は、1988年末にヤマハから発売されたリズム・マシン「RX8」です。同社のRXシリーズといえば80年代に集中してリリースされたリズムマシン群として知られているのですが、本機RX8はそのシリーズ末期に発売されたモデルになります。発売時の定価は55,000円。

 

YAMAHA RX8

 

 本機の注目すべきポイントとしては世界初の16ビットPCM音源を内蔵したリズムマシンというところ。それまでのRXシリーズもPCM音源は採用されていたのですが、16ビット・サンプリングにより(当時としては)スーパーリアルな音質を、さらにこの低価格で実現したということで大いに注目を集めました。
 
 
 

音源部

 量子化16ビットD/A変換にてサンプリングされた、リアルなドラム/パーカッション音色群を搭載。当時の16ビット(サンプリング)といえば、音の太さ、豊かなアンビエンス成分、きめ細やかな余韻が見られたりと、“生っぽさ”という観点から見ると非常にリアルな音質を誇っていました。
 
 
 ただしこの価格帯ということもあってか、各音色のサンプリング・タイムは若干短めですね。リバーブ等をかけると使いやすくなるかなという印象です。
 
 
 

内蔵楽器音

 プリセット音は全43種類。以下、全て挙げてみましょう。

●バスドラ(×5) ●スネアドラム(×5) ●リムショット ●タム(×8) ●ハイハット(クローズ、オープン) ●ライド(カップ、エッジ) ●クラッシュ ●ベース(×2) ●マリンバ ●DXオーケストラヒット ●クラップス ●カウベル ●タンバリン ●シェイカー ●コンガ(ハイミュート、ハイオープン、ロー) ●ボンゴ(ハイ、ロー) ●ティンバレス(ハイ、ロー) ●アゴゴ(ハイ、ロー) ●クィーカ ●ホイッスル

 
 バスドラ5音色、スネア5音色、タム8音色、各種シンバル、さらにベース音色も備えているということで、ベーシックなリズム・トラックを組むにはこれ一台でも十分でしょう。なお聞き慣れない「ティンバレス」「アゴゴ」「クィーカ」などはいわゆるラテン系パーカッションですね。
 
 
 あと「DXオーケストラヒット」なる音色がわざわざ内蔵されてるのもちょっとユニークです。
 
 
 

音色エディットについて

 各楽器ごとにピッチ(→音程変化。本機では±1oct内)、ダイナミクス(→音量変化。本機では64ステップ)、パン(→定位変化。本機では16段階)などのエディットを施すことができます。またエフェクト(→フランジャーぽい感じ)、ピッチシフト、リバースなどといった効果を与えるボタンも独立で配されており、気軽に音色変化を得ることができますね。
 
 
 また本機にはマルチ・キー・アサイン機能というのが装備されています。本機には12個の楽器名(音色名)が書かれたパッド(=インストキー)が配されているのですが、この機能を使えば1つの楽器音を、音程やアクセントを変えて12個のインストキーに自在に割り当てが可能になるというものです。
 
 
 なお本機のインストキーには、以前本ブログでも紹介した「KORG DDD-1」のようなダイナミクス・センサーは搭載されていません。
 

YAMAHA RX8(advertisement)
RX8/ヤマハ(株) 雑誌広告より画像引用
 
 
 

メモリー容量

 本体内に最大100パターン、20ソング(最大999パート)が記憶可能。メモリーカードを使用することもでき、また外部カセットにデータを保存しておくこともできます。

 

 

 

オーディオ出力について

 通常のステレオ・アウトプットに加え、エフェクト処理がしやすい2系統の独立アウトプットを備えています。この独立アウトには自由に音色をアサインすることが可能になっており、前述したようにリバーブなどの空間系エフェクターとつなげて使うと効果的だったでしょう。
 
 
 

つぶやき的な

 RX8の登場によって、ドラムマシン界隈でも「16ビットPCMの時代が本格的に到来した」と見られる向きがあったりして、80年代ドラムマシンとしては本機で一応の完成形にたどり着いたと言っていいのかもしれません。実際、80年代後半ぽいサウンドを作る際には結構それっぽい感じのものを作れると思いますよ。まあ音色によっては結構ローファイ感が出てるものもあるので、それはそれで今でも使えるかもしれません。
 
 
 個人的にはこれ『ガンダム』に見えてしょうがないんですよね。。デザインはガンダムの胸部っぽいし、名前のRX8も、ガンダムの型式番号(RX-78)に近いような気がします。。どうでもいいですか。
 
 
 
 関連記事:
 「YAMAHA RX11/RX15 ~普及型リズム・マシンのさきがけ[1984年]
 「YAMAHA RX21 ~80年代半ばのハイコスパ・PCMリズムマシン[1985年]
 

仕様
■音源方式:16ビットPCM音源
■同時発音数:11音(クリック含め12音)
■プリセット音色数:43音色
■メモリー:100パターン、20ソング(最大パート999)
■外形寸法:350.5(W)×58.7(H)×206.2(D)mm
■重量:1.2kg
■価格:55,000円
■発売開始年:1988年12月

 

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