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2000年代~' Roland 楽器・機材【Vol.〇〇】

【Vol.239】Roland JUNO-D ~21世紀によみがえったJUNO [2004年]

2018/11/26

 

 

 今回取り上げるシンセサイザーは、Rolandが2004年に発売した「JUNO-D(ジュノ・ディー)」です。同社のJUNOシリーズとしては前作のαJUNOから実に19年ぶりの登場となりますね! 内容的には、前年に発売されたRoland RS-50の後継機といった印象を受けます。

 

Roland JUNO-D

 

 本機と本機の後継機Juno-Diは一時期どこの貸しスタジオにも置かれていて、ちょっと前までの若いシンセファンにとって非常によく知られているモデルではないでしょうか。軽量・コンパクトながら即使える音色を多数備えた、2000年代を代表するヒット・シンセサイザーでもあります。
 
 
 

Juno-Dの特色

 とにかく軽い!のひと言に尽きるでしょう。61鍵の標準鍵盤を搭載しつつ本体重量はわずか5kg(※ACアダプター除く)。そしていわゆるギタリストみたいに「背負えるソフトケース」が広まったのも本機種辺りからだったと思います。女性でも楽に移動できるこの可搬性の高さは、鍵盤奏者の活動範囲を大きく広げる重要な要素の一つだったと言えるでしょう。
 
 
 なお価格もお安く(オープンプライス。発売当初の市場実勢価格は6.5万円ほど)、バンドに加入することになったシンセ初心者が最初に購入するキーボードとしてもうってつけ。独特のリアルタイム・コントローラーはライブでも活躍しますし、音もメリハリが効いていて実にローランドさんらしいです。ではその音の部分から見ていきます。
 

Roland JUNO-D

バンドメンバー(ギタリスト)の私物であるJUNO-Dをスタジオにて撮影
 
 
 

音源部

 JUNOシリーズとして初めてPCM音源を採用。いわゆるデジタルです。まあ時代的にそうなりますよね。。リアルなピアノ、エレピ、きらびやかなシンセ音色、ライブで使い勝手のよいパッド系やストリングス系音色も充実。本機ではそれら様々な音色が640音色(オリジナルパッチ384+GM2パッチ256)内蔵されています。
 
 
 JUNO-60っぽいブラスとかJUNO-106っぽいストリングスとかも収められていますね。この辺りは「JUNO」をあえて冠したローランドさんのこだわりみたいなものが感じられます。あとはトランス/ダンス系の音色も充実しているのが、実にこの時代のシンセっぽい(笑)
 
 
 

音色エディットについて

 音色(ローランドでは基本的に“パッチ”と呼ぶ)は、元となる640種もの「トーン」の中から1~2つを組み合わせて作るというシンプルなもの。
 
 
 なお本機のフロントパネル右上には「パッチ・モディファイ」と書かれたセクションがあり、エンベロープ(ENV)を選択した場合は「アタック」「ディケイ」「リリース」がつまみにより調節可能(※モードを変更すれば同様のつまみでLFOやトーン・バランスなどを調整可)。また「カットオフ」「レゾナンス」つまみも独立して付いています。
 
 
 また本機にはWindows/MacOS対応のエディター・ソフト(および音色管理用ライブラリアン)も付属されていました。これによりPC上での分かりやすい音色エディットはもちろん、音色の保存もできたという感じです。
 
 
 個人的には、ローランドさんのこの価格帯の音色というのは「派手」という印象ですね。ヤマハ、コルグよりもインパクトがあり、エディットの必要性もあまりないものが多いと思います。ただしありがちなプリセット音色は飽きがくるのも早いですし、いずれは自分で音作りをする必要が出てくるかもしれません。本機で未知の音色を創り出すのは若干難しいところですが、アタックのスピードやフィルターのニュアンスくらいは簡単に変えられるので、初心者が音作りの楽しみを見出すには十分な一台だと思います。
 

Roland JUNO-D(advertisement)
JUNO-D/ローランド(株) 雑誌広告より画像引用
 
 
 

Dビーム・コントローラー

 パネル上のセンサーに向かって手をかざすだけで、簡単にパラメーターを変化させることができるローランド独自のコントローラー。
 
 
 「SOLO SYNTH」では、右手で和音を押さえた状態でDビームに手をかざし、その手を動かすことで分散和音のスピードが変化します。「ACTIVE EXPRESS」では音量変化の効果が得られます。また「ASSIGNABLE」からはその他の効果を選択して割り当てが可能。
 
 
 ASSIGNABLEの中で個人的によく使ったのは(フィルター)カットオフかな。というかカットオフは独立して装備すべきだったでしょう当時のローランド開発者さん!(笑)。なおこのDビームは本機が初出ではなく、機種によって設定も微妙に違うのでちょっと注意です。
 

Roland JUNO-D

 

 

その他

 「フレーズ/アルペジオ機能」を搭載。これはそれぞれの音色に適したフレーズやアルペジオが簡単に演奏できるという機能で、和音でも指1本でも発音します。
 
 
 またエフェクトはマルチエフェクト×47、リバーブ×8、コーラス×8を内蔵。マルチにはディレイ系や歪み系(→オルガンに使える)などが含まれ、一通りは押さえてあるといった印象です。

 

 

 

JUNO-D Limited Editionについて

Roland JUNO-D Limited Edition

 
 後年発売された、JUNO-Dの特別仕様モデル。違いは、ライブで即戦力となる音色(パッチ)を66種類追加しているところ。デザイン・操作系は変更なしで、左上の機種名ロゴの下に「Limited Edition」のステッカーが貼ってあることが見た目的な違いと言えるでしょう。
 
 
 

個人的かんそう

 そもそも80年代のJunoシリーズは、「初心者にシンセサイザーの楽しさを感じて欲しい」というコンセプトで(低価格帯で)発表され一時代を築いたのですが、そういった意味では21世紀のJUNOもDNAは受け継がれていると言っていいのかな?とも感じます。
 
 
 とにかくこの軽さは特筆ものなので、運搬が悩みでライブ・キーボードを始められないという人にとっては十分な一台だと思います。もちろん今から格安の中古を手に入れて使い倒すというのもアリですね。
 
 
 
 関連記事(アナログ時代のJUNOシリーズ):
 「Roland JUNO-6 ~夢の10万円台ポリフォニック・シンセ![1982年]
 「Roland JUNO-60 ~音色メモリーが可能になったJuno [1982年]
 「Roland αJUNO-2/αJUNO-1 ~JUNO-106の後継機[1985年頃]
 「Roland MKS-50 ~αJUNOのラック版[1986年]
 

仕様
■鍵盤:61鍵(ベロシティ対応)
■最大同時発音数:64
■パート数:16
■波形メモリー:32MB(16ビット・リニア換算)
■プリセット・メモリー:オリジナル・トーン640、パッチ384+256(GM2)、リズムセット11+9(GM2)、パフォーマンス32
■ユーザー・メモリー:パッチ128、パフォーマンス8
■内蔵エフェクト:マルチエフェクト47、リバーブ8、コーラス8
■外形寸法:1021(W)×103(H)×292(D)mm
■重量:5.0kg(ACアダプター除く)
■発売当時の価格:オープンプライス
■発売開始年:2004年

 

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