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AKAI 楽器・機材【Vol.〇〇】

【Vol.235】AKAI X7000 ~S900の音質を受け継いだAKAI初のサンプリング・キーボード[1986年]

2018/03/09

 今回はAKAI professionalのサンプリング・キーボード「X7000」を紹介してみたいと思います。発売は1986年で、同社のヒットサンプラー・「S900」のわずか数か月後のタイミングでリリースされました。

 

AKAI X7000

 

 X7000は見た通り鍵盤が付いたモデルとなっており、AKAIが手掛けた初のサンプリング・キーボードでもあります。発売当時は、S900の約半額の定価180,000円というお手頃価格でも注目を集めました。
 
 
 

基本仕様

 キー・ベロシティ対応の鍵盤部(61鍵)を備えたサンプリング・キーボード。本体に読み込まれたサンプル・データは、鍵域をいくつかに分割して異なった音色を割り当てるマルチ・サンプリングが可能です(なおサンプリング・ポイントは、X7000本体のみでは6つまで)。
 
 
 

サンプリング性能

 ビット数は12ビットとなっていて、サンプリング周波数は4kHz~40kHz、サンプリング・タイムは0.8~8秒。バック・パネルにある(MIC/LINEが独立した)INPUT端子により、外部からサンプリングが可能です。
 
 
 ちなみにサンプリング・レイトはS900とほぼ同等の周波数帯域をクリアしているので、音質的に見てもS900に迫れる内容となっています。その代わりと言っては何ですがサンプリング・タイムはS900(11.75~63秒)と比べると非常に短い印象ですね。まあS900とは価格も倍違うし鍵盤も付いているということで、この辺りは妥当なスペックと見ることもできます。
 
 
 

本体メモリーおよび外部メディアについて

 2.8インチ・クイック・ディスク(以下QD)ドライブを搭載。X7000ではQD3枚を一度に読み込む容量を持っています。このQDはフロッピーに何となく似てるのですがA面/B面があり、片面で64Kバイトの容量を持っていました。つまりX7000本体には、64Kバイト×両面×3枚=384Kバイトに相当するメモリー・エリアを保有していたということになります。QD片面につき1音色なので、計6音色メモリー可といった感じです。
 
 
 ちなみに後述するASK70(オプション)を取り付けると、QD8枚を読み込むことができるようになります。
 
 
 

ちょっと脱線・QDについて

 余談ですが、QDがいまいちピンと来ない人は、ファミコンのディスク・システムを思い出して頂くといいかもしれません。ほら『ゼルダの伝説』(1986年)とかプレイする時にディスクひっくり返しましたよね? あんな感じで両面にデータが書かれています。え? 知らない??(大汗)
 
 
 ちなみに一般的なQDとファミコン・ディスクシステム用のディスクは形状が異なります(→技術的にはほぼ同じ)。

 

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エディットについて

 S900同様にLCDディスプレイを搭載。サンプルのスタート/エンド・ポイント、リバース再生、ループなどに関する設定を行えます(AKAIではこれをスキャニングと呼んでいました)。
 
 
 なお取り込んだサンプルは、ベロシティ値によってリリース・タイム(→ノート・オフ後の減衰時間)や、フィルター(ローパス)の音色加工もコントロール可能となっています。
 

AKAI X7000(advertisement)
X7000/赤井電機(株) 雑誌広告より画像引用
 
 
 

ASK70(オプション)について

 X7000(およびS700)本体に取り付ける、別売りのメモリー・エキスパンション・ボード(当時の定価20,000円)。いわゆる基板むき出しの形態であり、X7000に装着するにはフロントパネルを開ける必要があります。
 
 
 こいつを装着することで、最大16個のサンプリング音(→16ポイント・マルチ・サンプリング機能)をメモリーできるようになり、それぞれの音を任意の鍵盤にアサイン可能となります。
 
 
 なおX7000デフォルトだと最大6ポイントなので倍以上に拡張できるということですね。このように、拡張メモリーを本体に増設することでパフォーマンスを向上させるという考えは当時のコンピューターでは既に広まっていましたが、このような楽器で採用されたのは非常に珍しいことでした。
 
 
 

まとめ的な

 外部ディスク・ドライブに(当時フロッピーよりも安価だった)QDを採用し、全体的な価格を抑えてお手頃感を出した辺りはS612譲りと見ることができます。実際、S612とはQDドライブ搭載という決定的な共通点がありますし、S612の豊富なサウンド・ライブラリーもそのままロードすることができました。
 
 
 一方、S900とほぼ同等の周波数帯域を実現していたということで、サンプラーのある意味命とも言える “音質面”でもクオリティを守ったと言えます。またS900とはMIDIシステム・エクスクルーシブによって、お互いのデータを読み込めるなど互換性にも優れていました。
 
 
 コストパフォーマンスが高く、サンプリング・キーボードとしてなかなかの出来と言っていい本機だと思うのですが、S900やのちのS1000シリーズなどのインパクトが強過ぎたせいか、X7000はあまり人々の記憶に残っていないという印象ですね。。
 
 
 
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仕様
■鍵盤数:61鍵(キー・ベロシティ対応)
■サンプリング方式:12ビット
■サンプリング周波数:4kHz~40kHz (MIN~MAX)
■サンプリングタイム:0.8sec~8sec (MIN~MAX)
■マルチサンプリング:6ポイント ※オプションのASK70装着時は16ポイント
■外形寸法:1039(W)×110(H)×346(D)mm
■重量:14kg
■発売開始年:1986年
■発売当時の価格:180,000円

 

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