キーボーディスト、脱初心者を目指す

ピアノ、シンセサイザー、オルガンとか鍵盤楽器もろもろ。関係ない記事もたまにあるよ

1990年代' Roland 楽器・機材【Vol.〇〇】

【Vol.226】Roland M-OC1/M-SE1/M-VS1/M-DC1 ~音色特化型1Uモジュール群[1995年]

2018/07/01

 今回は、1995年にローランドからまとめて発売された、M-OC1、M-SE1、M-VS1、M-DC1という4台の音源モジュールについて紹介してみたいと思います。まとめて「SOUND EXPANSION シリーズ」と銘打たれていました。
 
 
 どれも1Uサイズでデザインはほぼ全く同じ。大きさ(外寸)も同じ、価格も共通(当時の定価58,000円)、操作系も共通といった感じですね。どれも特定の音色に特化した専用音源といった趣きになっています。

 

Roland SOUND EXPANSION Series(advertisement)
SOUND EXPANSIONシリーズ/ローランド(株) 雑誌広告より画像引用
 
 
 
 あとこれとは別に、「M-GS64」というものも同時発売されています。こちらは機能的に他の4台とは違っていて、同社のDTM音源(この頃だったらSC-88がほぼ相当)が元となっており、それの1Uラックマウント版と言えます。「M-GS64」はまた別の機会で取り上げたので、今回の記事からは割愛します。
 
 
 関連記事:「Roland M-GS64 ~1U化したSC-88。でもかなり違う[1995年]
 
 
 

SOUND EXPANSION シリーズ・概要および共通仕様

 当時のローランドのシンセ/音源モジュールに追加する音色拡張ボード「SR-JV80シリーズ」を、独立して1U音源したものと概ね捉えることができます。パネルデザインおよび操作ボタン等は同じ(→ただし機種によってLED周りのカラーリングが異なる)。大きなLEDディスプレイで音色ナンバーも視認しやすいですね。
 
 
 同時発音数28ボイスで、パフォーマンス・モードにした際は8パートのマルチティンバー音源としても機能します(7+1リズム)。ただしユーザー・プログラム・メモリーは搭載していないため、パッチ(音色)やパフォーマンスを切り替えると、それまで別パッチなどで設定したパラメーターは初期値に戻ってしまいます。
 
では機種ごとに見ていきましょう。
 
 
 

M-OC1 “ORCHESTRA”

 オーケストラで使われる弦楽器や管楽器、また打楽器などの音色を収録した “オーケストラ専用音源”。オーケストラだけではなくポップスやイージーリスニングなどにも対応する音色も内蔵されています。後述するM-SE1がストリング・アンサンブル特化音源なので、本機ではトランペット、トロンボーン、クラリネット、フルートなどの管楽器が充実していると言えるでしょう。トランペットだけでも(ミュートを含めた)10種類の音色を備えています。
 
 
 内蔵音色数:226パッチ
 基本となっているボード:SR-JV80-02「Orchestral」
 
 

M-SE1 “STRING ENSEMBLE”

 ストリングス専用音源であり、生ストリングからアンサンブル・ストリングス、またシンセ・ストリングスまで幅広い弦サウンドを収録。ソロ、セクション、アンサンブルといった編成ごとの音色バリエーションも豊富ですね。また弦のピチカートなどの音色も用意されています。
 
 
 特筆すべき点が、RSS(ローランド・サウンド・スペース)効果を持つ音色がいくつか搭載されているところ。それまでの空間系エフェクターなどでは得られない三次元的な立体サウンドが楽しめます。
 
 
 今回紹介する4台の中で、個人的に一番使い勝手がよいかなと感じるのは本機ですね。90年代ローランドの少しザラっとしたストリングス音色は好きで、オケに加えても邪魔しない存在感(笑)が重宝すると思います。
 
 
 内蔵音色数:170パッチ
 
 

M-VS1 “VINTAGE SYNTH”

 同社のSystem-700、JUPITER、D-50などをはじめ、国内外の名機と称される様々なヴィンテージ・シンセ・サウンドを収録。TR-808などの音色で組まれたリズム・セットも8種類内蔵。
 
 
 個人的な印象としては “小綺麗にまとまってる”といった感じでしょうか。ちょっと派手めに作ってあり音色の特徴は捉えていると思うのですが、芯のない軽い音になっているという印象です。ビンテージ・サウンドを気軽に楽しむ分にはよいと思いますよ。
 
 
 内蔵音色数:255パッチ
 基本となっているボード:SR-JV80-04「Vintage Synth」
  
  

M-DC1 “DANCE”

 当時のダンスシーンに合わせたグルーヴ感あふれるサウンドを網羅した “ダンス・ミュージック音源”。各種フレーズ・ループをはじめ、楽器音、ボイスSE、スクラッチ・ノイズ、TR-909サウンドなどなど、当時のハウス、ヒップホップ、テクノなどに使える音色を多数内蔵していました。
 
 
 元々は、ダンス・ミュージックで定評のある英国AMG社のCD-ROMライブラリーから音色を厳選したとのこと。
 
 が、本機およびボード(SR-JV80-06)は、著作権の関係上、販売後間もなくして生産中止となったそうです
 
 
 内蔵音色数:255パッチ
 基本となっているボード:SR-JV80-06「Dance」
 
 
 

その他の共通仕様

■リア・パネルにオーディオ入力端子を装備。ミキサーへの入力数を節約したい場合などに便利に使える。
■リバーブ(8種類)とコーラス(3種類)のエフェクトを内蔵。

---
 

 さて一通りさらってきたローランドの「サウンド・エクスパンション」シリーズですが、翌96年に1機種だけラインナップに加わっています。それは「M-BD1 “BASS&DRUMS”」。こちらもデザイン・操作性・価格は同じなのですが、唯一発売時期が異なるということでまた別の機会で記事にする予定です。

 

スポンサーリンク

 

 

つぶやき的な

 JVやXP-50など元となるシンセを持っていなくて、「特定の音色セットを、独立したMIDIモジュール音源として欲しい!」といったユーザーの要望に応える形になったのがおそらく本シリーズ誕生の経緯。従来の音源ボードに、(共通の)操作系回路や発音系回路などを取り付けただけということで、開発・製造コストも抑えることができたのでしょう。まあ特に「Dance」はそこそこ人気を博しましたよね(→すぐに消えちゃったけど)
 
 
 本シリーズ(M-GS64除く)は、基本的に8マルチティンバーとして機能するのですが、実際はこれ一台でオケをほぼ完成させるという感じではなく、“ジャンルごとの音色が欲しい時にピンポイント(→1音色)で使う”という人が多かったのではないかと思います。
 
 
 80年代の音源機材に比べたら遥かに安価になってますし、アマチュアが、所有した1台の機種の機能を徹底的に使い尽くすという時代から、特定の使い方限定(→おいしい部分だけ使う)という用途が見られるようになったのも本シリーズ頃からではないかと感じます。ちょっと贅沢になりましたよね、という話。。
 
 

共通仕様(M-OC1、M-SE1、M-VS1、M-DC1)
■外形寸法:482(W)×44(H)×165(D)mm
■重量:2.65kg
■発売当時の価格:58,000円(税別)
■発売開始年:1995年

 

関連記事および広告

関連記事および広告


-1990年代', Roland, 楽器・機材【Vol.〇〇】