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Roland 楽器・機材【Vol.〇〇】

【Vol.218】Roland P-55 ~ローランドDTMモジュール・“SOUND CANVAS”のピアノ特化版[1993年]

2018/03/09

 今回ご紹介する機材は、ローランドが1993年に発売した、ハーフラック・サイズのピアノ音源モジュール・「P-55」です。当時の定価は49,800円。

 

Roland P-55

 

 本機は同社のDTM向け音源「SCシリーズ」のピアノ系音色拡張用モジュールとして発売されました。本機のパネルにも【SOUND CANVAS】と書かれていますね。当時のローランド・サウンド・キャンバスといえば(本機の数か月前に発売された)「SC-55mkII」がDTM音源として主流となりつつあったし、「55」という型名はおそらくそこから頂いたのでしょう。
 
 
 関連記事:
 「Roland SC-55 ~ローランドの初期DTM音源モジュール。リモコンも付いたよ!
 「Roland SB-55 ~SC-55と同時発売のMIDIファイル・プレイヤー[1991年]
 
 
 

概要

 ハーフラックのコンパクトなサイズに、高品位なピアノ系サウンドを凝縮した音源モジュール。内蔵音色は全32種類で、アコースティックピアノ、エレクトリックピアノをはじめ、いわゆるFMエレピっぽい音やビブラフォン、ハープシコードといった音色も備えています。
 
 
 同時発音数は28音ですが、本機を複数台スタックすることによって最大224音ポリまで拡張可能となっています。
 
 
 

音色方面

 生ピアノ系だけでも、「Grand Piano」「Acoustic Piano」「Euro Piano」「Pop Piano」「Honky-tonk」など多彩。他にも、いかにもローランドならではの「SA Piano」「RD Piano」なんてのもありますね。
 
 
 面白いのが「Rhodes」という音色名も用意されていること。これとは別に「E Piano」というのもあるのですが、後者はいわゆるFMエレピに近い音色ですね。残念なのはウーリッツァーの音色が一つもないことでしょうか。。
 
 
 

様々な調律にも対応

 本機には、いわゆる古典音楽にも対応する様々な調律(音律)が用意されています。カタログや取扱説明書には「テンペラント」(※1)と書かれていますね。P-55には、バロック音楽などを当時の調律で演奏できる6種類のテンペラントを備えています。
 
 
 まあ実際、いまどきのポップスやロックで平均律(→1オクターブなどの音程を均等な周波数比で分割した音律)以外のチューニングの出番があるかと問われたらほぼないでしょう(プログレだったらありかもしれないけど)。とはいえこういった所までフォローしちゃった辺りは、ローランドさんのピアノ専用音源への強いこだわりが感じられます。
 
 
 

その他機能

■タッチの強さによって実際の出音の大きさを選べるベロシティ・カーブを9種搭載。

■ピアノ独特のストレッチ・チューニングや、ハーフ・ダンパー、ソステヌートなどのペダル表現もフォロー。

■エフェクトは、コーラス/フランジャー、リバーブ/ディレイを内蔵。

■3パートのマルチティンバー機能を搭載。これによりアコースティックピアノ+ビブラフォン(あるいはエレピ)などの組み合わせも可能。

 

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まとめ

 当時のDTM音源の同時発音数といえば28~32音程度と今日ほど多くなく、特にピアノ音色は発音数を消費してしまいがちでした(→和音でペダルを踏んでいると、前の音が残っていくため)。そこでDTMシステムに本機のような “ピアノ専用音源”を追加することで、他パートの音色数も気兼ねなく使えるという頼もしさはあったと思います。
 
 
 音色は好みの分かれるところでしょうが、ローランドらしいメリハリのある明るいキャラクターは健在。“これ一台持って現場の鍵盤につなげて大音量で鳴らす”となると若干力不足の感はあるのですが、DTM用途だったら十分でしょう。加えて若干クラシカルな感じのこもった音色もあり、意外と幅広く対応してくれそうです。選択した音色のブリリアンス(音の明るさ)を調節することもできますね。
 
 
 

個人的かんそう

 90年代中頃にはこういったコンパクトサイズのピアノ音源モジュールが他社からもいくつか発売され、実際に僕もいくつか試してみましたが、P55は「可もなく不可もなく、実にローランドっぽいキャラクター」といった印象だったでしょうか。ほぼDTM用途として開発されたので、ライブでの使用はあまり期待しない方がいいと思います。
 
 
 本機は後年、サイズ感や価格・コンセプトが近かった「YAMAHA P50-m」(1996年)と比較されることが多かったのですが、個人的にはまだP-55の方がよかったかなぁ。。
 
 
 
関連記事(90年代のコンパクト・ピアノ音源モジュール):
 「AKAI SG01p ~ハーフラック・ピアノ音源モジュール[1995年頃]
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 「E-mu PROFORMANCE /1 ~E-muが作ったピアノ音源専用モジュール
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※1 テンペラント【temperant】 …元々の意味は「気質」など。「musical temperant」というと “音律”と訳されることが多い。なお今日多くのポップス音楽内の鍵盤楽器で聴かれるのは一般的に平均律(equal temperant)。

仕様
■最大同時発音数:28音(※最大224音まで拡張可)
■メモリ容量:64メガbit(16ビット・リニア換算)
■パート:パート1~3
■内蔵音色数:32
■内蔵エフェクト:コーラス/フランジャー、リバーブ/ディレイ
■ディスプレイ:7セグメント×3文字LED
■外形寸法:218(W)×48(H)×250(D)mm
■重量:1.3kg(ACアダプター除く)
■発売当時の価格:49,800円
■発売開始年:1993年

 

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