キーボーディスト、脱初心者を目指す

ピアノ、シンセサイザー、オルガンとか鍵盤楽器もろもろ。関係ない記事もたまにあるよ

KORG 楽器・機材【Vol.〇〇】

【Vol.204】KORG DW-6000 ~デジタル音源「D.W.G.S.」を搭載した80年代コルグ・シンセ[1984年]

2018/03/09

 今回ご紹介するシンセサイザーは、1984年にコルグから発売された「DW-6000」です。当時の定価は184,000円。“コルグ初のデジタルシンセサイザー”と称されることもある本機ですが、実際はオシレーター部(音の心臓部)がデジタル方式なのであって、フィルター部(VCF)、アンプ部(VCA)はアナログですね。よって「ハイブリッド・シンセサイザー」と分類されることもあります。

 

KORG DW-6000

 

 ちなみに同社のDWシリーズといえば「DW-8000」も有名ですが、先に発売されたのはDW-6000の方です。なので “DW-8000の廉価版がDW-6000”ということではなく、“DW-6000のグレードアップ版がDW-8000”と考えるとよいと思います。ちなみに両機ともMIDIに対応しています。
 
 
 同社初となる新音源が搭載され、「プログラマブル・デジタル・ウェーブフォーム・シンセサイザー」と仰々しい名が冠せられた本機・DW-6000。一体どのようなシンセだったのでしょう。
 
 
 

音源部

 「D.W.G.S.【Digital Waveform Generator System】」と呼ばれる新音源を搭載。この音源部が本機最大の特徴と言っていいでしょう。このデジタル音源には、バイオリン、ピアノ、シンセ・ベース、サキソフォン、鐘などの実際の楽器音を倍音加算方式でシミュレートした、特徴的な倍音構成を持つ8種類の波形で構成されています。
 
 
 ちなみにこの8種類の波形は、本体パネル右上部【OSC WAVEFORM】に波形図および倍音構成図として描かれています。「波形だけ見て音色を想像しろってか!?」と、初心者にとってはただ難解なだけの図なのですが(笑)、一応取扱説明書には「波形2はバイオリンの音作りに適している」「波形3はアコースティックピアノなど」「波形8は鐘の音など」と記されていますね。
 
 
 これらの波形をデジタル符号化して256kビットのROM(×2)に書き込んだ、デジタル・オシレーターを2系統装備しています。2つのオシレーターの音程をずらしたり(短3度、完全5度など)、セント単位でピッチをずらしたいわゆるデチューン効果も簡単に作れます。またこれらOSC1, OSC2とは別にNOISE音源も搭載しています。
 
 
 

音源部の補足

 倍音加算方式とは、一定の周波数を持つサイン波を重ねて音色を合成するシンセサイザーの音源方式の一つです。KAWAIのシンセでよく見られた方式ですね。倍音加算方式はそのまま音源として使うと扱うパラメータが膨大になり、より難解になるという側面もあります。そこでDW-6000のD.W.G.S.音源(波形メモリ音源)では、各種楽器に見られる特徴的な倍音成分を事前に計算し、倍音加算方式で近似の波形を合成したものをあらかじめ用意しています
 
 これにより、一般的なアナログシンセに比べて複雑な倍音成分を持つ音色を出せるということでした。
 
 
 

フィルター/アンプ/EG部

 アナログ方式のVCF、VCAおよび、2系統のDEG(デジタル・エンベロープ・ジェネレーター)を搭載。また概ねLFOに相当する「MG(モジュレーション・ジェネレイター)」も装備。
 
 
 VCFはローパスのみ。カットオフ、レゾナンスなどはバリュー・スライダーで可変します。他にもキーボードトラックなどを装備しており、まあ一般的に使う分にはさほど問題ないかな?といった感じです。後述するようにエンベロープもかけられます。
 
 
 2系統のDEGはそれぞれVCF、VCA専用であり、コルグ独自の「A.D.B.S.S.R.」の6パラメーター方式が採用。詳しく書くと長くなるので割愛しますが、主流である「A.D.S.R.方式」では得られない、様々なエンベロープを作り出すことが可能になっているわけです。

 

スポンサーリンク

 

 

音色メモリーについて

 同時発音数は6ボイス。DW-6000にはプリセットが64個メモリーされており、自分で作った音色も全て記憶させることが可。音色のプログラムナンバーは8進数で管理され、「11」~「88」までの計64個ということになります。音色を選択する際には、最初のうちはパネルに印刷された【PROGRAM MEMO】を参照するとよいでしょう。
 

KORG DW-6000(advertisement)
DW-6000/(株)コルグ 雑誌広告より画像引用
 
 
 

パネルデザインについて

 音作りに直接関わるツマミは排除され、音色を呼び出すスイッチ類、バリューを変えるスライダー/ボタンが中心の操作系となっています。あとは「印刷された文字」の面積が意外と大きいですね。。
 
 
 操作子の全体数は少なく、全体的にはスマートな印象と言えるでしょう(DX7に近いといえば近いですね)。。当時としてはこういったデザインが最先端であり、「カッチョエエ!」と思う人も多かったのです(笑)
 
 
 ちなみにDW-6000は、1985年の『グッドデザイン賞(商品デザイン部門)』を受賞しています(→とはいえこの賞は選定される製品の数が非常に多く、電子楽器/キーボードだけを見ても多数の製品が受賞している)
 
 
 

つぶやき的な

 独特の音源だけでも十分個性的ですが、「音源部は加算、でも全体的な音作りは減算」という構成になっているのも特徴的ですね。プリセット音色はどちらかというとデジタル寄りのキャラクターですが、作りようによっては結構厚みの出せる内容になっていると思いますよ(決してPCM音源のようなリアルな楽器音は作れませんが。。)
 
 
 なお、D.W.G.S.音源自体は近年の「microKORG」などでも採用されてたりして、今日でも一定の評価を得ているっぽいですね。あとはやはりデザインも含め、本機は(前年に発売されヒットした)YAMAHA DX7を影響を少なからず受けているのかなーと個人的には感じます。
 
 
 
 関連記事(コルグDWシリーズ):
 「KORG DW-8000 ~世界初のプログラマブル・デジタル・ディレイ内蔵シンセ
 「KORG EX-8000 ~コルグDW-8000の2U音源モジュール版[1985年]
 

仕様
■鍵盤数:61鍵
■最大同時発音数:6音
■音色メモリー数:64
■外形寸法:998(W)×101(H)×338(D)mm
■重量:9.3kg
■発売当時の価格:184,000円
■発売開始年:1984年

 

関連記事および広告

関連記事および広告


-KORG, 楽器・機材【Vol.〇〇】