キーボーディスト、脱初心者を目指す

ピアノ、シンセサイザー、オルガンとか鍵盤楽器もろもろ。関係ない記事もたまにあるよ

その他メーカー 楽器・機材【Vol.〇〇】

【Vol.203】EMS Polysynthi ~モダンで奇抜な “幻のシンセ” [1979年]

2018/03/09

 先日原宿のFive Gさんに行った際、一台の風変りなデザインのシンセサイザーを発見しました。
 

EMS Poly Synthi(Five G)

 
 これは1979年にイギリスのシンセメーカーEMSが発表した「Polysynthi」というシンセサイザーであり、世界でも数十台程度しか生産されなかったという “幻のシンセ”と言ってもいい一台です。僕も以前から話には聞いていたのですが、まさか実物をお目にかかれるとは思いませんでした。
 
 
 価格は1979年当時で約1,000ポンドだったそうで、当時の日本円レートに換算すると40~50万円といったところでしょうか。なお現在入手するには100万円以上とも言われています(それ以前に滅多に市場に出ませんが)。
 

EMS Polysynthi

 
 でもってこのシンセの正体はどんなん? と資料を探してみたのですがほとんど記述がないですね。。さすが幻のシンセ。それでも強引に記事にまとめてみましたよ。といっても実際に操作・音出しをしたことはないので、単なるパネルの説明だけになっていますが。。
 

EMS Polysynthi(panel)

 

 

Controlsセクション(パネル左側の赤部分):

ENVELOPE FOLLOWER

 エンベロープ・フォロワー。これは元々、入力された波形のエンベロープ(信号の音量レベルの時間経過を描いたカーブ)を抽出する機能のこと。本機では外部からの入力信号レベルが、設定したスレッショルドに達するとADSR1をトリガーできるようになっているそうです。
 
 

CONTROL OSCILLATORS(VCLFO 1&2)

 いわゆるLFO。2基搭載されており、波形は方形波/サイン波から選択可能となっています。
 
 

ENVELOPE GENERATORS(ADSR 1&2)

 エンベロープも2系統搭載。正相・逆相の切り替えができ、両方向のモジュレーションが可能となっています。
 
 
 

Sourcesセクション(パネル中央の水色部分):

 こちらはいわゆる音源部のセクションです。

NOISE

 独立のノイズ・ジェネレーター
 
 

EXTERNAL INPUT

 外部入力。前述したように外部信号はエンベロープ・フォロワー付きであり、本機ではリアパネルに外部入力用の端子が装備されています。
 
 

OSCILLATOR BANK (VCOB)

 VCOBはパルス波、方形波、ノコギリ波の3波形が用意されておりミックスも可能です。

 

スポンサーリンク

 

 

Treatmentsセクション(パネル右側の黄色部分):

 前述したSourcesセクションにて生成された音源は、本セクションを経て(VCF→VCA→ADLの流れで)最終的にOUTPUTに向かいます。

FILTER (VCF)

 4Pole(24dB/oct.)と 2Pole(12dB/oct.)の2種類のフィルター・スロープを搭載。スイッチで簡単に切替可能です。
 
 

AMPLIFIER (VCA)

ANALOGUE DELAY (ADL)

 コーラス/ディレイ・ユニット。

 
 
 
---
 なお上記のノブ類の下には3列のスイッチが設けられており、これは「モジュレーション・バス」と言います。これによりモジュレーション・ソースとモジュレーション・デスティネーションをリンクすることが可能だそうです。
 
 
 

つぶやき的な

 うーん、やっぱり本シンセは謎が多いですね。これほどモダンな(奇抜な)カラーリングの外観を持つシンセは他に見られませんし、出音も動画サイトで聴く限りかなーり風変りなキャラクターっぽいです。。
 
 
 70年代末といえばPROPHET-5に代表されるように、シンセの世界では「ポリフォニック(多声)」が一つのトレンドになっていました。Polysynthiは当時の電子オルガンに見られるような分周方式を採用していたため、その機種名が表すように(全鍵で)ポリフォニックだったそうです。
 
 
 とはいえ鍵盤を押さえながら別の鍵盤を押すと再トリガーがかかっていまい、実質的にはフル・ポリフォニックとは言い難かったらしいです。また、これまた当時のトレンドの一つである「プログラマブル(作った音を記憶させる)」にも対応しておらず、結果的に市場には受け入れられなかったといったところでしょうか。
 
 
 それゆえ、今日Polysynthiの実機を目にするということは非常にレアなことである、ということなのです。おしまい!
 
 
 
 関連記事:「EMS VOCODER 2000 ~70年代発売のロングセラー・アナログ・ボコーダー[1976~77年頃]
 

仕様
■CONTROLSセクション:
 CONTROL OSCILLATORS(VCLFO 1&2)
 ENVELOPE GENERATORS(ADSR 1&2)
■SOURCESセクション:
 NOISE、EXTERNAL INPUT、OSCILLATOR BANK(パルス波、方形波、ノコギリ波)
■TREATMENTSセクション:
 VCF(FILTER)、VCA(AMPLIFIER)
 ADL(ANALOGUE DELAY)

■鍵盤数:49鍵
■接続端子:INPUT(MIC/LINE)、PEDAL(PITCH BEND、FILTER、VCA/SWELL)、OUTPUT
■外形寸法:830(W)×210(H)×590(D)mm
■重量:25kg
■発表年:1979年

 

関連記事および広告

関連記事および広告


-その他メーカー, 楽器・機材【Vol.〇〇】