キーボーディスト、脱初心者を目指す

ピアノ、シンセサイザー、オルガンとか鍵盤楽器もろもろ。関係ない記事もたまにあるよ

1970~80年代' Roland 楽器・機材【Vol.〇〇】

【Vol.186】Roland E-20/E-10 ~シンセサイザーと自動伴奏の融合[1988年]

2018/11/25

 

 

 今回ご紹介するキーボードは、ローランドが1988年に発売した「E-20」および「E-10」です。いわゆる自動伴奏機能の付いたキーボードですね、ローランドでは当時これを「インテリジェント・シンセサイザー」と銘打っていました。そう、つまりE-20とE-10は自動伴奏機能搭載のシンセサイザーだったのです。

 

Roland E-20/E-10(advertisement)
E-20・E-10/ローランド(株) 雑誌広告より画像引用
 
 
 
 本機の前にもYAMAHA辺りが自動伴奏機能搭載のキーボード(いわゆる低価格ファミリーキーボード)を発表していたのですが、E-20/E-10は同社のシンセサイザー「D-10」同様の音源(LA音源)を積んでおり、当時としては非常に高品位な音が出せたという意味で決定的に異なると言えるでしょう。まあ結構なお値段だったので、おもちゃ用としてうっかり購入した人はいなかったと思います。
 
 
本ブログ内関連記事:「Roland D-10 ~名機D-50譲りのLA音源搭載シンセ[1988年]

以下、一応E-20を基準として記事を展開してみます。
 
 
 

E-20概要

 リアルな音色で定評のあった同社のD-10相当のLA音源を搭載し、ステレオ・スピーカーも内蔵。後述する自動伴奏機能も併せ、本格的なサウンドを手軽に楽しむことができました。
 
 
 

自動伴奏機能について

 本機の自動演奏のバッキング・パターンは「ミュージック・スタイル」と呼ばれ、インターナル(内蔵)だけでも4×8=32種類の音楽ジャンルから選ぶことができます。内容は、ロック、ディスコ調、ワルツ、サンバ、ボサノバ、レゲエなどなど多彩ですね。さらに別売りのスタイル・カードによって増やすことができました。
 
 
 これらミュージック・スタイルを選択し、コード(省略型でも可)を指定するだけで、それぞれの音楽ジャンルに適したバッキング・パターンを演奏してくれるという感じですね。
 
 
 

コード認識機能について

 コードは、いわゆる「メジャー系」「マイナー系」「セブンス系」を認識します。1~2音しか弾かなくても、押さえたコードがディスプレイに表示され、バッキングのフレーズがそのコードの特性に合わせて変化するといった、当時としては非常に便利な機能でした。

 

 

 

E-10での相違点

 廉価モデルであるE-10では主に以下の機能について若干の違いが見られます。LCDあり/なしは大きいですが、筐体サイズおよび重量はE-20とほぼ同じなので、一部の機能(およびボタン配置)が異なるだけ、といった印象です。

音源数(64音→48音)
プリセット・リズムパターン(32種類→24種類)
内蔵リバーブ(8タイプ→4タイプ)
LCD画面(あり→なし)
価格(179,000円→148,000円)

など
 
 
 

姉妹機についての補足

 同社のいわゆる「アレンジャー・キーボード」のカテゴリーは非常に種類が多く、今日までに80機種近くのモデルが市場に出ています。E-20/E-10は同社のこの分野の初号機とも言えるモデルで、同世代(88~91年頃)だけでも以下のような姉妹機が存在しました。

E-5 …90年発売の廉価モデル。内蔵音色は増えている。定価130,000円
E-30 …同じく90年発売の高級モデル。内蔵音色はさらに増え、6トラック・シーケンサーも搭載。定価189,000円。
PRO-E …37鍵モデル。定価165,000円
RA-50 …鍵盤なしのMIDI音源モジュール。定価99,800円

 

 

余談的な

 E-20/E-10は、1987年にイタリアのSIEL社を買収して設立された「ローランド・ヨーロッパ【Roland Europe S.p.A.】」との最初の共同開発製品だったそうです。そのためか、日本の広告でも「MADE IN ITALY」とも書かれていました。豆知識でした。
 
 
 

個人的つぶやき

 今の時代から見たらちょっとやはりおもちゃっぽいのですが、本機ではフレーズのMIDI出力もできたので、PCの広い画面でアレンジのお勉強とかも可能だったという感じですね。
 
 
 E-20に関しては、多重録音感覚で演奏データを(3曲まで)レコーディングする機能なんかもあったりして、作編曲を志していた人にとっては便利に使えたかもしれません。
 
ちなみにこれ、海外で爆発的に売れたモデルだったそうですよ。
 
 
 
 関連記事(ローランドLA音源シンセ):
 「Roland D-10 ~名機D-50譲りのLA音源搭載シンセ[1988年]
 「Roland D-20 ~オールインワン・シンセのはしりとなった、シーケンサー内蔵…
 「Roland D-110 ~D-10のラック版(1U音源モジュール)[1988年]
 

仕様(E-20/E-10)
■鍵盤数:61鍵(ベロシティ付き)
■音源方式:LA音源
■最大同時発音数:32音
■ミュージック・スタイル:32種類(E-20)、24種類(E-10)
■内蔵エフェクト:デジタル・リバーブ(E-20では8種、E-10では4種)
■内蔵メインアンプ:5W+5W  ※E-20/E-10共通
■外形寸法:1023(W)×100(H)×330(D)mm  ※E-20/E-10共通
■重量:約12kg
■発売当時の価格:E-20=179,000円、 E-10=148,000円
■発売開始年:1988年

 

関連記事および広告

関連記事および広告


-1970~80年代', Roland, 楽器・機材【Vol.〇〇】