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YAMAHA 楽器・機材【Vol.〇〇】

【Vol.183】YAMAHA V2 ~DXの冠を外したヤマハのFM音源シンセ [1987年]

2018/02/17

 今回紹介するシンセサイザーは、1987年にヤマハから発売された「V2」です。同社のベストセラー機・DX7の4年後に発表されたFM音源方式のシンセとなります。
 
 姉妹機・派生機を含めたいわゆる「DX7ファミリー」という太い系統樹から、“次世代のFM音源シンセサイザー”として、機種名も一新して生まれたシンセといったところですね。定価は118,000円で当時としては比較的お手頃でした。

 

YAMAHA V2

 

 

概要

 61鍵、イニシャル/アフター・タッチ搭載の鍵盤部を持つ、4オペレータ/8アルゴリズムを備えたFM音源シンセ。同時発音数は8音色。本機ではサイン波以外の(8種類の)波形を「オペレータ」に割り当てられるという、従来のFM機には見られなかった機能を有していました。オペレータの即戦力が増えたと考えてよく、各波形はブラス、ストリングス、木管などバラエティに富んだ適性を持っています。
 
 
 V2は「4オペレーター・タイプ」ですが、従来のサイン波のみによるFM音源方式では、最低でも2つのオペレーター(キャリア+モジュレータ)が必要でした。本機のように1オペレータで様々な波形を作れれば、少ないオペレータでもより複雑な波形を創造することが可能ということで、単純に6オペレータと比較して劣っていたということでもありません。
 
 
 なお本機は、先行発売された1Uモジュール音源「TX81Z」の鍵盤付きモデルとも言え、V2とTX81Zとはパフォーマンスも含めた互換性があります。
 
 
 

内蔵音色

 プリセット(ROM)ボイスとして128音色、ユーザー(RAM)ボイスとして32音色を搭載。いわゆるシンセっぽい音から、エレキギター、ベースなどのバンド楽器、ストリングスや木管楽器などの生楽器系、さらに打楽器、SEなど幅広く網羅されています。小難しい音作りはさており、とりあえず使える音が一通り入っているのは嬉しいところです。
 
 
 なお「ボイス」に様々な設定を加えた音色を本機では「パフォーマンス」と言い、RAMに32種類ファクトリー・プリセットされています。
 

YAMAHA V2(advertisement)
V2/ヤマハ(株) 雑誌広告より画像引用
 
 
 

クイック・エディット機能

 エディットが困難な初心者でも簡単に音作りが楽しめるというお助け機能ですね。「アタック」「リリース」「ボリューム(音量)」「ブリリアンス(明るさ)」が設定可能であり、値を(各オペレーション間の関係を保持しつつ)一度に変更できるというものです。
 
 
 例えばリリースを調整したい際は、「QUICK EDIT」の設定画面でリリースを選択しデータをエントリーすると、(エンベロープ・ジェネレーターのRRが)4つのオペレータ全てで連動します。各音要素を、細かいパラメーターをいじくり回すことなく一発で変えられるといった感じですね。
 
 
 

同時発音数について

 V2の同時発音数は8音色(ボイス)となっていて、これは本機の売りの一つだったのかもしれません。
 
 「ノート・リミット」により各音色の音域を分担させれば、鍵盤上の複数音色スプリットが可能になります。2~3音色スプリットは序の口で、8音色フルに分割してパーカッション・キットを作るといった使い方もありでした。
 
 
 またノート・リミットさせずに複数のボイスを組み合わせると、「マルチボイス」(→いわゆるレイヤー)もできますね。同系統の音色を組み合わせて音を厚くしたり、ちょっと広がりのある音作りなどができました。まあその分各音色のポリフォニック数は減っていくわけですが。。
 
 

 

 

個人的つぶやき

 前述したように本機では、(サイン波を含む)8つの異なったオペレータ波形を内蔵しており、様々な音作りができるようになっています。そうは言ってもある程度思い通りに音作りをするには結構な慣れが必要になってきますね。。僕自身FMでの音作りは当時よく分かっておらず(今でもそんなに分かっていないが。。)、「とりあえずキャリアにはサイン波、モジュレータにはそれ以外の波形」という感じでシンプル・アプローチを試みていたことを記憶しています。
 
 
 そしてやっぱりFMはFM。生ピアノ系や生ドラム系の音色は、「それっぽい音はするけど別物」という感じでした。なお本機V2の翌年には「KORG M1」が発売され、時代はよりリアルな音源方式(サンプリング方式のPCM音源)へと推移していくことになります。。
 
 
 

余談的な

 「V2」というと、個人的には小室哲哉とYOSHIKIが1991年に組んだユニットを思い出しちゃいますね。。その時のユニット名は、第二次世界大戦中にドイツ軍が開発したV2ロケットから取って小室さんが命名したそうで、唯一リリースしたシングル『背徳の瞳~Eyes of Venus~』ジャケットにもそのロケットが描かれています。
 
 
 そしてYAMAHA V2はというと、「ドイツの軍事用ロケットと同名なのはまずいんちゃう?」という欧米への配慮から、海外ではDX11という機種名でリリースされたそうです。やっぱりDXファミリーだったんですね!

 関連記事:「YAMAHA V50 ~ 珍しいFM音源版オールインワン・シンセサイザー[1989年]
 
 

仕様
■鍵盤:61鍵(イニシャルタッチ/アフター・タッチ付)
■音源方式:FM音源(4オペレータ・8波形・8アルゴリズム)
■最大同時発音数:8音
■内部メモリー:ROMボイス128、RAMボイス32、パフォーマンスRAM32
■外部メモリー:RAMカートリッジ、カセット
■外形寸法:999(W)×86(H)×334(D)mm
■重量:7.0kg
■発売当時の価格:118,000円
■発売年:1987年

 

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