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Roland 楽器・機材【Vol.〇〇】

【Vol.174】Roland S-50 ~「サンプリング未来型」と銘打たれた86年製ローランド・サンプラー

2018/03/09

 今回ご紹介するキーボードは、ローランドが1986年に発売した鍵盤付きサンプリング・マシン「S-50」です。発売当初の価格は320,000円。廉価版の「S-10」も同時に発売されました。
 
 関連記事:「Roland S-10 ~86年発売のサンプラー、キャッチコピーは「サンプリング基本形」

 

Roland S-50

 

 
 前年(85年)にエンソニックが「Mirage(ミラージュ)」を、そしてAKAIが「S612」を発売し、それまでは庶民にとって高嶺の花だったサンプラーが、現実的に購入可能な価格まで下がってきました。
 
 そして翌86年にAKAIの「S900」が大ヒット。本機「Roland S-50」(およびS-10)は、S900の発売に遅れること約半年、本格的派の低価格サンプラーとして市場に投入され、世は “サンプラー戦国時代”へと突入していきます。
 
 
 
 本ブログ内関連記事:
 「ENSONIQ Mirage (DSK-8) ~「幻想」ではない、黎明期サンプラーのローコスト…
 「AKAI S612 ~アカイ・サンプラー「S」の元祖[1985年]
 「AKAI S900 ~世界中に広まったアカイ・サンプラーの定番機[1986年]
 
 
 

基本仕様

 16ボイス、16EG、16LFO、ベロシティおよびアフタータッチ採用の61鍵となっています。スプリット・ポイントは60まで可能。また16種までの音色を同時にメモリーできます(→16ウェーブ・オシレーター)。もちろんMIDI対応。
 
 
 なおS-50とS-10のサンプリングの基本性能(および音質性能)はほぼ共通しており、出音的にはさほど大きな違いは見られません。
 

Roland S-50(advertisement)
S-50/ローランド(株) 雑誌広告より画像引用

 
 
 

サンプリング・スペックについて

 サンプリング周波数は30kHz/15kHzの2つが使い分けが可能。サンプリング・タイムは以下のようになっています。

 30kHz時:14.4秒
 15kHz時:28.8秒

 サンプリングの量子化ビット数は12ビット。面白いのが、D/Aコンバーター(→いわゆる内部処理)には16ビットのものが使われていて、「16ビット相当の音質が得られる」と話題にもなりました。よくよく考えれば “疑似16ビット”なわけで、実際の出音もさほどのものではないと思うのですが、当時としてはコストパフォーマンスに優れた抜群の高音質だったのです。
 
 
 

音作りについて

 サンプリングされた音声データに時間的音量変化を加えるEGを豊富に搭載。またフィルター部は、VCFよりも低ノイズが売りのデジタル・フィルターを採用しており、当時のサンプリング時に付きものだった「折り返しノイズ」も大幅にカットしてくれます。もちろんちょっとした音質の補正とかにも使えますね。ローパスとハイパスが用意されていました。
 
 
 S-50(およびS-10)は、このように「原音忠実再生主義」に則った、リアルで高音質な出音を重視して設計されたものと思われます。
 
 
 

外部ディスプレイ・アウト装備!

 本体リアパネルには、RGB端子とビデオ出力端子を装備しています。そう、つまり(当時の)パソコン用のディスプレイとかとつなげて、サンプリングやエディットなどの操作を、広々画面でより分かりやすく行えるようになっているということですね。これはS-10にはないので、S-50の大きなアドバンテージと言えるでしょう。
 
 
 また、別売りのデジタイザー・タブレット(Roland DT-100)を使えば、波形やエンベロープなどの手描き入力も可能でした。うーんフェアライトっぽいかも!

Roland DT-100

Roland DT-100

 

外部メディア

 3.5インチ(2DD)のFDDを1基備えていました。当時のパソコンは立ち上げるのに「起動ディスク」がまず必要で、本サンプラーでも同様に(最初に)OSを読ませるための起動ディスクが必要でした。

 

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S-50用シーケンサー・ソフトウェア「SYS-503」について

 『DIRECTOR-S』を銘打たれた一連のローランドSシリーズ向けシーケンサー・ソフトウェアの中の一つ。SYS-503はS-50専用となっています。当時の定価は25,000円。
 
 
 このソフトにより、S-50本体にハードウェアを一切追加することなく、CRT画面にてMIDI16チャンネル対応のシーケンサーを操ることが可能になります。同社のハードシーケンサーMC-500同様にマイクロ・スコープ・エディット機能を搭載しており、広いCRT画面上にてパターン(複数の小節のまとまり)のコピー、デリートなどの編集も可能。
 
 
 S-50内の音源をシーケンスしつつ、外部MIDI音源のシーケンス・コントロールも同時にプレイできるため、豪華なMIDIオーケストレーションも作り出せるといった感じでした。
 
 
 

つぶやき的な

 この時代の “サンプラー”というと、1万円台(※1)からワンセット100万円近くの高級機、果ては数千万という超高級機まで、ニーズに合わせた実に様々な機種が登場しました。当然高性能なものほど幾何級数的に価格も上がっていくわけですが、本格指向の一般の音楽人が手を出しやすい機材は、いつの時代も20~30万円あたりの価格帯のような気がします。。
 
 
 S-50/S-10はまさにその辺りの「いい値ごろ感」だったので、ローランド初のサンプラーとしてはセールス的にもなかなか健闘したといえるのではないでしょうか。当時よく出回っていたシンセ(YAMAHA DX7、Roland JUNO-106、CASIO CZ-1などなど)のサウンドをがしがし取り込んで鳴らせるという、使い方によっては非常に便利な “楽器”だったと思います。
 
 
 

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※1 「CASIO SK-1」→16,000円という超低価格で発売された娯楽性の高いサンプラー。爆発的にヒットし、全世界で100万台以上のセールスを上げた。
 
 関連記事:「CASIO サンプルトーン SK-1 ~爆発的ヒットを記録したサンプリング・キーボード[1985年]

仕様
■鍵盤数:61鍵(ベロシティ・センス、アフタータッチ付)
■最大同時発音数:16ボイス
■システム:16ウェーブ・オシレーター、16エンベロープ・ジェネレーター、16LFO
■サンプリング・タイム
 30kHzモード:14.4秒(7.2秒×2バンク)
 15kHzモード:28.8秒(14.4秒×2バンク)
■データフォーマット(量子化ビット数):12ビット  ※D/Aコンバーターは16ビット
■メディア媒体:3.5インチフロッピー・ディスク採用(2DD)
■外形寸法:1105.5(W)×93(H)×328(D)mm
■重量:13kg
■発売当時の価格:320,000円
■発売開始年:1986年

 

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