キーボーディスト、脱初心者を目指す

ピアノ、シンセサイザー、オルガンとか鍵盤楽器もろもろ。関係ない記事もたまにあるよ

ENSONIQ 楽器・機材【Vol.〇〇】

【Vol.162】ENSONIQ ESQ-1 ~シーケンサー内蔵・“ワークステーション型シンセ”の草分け[1986年頃]

2018/03/09

 今回ご紹介するシンセサイザーはエンソニックの「ESQ-1」です。日本での発売は1986年末~87年頭頃。1985年に発表した低価格サンプラー「Mirage」で注目を集めたENSONIQ社が手掛けた、初のデジタル・シンセサイザーでもあります。本機はMIDIシーケンサーも内蔵しており、当時としてはかなり画期的だった製品ですね。詳細を見てみましょう。

 

ENSONIQ ESQ-1
 
 

 関連記事:
 「ENSONIQ Mirage (DSK-8) ~「幻想」ではない、黎明期サンプラーのローコスト…
 「ENSONIQ Mirage DMS-8 ~ラックになったミラージュ[1985年頃]
 
 
 

内部構成について

 同時発音数は基本的に8音。音源はウェーブ・メモリー方式であり、32のマルチサンプル波形+シンセ波形を内蔵した3DCO仕様のオシレーター部となっています。1ボイス当たり3つのデジタル波形オシレーターを持っていて、各オシレーターには自由に波形を割り当てることが可能です。
 
 
 フィルターは1つだけですが、DCAは1~4、LFO1~3、ENV1~4(※ENV4のみやや特殊で独立している)となっており、これは当時のデジタル・シンセとしてはなかなか贅沢な仕様でした。LFO1~3およびENV1~3は、いずれのオシレーターからでもアサインできます。
 
 
 面白いのが、LFOには、“HUMAN”といって周期的に(かつ人間的なランダム性を持った)うねりを出せるものも選択可能となっていて、斬新かつアナログ的なサウンドをクリエイトできるという触れ込みでした。
 
 
 なお音色は内部メモリーに40音色、外部カートリッジを使えばさらに80音色がストア可能となっています。
 
 
 

操作性について

 40文字×2行の16セグメント「蛍光ディスプレイ」を採用。なおディスプレイの上下には、それぞれ5個づつ(計10個)のスイッチが配され、表示された機能や音色などを一発選択することができます。特にこれはライブ時の音色変更に有効ですね。視認性も高く、暗いステージ上でもばっちり見えます。
 
 
 80年代中頃のシンセサイザーは内部マイコンによるデジタル化が進んでいた時代であり、より多くの機能を詰め込んだ結果、1つのボタンに複数の働きを持たせるのが主流でした。結果、階層が深くなったり操作が難しくなったりして、正直ちょっと使いにくかったものです。
 
 
 本機ESQ-1の各ファンクション・スイッチはそれぞれ独立しており、ちょっとしたエディットも分かりやすくスピーディーに行えるのがいい点ですね。もちろんライブ時でも誤操作を減らせる便利設計となっています。
 

ENSONIQ ESQ-1(advertisement)
ENSONIQ ESQ-1/(株)ハモンドスズキ 雑誌広告より画像引用
 
 
 

シーケンサーについて

 ESQ-1では、8トラック・マルチ・メモリーが可能なシーケンサー機能を内蔵しています。本機のセールスポイントですね! 本体のみで約2,400音(外部カートリッジを使えば最大10,000音)のメモリーができ、各トラックはそれぞれ8音ポリとなっています。
 
 
 なお標準メモリーでの2,400音というのは実際あまり多くなく、外部記憶はカセットテープに行うというのが一般でした。また、同社のサンプラー「Mirage」につなげてデータをフロッピーディスクに保存なんてこともできたそうです。Mirageを持っている人にとっては大きなアドバンテージだったと言えますね。
 
 
 入力はリアルタイムで行い(ステップは確か不可だった)、各トラックのオーバーダブ、パンチイン/アウト、イレース、クオンタイズなどの編集も行えます。8トラック・レコーダー感覚で使えたシーケンサーといった感じでしょうか。

 

スポンサーリンク

 

 

個人的つぶやき

 シーケンサー内蔵・“ワークステーション型シンセサイザー”の元祖といえば、KORGのM1や、Roland D-20あたりが思い浮かばれますが、両機はいずれも1988年発売の製品ですね。ESQ-1はその2年も前に世に出ていたのですが、いまいち人々の記憶に残らなかったという印象でしょうか。。
 
 
 関連記事:
 「KORG M1 ~【前編】世界中で記録的大ヒットしたワークステーションタイプ…
 「Roland D-20 ~オールインワン・シンセのはしりとなった、シーケンサー内蔵…
 
 
 当時、日本でも(株)ハモンドスズキがエンソニックの代理店をやっていたので、それほど特殊な購入ルートという感じでもなかったのですが、海外のよく分からないメーカーが作った(初の)シンセということもあり、発売当初から手を出した日本人ユーザーは少なかったかもしれません。。価格もそれほど高価ではなく、機能も当時としては結構充実していたと思うのですけどねぇ。。

 

ENSONIQ ESQ-1 logo
ESQ-1のロゴ。どう読むのか理解できなかった。。


仕様
■鍵盤:61鍵(ベロシティ対応)
■最大同時発音数:8音
■音源:ウェーブ・メモリー方式(1ボイス当たり3DCO)
■構成:OSC1/2/3、FILTER、DCA1/2/3/4、LFO1/2/3、ENV1/2/3/4
■シーケンサー・トラック数:8(各8音ポリ)
■メモリー容量:2,400音(カートリッジ仕様時は10,000音)
■外形寸法:980(W)×90(H)×340(D)mm
■重量:12.7kg
■発売当時の価格:268,000円
■発売開始年:1986~87年頃

 

関連記事および広告

関連記事および広告


-ENSONIQ, 楽器・機材【Vol.〇〇】