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E-mu 楽器・機材【Vol.〇〇】

【Vol.155】E-mu Emulator III(EIII) ~イミュレーター・シリーズの3代目[1988年頃]

2018/11/25

 

 

 今回はE-mu Systemsの「Emulator III」というサンプラーをご紹介してみます。日本国内での発売は1988年頃、販売価格は2,800,000円でした。

 

E-mu Emulator III

 

 プロの現場でのベストセラー機「Emulator II」の後継機であり、様々な機能がグレードアップされた内容になっています。それにしても筐体の大柄感はEmulator IIと似たりよったりですねぇ。。
 
 
 

概要

 E-mu Systemsのイミュレーター・シリーズの3代目。1987年頃にEmulator IIが生産終了となったタイミングで(本国アメリカで)リリースされ、翌年日本にも上陸。1990年頃まで製造されました。Emulator IIが正統進化したという感じであり、ステレオ・サンプリングなども可能となっています。
 
 
 外観はEmulator IIに近く、広々としたトップパネルに配されている決して多くはないボタン・スライダー類の配置も、前モデルに近い印象ですね。
 
 
 

メモリ容量について

 メモリー容量は4Mバイト(最大拡張時は8Mバイト)と、Emulator IIから大幅アップしていますね。サンプリングレートは最高で「16ビット/44.1kHz」であり、これはCD音質にまで上がったことになります。サンプリングタイムは、23.6秒(44.1kHz/ステレオ)~67.6秒(31kHz/モノラル)と、初代Emulatorの2秒に比べたら格段の向上を見せています。技術の進歩ってすごいですね。。
 
 
 

補足・サンプリング性能について

 本機では16ビット・リニアのA/Dコンバーターを採用しており、録音時のサンプリング周波数は44.1kHzと31kHzの2つのレートから選べます。なおこのレートはサンプリング後からでも変更可能であり、その場合は7~50kHzという広い範囲で変更できるそうです。
 
 
 

外部記憶メディアについて

 本機のFDDは3.5インチとなっていて、Emulator I/IIの5.25インチから変更となっています。3.5インチ2DDだと最大容量は720KBなので、4Mバイトをフルに使ったサンプルをフロッピーに(分割)保存するとなると、実質6~7枚必要になるという感じでしょうか。
 
 
 ただし本機では40Mバイトものハードディスク(→当時は大容量)を内蔵していたので、作った(もしくは買った)サンプルはどんどん本体に溜め込んでいけるというメリットがありました。

 

 

 

モジュールについて

 本機では音作りの機能が6個のモジュール(セクション)に分かれており、フロントパネル右半分には各モジュールごとに1個づつボタンが配されています。各ボタンを押すことで対応するモジュールを呼び出し、マスター・コントロール・セクションで必要な作業を行うというスタイルになっています。
 
 
 ちなみに本機でのサンプル・エディット・パラメーター(つまりはシンセサイズ部)ですが、アナログのVCF、VCAが採用されています。音作りの流れも、「サンプルを組み合わせる」→「VCFを通す」→「VCA」→「OUTPUTへ送る」というアナログシンセに近い構成になっています。
 
 
 

シーケンサーについて

 Emulator IIにも8トラックのデジタル・シーケンサーを内蔵していたのですが、本機では16トラックに倍増しています。リアルタイム/ステップに対応し、入力後に細かなエディット(コピー、イレース、カット&ペースト等)を行うことができます。
 
 
 

SCSI装備!

 本機は、パソコンでもよく使われた当時の高速データ転送統一規格・「SCSI(スカジー)」に対応しており、リアパネルにSCSI端子を標準装備しています。このSCSIポートと外部ハードディスク、CD-ROMなどのストレージ・ドライブを接続し、大容量のサンプルを扱うことを可能にしました。
 
 
 

個人的おもひで

 これも僕の楽器屋時代に長いこと中古在庫として置かれていて、20年以上経った今でも、個人的に非常に見慣れた一台となっています。とにかくバカでかくてやたらと重かったことだけ記憶しています。
 
 
 あと本体背面には内部冷却用のファンが付いていて、電源を入れたらその瞬間からずっと回ってたんですよね。。店内が無音でも、本機の微かな扇風機音だけが室内に響いていた記憶があります。
 
 
 
 関連記事(Emulatorシリーズ):
 「E-mu Emulator ~普及型サンプリング・マシン(でも数百万円)[1981年頃]
 「E-mu Emulator II ~80年代中期を代表する世界的サンプラー[1984年]
 「E-mu EIIIxp ~EmulatorIIIをラック化したハイコスパ・モデル[1993年頃]
 

仕様
■鍵盤数:61(ベロシティ、アフタータッチ付き)
■サンプリング・フォーマット:16ビット・リニア
■サンプリング周波数:44.1kHz、31kHz
■内蔵メモリー:4MB ※8MBまで拡張可能
■サンプリング・タイム:23.6秒(44.1kHz/ステレオ)~67.6秒(31kHz/モノラル)
■外部記憶装置:3.5インチFDD×1基、40MBハードディスク内蔵
■外形寸法:1029(W)×168(H)×472(D)mm
■発売当時の価格:2,800,000円
■発売開始年:1987~88年頃

 

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