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E-mu 楽器・機材【Vol.〇〇】

【Vol.154】E-mu Emulator II ~80年代中期を代表する世界的サンプラー[1984年]

2018/05/07

 今回ご紹介するマシンはE-mu Systemsの「Emulator II」というサンプラーです。発売時期は1984年。日本での販売価格は2,980,000円でした。80年代に世界中の数多くの現場で使われたサンプリング・マシンであり、国内では坂本龍一氏、小室哲哉氏らが愛用していました。

 

E-mu Emulator II

 

 価格は前バージョンであるEmulator Iとほぼ変わっていないのですが、大幅なスペック向上が図られています。Emulator Iとの比較を交え展開してみましょう。
 
 
 

外観について

 非常に大柄、かつ結構な重量級という筐体は前バージョンの印象とあまり変わっていないですね。ただし鍵盤数が61鍵に増えていたり(→Emulator Iでは49鍵)、フロッピー・ディスク・ドライブ部が筐体から突出していたりと、もちろん外観は全然違います。
 
 
 Emulator Iでは手前のパネルに集約されていた操作子が、広々としたトップパネルに余裕を持って配されているので操作性は向上していると思います。
 
 
 

メモリ容量

 最大同時発音数は8音。メモリー容量が512KBと、Emulator Iの128KBから4倍に増えてます! またこのメモリーはのちに1MBまで拡張することができました。サンプリングレートは「8ビット/27kHz」であり、この部分はEmulator Iと変わっていないのですが、前述した「1MB」まで増設することにより最大サンプリングタイムが17.6秒間と飛躍的に長くなりました。
 
 
 また、のちには20MBのハードディスクの内蔵に対応し、大容量のサンプル(もしくはライブラリー)を、ディスクの入れ替えなしで本体内に保存可能となっています。
 
 
 

シンセサイザー機能の充実

 Emulator Iでは弱かった(もしくは無かった)シンセサイズ機能が大幅に強化されています。まずVCF(アナログ・ローパス・フィルター)が搭載されました(カットオフ・フリケンシーとレゾナンスも付いています)。他にもエンベロープ・ジェネレーターも装備し、パネル上には独立したADSRのスライダーが配されています。あとLFOも付いてますね。
 
 
 これらフィルターとLFOを各ボイスに実装し、エンベロープ・ジェネレーターでADSRを調節できることから、シンセサイザーのような積極的な音作りも可能になりました。思えばEmulator I(の初期型の一部ロット)ではVCAすら実装してなかったですからね。。かなり音作りの幅が広がったのではないでしょうか。
 
 
 また、Emulator Iでは後期型(の一部ロット)にのみ装備されたMIDIは、本機では標準で搭載されています。MIDI情報もディスクに書き込めるみたいですね。

 

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外部記憶メディアについて

 本体には5.25インチ(2DD)フロッピー・ディスク・ドライブを2基搭載していて(→1基はシステム・ディスク用、もう1基は音色データ・ディスク用)、市販の様々な音色ライブラリーを追加することができました。
 
 
 なお本機で使えるディスクはEmulator用にフォーマットしたものが必要となるそうです。ちなみにEmulator IとIIは(ついでにIIIも)、機種間のディスクの互換性はなかったみたいですね。
 
 
 

その他

 デジタル・シーケンサー(8トラック)を内蔵しており、最大8パートのマルチティンバー演奏に対応します。また外部インターフェースにはSMPTE(→同期信号)やRS422端子(→シリアル転送のインターフェイス仕様の一つ)を装備し、Macintoshと接続して波形編集を行うこともできたそうです。
 
 
 

まとめ的な

 このようにサンプリング・タイム、シンセサイズ部は大幅な向上が見られますが、音質的には「8ビット/27kHz」のいわゆる “ロービット・ローファイ”であり、ザラついた質感のキャラクターとなっています。
 
 
 当時の水準から見ても決して最高水準ではなかった本機のサンプリング性能ですが、この独特の質感はのちにヒップホップ・ミュージシャンが愛用する(同社の)「SP-1200」などの基礎になったとも言え、本機が与えた影響は大きかったものと思われます。
 
 
 
 関連記事(Emulatorシリーズ):
 「E-mu Emulator ~普及型サンプリング・マシン(でも数百万円)[1981年頃]
 「E-mu Emulator III(EIII) ~イミュレーター・シリーズの3代目[1988年頃]
 「E-mu EIIIxp ~EmulatorIIIをラック化したハイコスパ・モデル[1993年頃]
 

仕様
■鍵盤数:61(ベロシティ付き)
■最大同時発音数:8音
■サンプリングレート:8ビット/27kHz
■メモリー:512KB ※のちに1MBまで拡張
■パート数:8
■シーケンサー:8トラック
■ソング数:1
■外部記憶装置:5.25インチFDD×2基 搭載
■外形寸法:1032(W)×235(H)×475(D)mm
■発売当時の価格:2,980,000円
■発売開始年:1984年

 

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