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1970~80年代' Roland 楽器・機材【Vol.〇〇】

【Vol.143】Roland MK-60 ~ローランド・Rhodesの64鍵モデル[1989年]

2018/11/25

 

 

 今回紹介するキーボードは、ローランドが1989年に発表した「Rhodes MK-60」です。ローランドがRhodesの商標を取得し、MK-80と同時に最初に発売したいわゆる「ローランド・ローズ」の中の一モデルです。定価は198,000円でした。

 

Roland Rhodes MK-60

 
 なお姉妹機であるMK-80は、本ブログ記事の機材紹介の第1回目で取り扱っているんですね。。Rhodesブランドの遍歴や当時の時代背景などを簡単に記していますので、もしよろしければそちらも読んでみてください。
 
 関連記事:「【Vol.1】Roland MK-80(88鍵) ~ローランドが作った“デジタル”Rhodes [1989年]
 
 
 MK-80の記事は僕の個人的な感想(回顧録)中心だったので、今回(MK-60)はスペック的な部分にもちょっと触れてみたいと思います。
 
 
 なおMK-80とMK-60はパネル・デザインが大きく異なります(→MK-60にはスライダーがなくノブになっている。またLCD画面は無い)。また音源方式も微妙に異なります。
 
 
 そういったこともあり機能的にも若干の違いはあるのですが、決定的に異なるのはほぼ鍵盤数だけと言ってもいいくらいなので、MK-80と同じような心構えで読み進めて頂ければ幸いです。
 
 
 

音源部について

 MK-80では「アジャスタブル SA方式」なのですが、MK-60では「SA方式」という音源になっています。SA(Structured Adaptive Synthesis)方式といえば、同社の当時(80年代後半頃)のデジタル・ピアノに採用されていた代表的な音源方式ですね。RD-1000なんかはその代表と言えるかもしれません。
 
 
 関連記事:「Roland RD-1000 ~ローランドのデジタルピアノ・RDの源流[1986年]
 
 
 

音色(プリセット)について

 4種のRhodes系トーン(CLASSIC、SPECIAL、BLEND、CONTEMPORARY)および、PIANO1、PIANO2、CLAVI、VIBRAPHONEを足した、計8種類の音色を内蔵しています。
 
 
 「CLASSIC」はオーソドックスな響きの音色、「SPECIAL」はダイノマイ寄りのサウンド、「CONTEMPORARY」はややシンセっぽい響きの音色といった感じです。いずれも “デジタルにしてみたローズ”といった趣きのデジタル音であり、本家のサウンドとは全く別物といった感じでした。
 
 
 なお、これらのプリセット音は、内部パラメーターでカスタマイズ(→トーンバーとピックアップとの距離変更や、ハンマーの材質変更など)ができたりしました。また自然なうねりを表現するため、音域によってチューニングをずらす「ストレッチ(調律曲線)・チューニング」を装備しています。ここら辺りは、デジタルでありながらRhodesブランドを背負った使命感みたいなものを感じさせますね。。
 
 
 余談ですが本機のRhodeサウンドの開発には、Rhodesピアノの生みの親であるハロルド・ローズさん(1910-2000)もアドバイスをされたとのことです。

 

 

 

鍵盤数について

 前述したように本機では64鍵盤となっています。なおパネル上の「OCTAVE SHIFT」のUP/DOWNスイッチでオクターブ変更が可能となっているので、頑張れば広い鍵域での演奏も可能です。
 
 
 

内蔵エフェクターについて

 フェイザー、コーラス、トレモロ、EQの全4種のエフェクターを内蔵しています。トレモロに関してはRATEとDEPTHが独立したノブになっているので、エレピならではの直感的なトレモロ・ワークも実現してくれます。
 
 
 

つぶやき

 88鍵のMK-80と同時発売された本機なのですが、何故64鍵という今見ても珍しい鍵盤数が採用されたのでしょうか。Rhodesといえば73、88鍵のモデルが一般的で、64鍵なんてのはなかったと記憶しています(→ちなみにモデルによっては37鍵、49鍵、54鍵というのもあった)
 
 
 そこで、何気なく部屋に置いてある自前の「ウーリッツァー200」を見てみたらこれも64鍵じゃないですか! なるほど、ちょっと分かってきたような気がしますよ。。
 
 
 多分ローランドさんは、当時の一般的なシンセ鍵盤数に合わせて本当は61鍵を出したかったのだと推測します。でも61鍵でRhodesというのも違和感があったので、「エレピのもう一つの雄」であるウーリッツァーの64鍵に合わせてみたのではないでしょうか。
 
 
 “ピアノの代用”としては61鍵は無理がありますが、“エレピ”だったら64鍵でもイケることをウーリッツァーが体現してましたからね。まあ僕の適当な推測に過ぎないのですが。。
 
 
 
 関連記事(ローランドRhodes)
 「Roland MK-80(88鍵) ~ローランドが作った“デジタル”Rhodes [1989年]
 「Roland Rhodes Model 660 ~これは “ローズ”なのか!?[1989年頃]
 

仕様
■鍵盤数:64鍵
■音源:SA方式
■最大同時発音数:16音(※CLAVI、CONTEMPORARYは10音)
■エフェクト:フェイザー、コーラス、トレモロ、イコライザー
外形寸法:1091(W)× 475(D)× 154(H)mm
■重量:27kg
■発売当時の価格:198,000円(税別)
■発売開始年:1989年末頃

 

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