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【ショルダーキーボード】 その他メーカー 楽器・機材【Vol.〇〇】

【Vol.137】Lync LN-4/Jan Hammer SIGNATURE EDITION ~ヤン・ハマー・モデル[1988年]

2018/11/25

 

 

 今回ご紹介する機材は、Lync(リンク)という会社が1988年に発売したショルダー・キーボード「LN-4」および「Jan Hammer SIGNATURE EDITION」です。
 
 Lyncのショルダー・キーボードといえばヤン・ハマー(※1)が使っていたモデルとして有名であり、「Jan Hammer SIGNATURE EDITION」はその名の通り彼の名前を冠したモデルとなっています。とはいえ、シグネチャー・モデルの方も内容的にはLN-4とほぼ同じなのでまとめて紹介してみたいと思います。
 
 
 

LN-4の概要

 49鍵、標準スケール鍵盤を搭載したMIDIショルダー・キーボード。価格は198,000円。ボディカラーはブラック、レッド、ブルーの3色展開でした。なお乾電池による駆動はできません。

 

Lync LN-4


 
 本機では本体(LN-4)と音源の間に、MIDIパッチベイと電源供給を兼ねた1Uのパワー・ディストリビューター(LP-4)をはさんで使用することになっています。これは「Jan Hammer SIGNATURE EDITION」でも同様ですね。ちなみに本体と前述のパワー・ディストリビューター・ユニットの間は、MIDIケーブルではなくXLR端子(キャノン)を採用しています。
 
 
 

LN-4の基本仕様

 ベロシティおよびアフタータッチ対応。本機では4系統の音源を独立してコントロール可能となっています。

・4ゾーン(4マルチチャンネル)のコントロールが可能
・マスタープログラム数が64
・4チャンネルのMIDIパッチャーとMIDIミキサーを装備

 
 本体パネル上には8つのプログラム・チェンジ・ボタンが整然と並べられているのですが、そのうちの「1~4」を4つのMIDI OUTのオン/オフに使うことが可能になっています。音色を4つのゾーンに分け、それぞれどのMIDI OUTから出力するかを設定できたりもして、様々なMIDI機器を集中制御できたりもします。なおベロシティ・カーブも8つから選ぶことができます。
 
 
 

LN-4のコントローラー部

 ネック部分には「ピッチベンド・ホイール」「モジュレーション・ホイール」の2つホイール、およびプログラム・チェンジ情報送信用の2つのボタン(アップ/ダウン)が装備されています。
 
 
 この2系統のホイールは「(左手の)人差し指と中指」で操作するようになっていて、後述するシグネチャー・エディションのそれとは異なっています。なお初期設定では、このピッチベンドは手前に引っ張るとアップするようになっています(逆に設定することも可能)
 
 
 本体部には、ボリューム・コントローラーの脇に「HOLD」スイッチも配されています。これはその名の通り音を保持するボタンなのですが、ネック部分にないため、慣れないとちょっと使いにくいかもしれませんね。。

 

 

 

「Jan Hammer SIGNATURE EDITION」での相違点

 ほとんどの基本仕様は共通していますが、価格は248,000円となっており、ボディカラーはブラック、ブルーの2色になっています(→レッドは無い)。またスイッチ類等のデザインも若干異なっており、ヤン・ハマーのサインも書き加えられています。

 

Lync Jan Hammer SIGNATURE EDITION


 
 LN-4との最大の相違点は「左手でグリップした時に操作する2系統のホイールが、親指で操作するように位置している」ことです。これによりあのヤン・ハマーの独特のベンディング奏法が完全再現可能になるかもしれません。
 
 
 

個人的かんそう

 本機は、外部MIDI機器の制御に優れていたという印象でしょうか。MIDIスイッチャーやMIDIミキサー(4チャンネル)によって4つのゾーンのコントロールが可能であり、それまではセパレート・アウトボードを使わなくてはいけなかったケースでも、本体のみでコントロールできるという便利な設計でした。とはいえ今見るとなかなかの高額商品ですね。。
 
 ちなみに個人的に操作したことがあるのは同社の「LN-1000」であり、これはまた別の記事にまとめておきました。
 
 関連記事:「Lync LN-1000 ~ちょっと珍しいLync社製ショルダーキーボード[1990年]
 
 
 
 
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※1 ヤン・ハマー(Jan Hammer) …ショルダーキーボード(のピッチベンド)を駆使し、本物のディストーション・ギターのようなソロを弾くことで有名。1984年にアメリカのTVドラマ『マイアミ・バイス』の音楽を担当し、同ドラマのテーマ曲も非常に有名。グラミー賞も何度か受賞している。
 

仕様(LN-4)
■鍵盤:49鍵(ベロシティ/アフター・タッチ対応)
■キーボードゾーン数:4ゾーン
■マスター・プログラム数:64
■MIDIスイッチャー:4×16
■MIDIパッチャー:4チャンネル
■MIDIミキサー:4チャンネル
■ベロシティカーブ:8種類
■ホイール:ピッチベンド、モジュレーション
■電源:115/230V AC
■発売当時の価格:198,000円  ※「Jan Hammer SIGNATURE EDITION」は248,000円
■発売年:1988年

 

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