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KAWAI 楽器・機材【Vol.〇〇】

【Vol.135】KAWAI K3 ~デジタル・ウェイブ・メモリー・シンセサイザー[1986年]

2018/03/09

 今回紹介するシンセサイザーは、1986年に河合楽器から発売された「KAWAI K3」です。発売価格は198,000円。同社において “カワイ”ブランドが冠された初めてのシンセサイザーであり、アナログシンセ→デジタルシンセ移行期の時代に独特の音源方式を採用した、ちょっと変わり種のシンセでもありました。

 

KAWAI K3
 
 
 

音源部について(デジタル・ウェイブ・メモリー音源方式)

 本機では “デジタル・ウェイブ・メモリー音源”という方式を採用しています。これは、自然界の様々な音を128倍音まで解析・合成して音源とする方式で、いわゆる倍音加算方式(※1)と捉えられています。
 
 
 K3本体内には、デジタル解析した楽器音(→デジタル音源波形)をプリセットで32種類搭載。各波形は128の(整数)倍音で構成されており、2系統のオシレーター(OSC1/2)に32波形から各々好みの波形を選択することで自由な音作りが広がるというものでした。

 

KAWAI K3(advertisement)
K3/(株)河合楽器製作所 雑誌広告より画像引用
 
 
 

ユーザー音源波形書き込み機能について

 上記の32個のプリセット波形に加え、ユーザー独自の波形を書き込むことができる「ユーザー音源波形書き込み機能」なるものが搭載されています。これは簡単に言うと、ユーザーが128の倍音の中から32種を選んで、新しい倍音構成の波形(=新しい音色)を作り出すことができるというものです。
 
 
 K3では音源部で既に倍音構成を作ることができたので、(アナログシンセ感覚で)VCF、VCAで好みの音にシェイプすることが可能です。ちなみにオシレータは安定が売りのデジタル(DCO)ですが、フィルターとアンプはアナログですね。この辺りは、当時のアナログ⇒デジタルの過渡期的な時代背景が見え隠れします。
 
 
 なお本体左上にはカートリッジ用の空きスロットが用意されており、作った波形をそのカートリッジにセーブし、自分のライブラリーを増やしていくことも可能でした。
 
 
 

鍵盤について

 61鍵盤であり、イニシャルタッチとアフタータッチに対応しています。アフタータッチで音量・モジュレーションなどが変化するというのは当たり前なのですが、K3が独特なのは、OSC1とOSC2のミックスバランスをアフタータッチでコントロールできるところです。この辺りは当時としてはよくできていると思います。

 

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内蔵コーラスについて

 音色ごとに効果をプログラムできる可変ステレオ・コーラスを搭載しています(→コーラスやレスリー効果など全7種)
 
 
 

メモリーカートリッジについて

 僕の記憶が確かならば、K3本体にメモリーカートリッジが1個付属されていたと思います。このカートリッジ(KAWAI RC-2)に、50種類のサウンドデータおよび1種類のユーザー波形データをメモリーすることができました。またそのカートリッジは単体発売もしていたので(→6,500円)、ライブラリー拡張の際に便利だったと思われます。
 
 
 なお音色メモリーは、インターナル(×50)とカートリッジ(×50)で計100種類が用意されており、メモリー・リンク機能(※2)でワンタッチの音色切り替えも可能となっています。
 
 
 

つぶやき的な

 本機でちょっと意外なのが、モジュレーション・ホイールが装備されていないところなんですよね。。アフタータッチは充実してるので、モジュレーションはそっちでやってくれということでしょうか。ポルタメントやオート・ベンド機能は搭載しているので、その他のコントロールは割と充実していると思います。
 
 
 あとボタン類がシーケンシャル・サーキッツの「Prophet-2000」(1985年)みたいでちょっと押しにくいです。ボタン面が防水加工みたいなフラットな構造になっていて、80年代中頃はこういった近未来を匂わせるデザインが確かに流行りました。これはこれでかっこよかったんですよね、当時は。。
 
 
 
 関連記事(カワイKシリーズ):
 「KAWAI K5 ~ARTS音源搭載の3-Dデジタルシンセ[1987年]
 「KAWAI K5000W ~Advanced Additive音源搭載のワークステーション・シンセ
 
 
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※1…倍音加算方式
一定の周波数を持つサイン波を重ねて音色を合成する、シンセサイザーの音源方式の一つ。

※2…メモリー・リンク機能
音色プログラムの順番を31までメモリーすることができ、LINKボタンを押すことで、記憶した順番通りに音色プログラムを呼び出すことができるというもの。ライブ時に有効。

仕様
■鍵盤数:61鍵(イニシャルタッチ/アフタータッチ付き)
■最大同時発音数:6音
■プログラム:インターナル(50音色メモリー)、カートリッジ(50音色メモリー)、プログラム・リンク(最大32)
■外形寸法:964(W)×118(H)×373(D)mm
■重量:15kg
■発売当時の価格:198,000円
■発売開始年:1986年

 

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