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ENSONIQ 楽器・機材【Vol.〇〇】

【Vol.122】ENSONIQ KS-32 本格ピアノタッチ・76鍵シンセサイザー[1992年]

2018/11/25

 

 

 今回ご紹介する鍵盤はENSONIQ(エンソニック)の「KS-32」です。発売は1992年。同社の「SD-1」のシンセサイザー部を持ち、76鍵の本格ピアノ・アクション鍵盤を採用。シーケンサーやエフェクターなども内蔵し、当時最高峰のワークステーションとして多くの愛好家を生みました。

 

ENSONIQ KS-32
 
 
 

音について

 内蔵メモリー容量は3MBであり、ピアノだけで約1MBを使用しているそうです。これは、1992年当時の水準から見ればかなりの贅沢な容量といえます。新たにサンプリングされたピアノ波形などを含め、インターナルで180サウンド、RAMで100サウンドを備えていました。最大同時発音数は32音で、ピアノの演奏性としてもさほど支障をきたさないと言えるでしょう。
 
 
 

鍵盤タッチについて

 ウェイト・アクション鍵盤を採用しており、本格的なピアノ・フィール・タッチを味わうことができます。
 
 
 なおこのKS-32の(直系の)後継機に相当するのは「KT-76(88)」という機種なのですが、個人的にはKS-32のタッチの方が好きでした。本機も何のきっかけか忘れましたが一度バラしたことがあって中を確認したのですが、特に変わったハンマーアクション構造ではなかったことを記憶しています。
 
 
 関連記事:「ENSONIQ KT76/KT88 ~本格ピアノ鍵盤搭載のエンソニック・シンセ[1994年]
 
 
 

シンセサイズについて

 同社の「SD-1」を踏襲したものであり、豊富に用意されたPCM波形にフィルターをかけて音作りを行うという当時の主流に則った方式です。なおSD-1では、音色の最小単位である「サウンド」に同時に6音まで割り当てることができましたが、本機では3音に制限されています。
 
 そうはいっても、内蔵されている基本的なプリセット音色のクオリティが(当時としては)高く、シンセサイズ部について不満を漏らすユーザーもあまりいなかったと記憶しています。
 
 
 また、エンソニック独自のトランスウェーブ(→倍音構成が変化していく)も用意され、PCM系シンセサイザーとしては珍しいポルタメントがかけられるのも本機の特徴の一つです。

 

 

 

シーケンサー部

 16トラックであり、30ソング、8,500音までメモリーできます(→別売りのシーケンサー・エクスパンダーSQX-70を装着すれば58,000音まで拡張可)
 
 
 なおFDDは搭載しておらず、SMFにも対応していません。実際、本機のシーケンサーで曲作りをしているという話は当時あまり聞きませんでした。とはいえこのシーケンサーにはバッテリー・バックアップが装備されていて、前回の作業からすぐに再開できるといった利点もあります。
 
 
 またライブでの使用を考えた際、ステージ上でのシーケンス・データが瞬時に出せるというのは便利だったと思います。フロッピーディスクの入れ替えとかって面倒でしたよねぇ。。
 
 
 

まとめ的な

 当時、日本製のシンセサイザー(マスターキーボード)で76鍵の本格的ピアノ・タッチのものはほぼ皆無であり、KS-32は、ライブ時のステージ・ピアノとして使用していたキーボーディスト御用達といった感じでした。クラシック曲でもない限り88鍵が絶対必要な曲というのも少ないですし、76鍵になった分サイズや重量が減ってくれれば、ライブ・キーボーディストにとってはうれしいです。実際、KS-32は22kg余りと当時としては比較的軽量でした。
 
 
 関連記事:「ピアノ演奏に88鍵は必須なのか? ~73鍵でも弾ける曲がどれだけあるかを本気で検証
 
 
 あと、やはりエンソニックといえば “ライブで抜けてくる音”が特徴であり、本機でもその音の良さを味わうことができます。ヘッドフォンやミニ・スピーカーでは真価は分かりにくいので、ぜひライブで大音量で鳴らしてみて頂きたいところであります。
 
 
 

つぶやき的な

 本機は一般にワークステーション(オールインワン・シンセサイザー)という分野にカテゴライズされるのですが、鍵盤の出来があまりにも良いため、僕は長年ステージピアノのカテゴリーだと思い続けていました。。シーケンサーやエフェクターも内蔵していたのですね。。
 
 
 ちなみに末尾の「32」は同時発音数のことを指していると見て間違いないのですが、国内定価もジャスト「32万円」なんですね。。当時のエンソニックジャパンさん狙ってやったのか。。
 
 

仕様
■鍵盤:76鍵ウェイト・アクション・キーボード
■ウェーブ・フォーム:168種類(3MB、16ビット・ウェーブ・メモリー)
■最大同時発音数:32音
■エフェクト:13アルゴリズム(エンソニック・カスタム24ビット・デジタル・シグナル・プロセッサー採用)
■シーケンサー:16トラック、分解能96(4分音符当たり)
■シーケンス容量:70シーケンス/30ソング、8,500音メモリー(58,000音まで拡張可能)
■外形寸法:1257(W)×114(H)×353(D)mm
■重量:22.2kg
■発売当時の価格:320,000円
■発売開始年:1992年

 

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