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KAWAI 楽器・機材【Vol.〇〇】

【Vol.116】KAWAI Q-80 ~カワイのシーケンサー専用機[1988年]

2018/03/09

 今回ご紹介する機材はKAWAIの「Q-80」という単体シーケンサーです。発売は1988年で、価格は69,800円。32トラックを備え、本体メモリは26,000音。3.5’FDD(2DD)を搭載しています。

 

KAWAI Q-80

 
 このようなシーケンサー専用機(単体のハード)は、その後シンセサイザーに統合されたり、PCのシーケンス・ソフトに取って変わられ、次第に姿を消していきました。まずは1980年代後半のシーケンサー市場を簡単に記してみましょう。
 
 
 

はじめに・シーケンサー専用機の “当たり年”だった1988年

 80年代後半はハードウェア・シーケンサーが急速に発展・普及した時代であり、多くのメーカーから様々なシーケンサー専用機がリリースされました。その中でも「YAMAHA QXシリーズ」と「Roland MCシリーズ」が2強みたいな感じで多くのユーザーを獲得していました。 
 
 
 YAMAHA QX3(158,000円)やRoland MC-500(155,000円)はプロ・ユース機として多くのスタジオで使われていましたが、一般的な音楽愛好家には “まだちょっと高価”という印象でした。
 
 関連記事:「Roland MC-500 ~ソフトウェアで機能が変わるMIDIシーケンサー否、コンピューター[1986年]
 
 
 そして1988年、ヤマハからQX5FD、ローランドからMC-300、カワイからはQ-80が、「3.5インチFDDを装備して、10万円以下」という高性能・低価格な商品として発売されました。それまでヤマハ・ローランドの陰に隠れていた印象のKAWAIのシーケンサーですが、Q-80の評価は高く、市場に新たな流れを作りました。この年は、シーケンサー専用機が最も盛り上がった年といえるかもしれません。

 

KAWAI Q-80(advertisement)
KAWAI Q-80/(株)河合楽器製作所 雑誌広告より画像引用

 

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Q-80の主な特徴

32トラック装備!

 当時のシーケンサーとしては破格の「独立32トラック」を装備していて、もちろん32トラック同時発音が可能です。なおQ-80では1つのトラックに異なったMIDIチャンネルのデータを混在することはできないため、トラック・ナンバーとMIDIチャンネルは最初に決めておく必要があります(→1chのデータはトラック1に記憶するといった感じで)。
 
 
 32トラックのメリットとしては、エディット時のバックアップとしての用途がまず考えられます。MIDIチャンネルを16chフルに使った場合(=16トラック)、空きの16トラックにデータをコピーしてエディットします。もし失敗した場合でも元データがあるので簡単に復元可能ですね。
 
 
 また、同パートでもいくつかのテイクを録音しておき、再生中のトラックのON/OFFができることを利用し、どのテイクがよいかを聴き比べたりもできますね。こういったこともトラック数に余裕があるからこその使い方だと思います。
 
 
 なおバックアップ・バッテリーを内蔵しているので、電源を入れればすぐに続きの作業が行えますし、不意の電源消失(停電等)にも安心という親切設計です。
 
 
 

「モチーフ」について

 32トラックとは別に、「モチーフ」という別のメモリー・エリアも搭載しています。モチーフとは1ソングごとに100個までメモリーできる “パターン”のことで、各トラックに自由に挿入できるというものです。ドラム・マシンのパターンなど、モチーフの組み合わせでほぼ一曲できそうな感じです。なおモチーフは他のトラックと同様にリアルタイム/ステップで行え、最大99小節まで録音可能です。
 
 例えば、ソング中に繰り返し出てくるフレーズは、一旦モチーフに録音してトラックに挿入した方が簡単ですし、メモリーの節約にもなります。
 
 
 

アクティブ・クオンタイズ機能について

 クオンタイズとはそもそも、リアルアイム入力でばらつきが出てしまった演奏データを、16分音符などの単位でタイミングを揃えてくれるという機能です。
 
 
 本機のアクティブ・クオンタイズ機能では、「指定した範囲においてクオンタイズしない」といったことが行えます。例えば、ジャストに近い音符はクオンタイズせずに、ジャストから離れた音符はクオンタイズする(→ジャストに近付ける)といったことも可能です。これにより、演奏の微妙なノリやニュアンスを残しつつクオンタイズをかけるといった効果が期待できます。
 
 
 

つぶやき的な

 このように機能的にも充実していたQ-80ですが、定価69,800円という、当時としては驚きの低価格で発売され注目されました。僕の知人にもQ-80の熱心なユーザーがいましたが、当時上記のような使いやすさを熱く語ってくれたことを思い出します。。
 
 

仕様
■インターナル:10ソング、26,000ノート
■トラック数:32
■モチーフ数:100
■ディスク:3.5インチ(2DD)
■テンポ:♩=40~250  ■レゾリューション:♩=1/96
■入力方法:リアルタイム、ステップ(MIDIキーボードまたはフロントパネル)、パンチ・イン/アウト
■外形寸法:390(W)×66(H)×232(D)mm
■重量:2.2kg(乾電池除く)
■発売当時の価格:69,800円
■発売開始年:1988年

 

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