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1970~80年代'' YAMAHA 楽器・機材【Vol.〇〇】

【Vol.100】YAMAHA RX11/RX15 ~普及型リズム・マシンのさきがけ[1984年]

2019/04/21

 

 

 さて本ブログ・機材紹介コーナーの(一応)記念すべき第100回目は、1984年にヤマハから発売されたリズム・マシン「RX11」および「RX15」を取り上げてみます。当時はドラム・マシンに “より生ドラムらしさ”が求められていた時勢であり、本機はその流れに乗ろうとPCM音源を採用しています。
 
 

YAMAHA RX11/RX15(advertisement)
RX11, RX15/ヤマハ(株) 雑誌広告より画像引用
 
 
 
 ちなみにRoland TR-909もほぼ同時期の発売だったのですが、そちらは “生ドラムのリアリティ”の観点においては評価が低く、当初はゴミみたいな扱いを受けていたらしいです。今だったら考えられませんね。。
 
 
 話をRXに戻しましょう。RX11/RX15の発売はほぼ同時期(1984年夏頃)でありデザインもほぼ同じなので、まとめて紹介してみたいと思います。なおRX11の方が上位機種なので、パッド(ボタン)の数も4個ほど多いです。まずはRX11から。
 
 
 

RX11の概要

YAMAHA RX11

 

音源部

 ドラム系(スネア、バスドラム、リムショット、ハイハットオープン/クローズ等)の音色を29種類搭載しており、スネアだけで8種類あります。これは本機に256kビットROMチップ×6基を装備していることにより実現したスペックで、今見ると全然なんてことないのですが(→というかよく分からない)、当時としてはかなりの本格派だったそうです。
 
 
 なお当時はFM音源全盛の時代でしたが、FM合成によるドラム音色は、「リアルさ」を追求した場合どうしたって本物っぽくはなりませんでした。そこでRXシリーズではPCM音源を採用しています。
 
 

データ入力

 リアルタイム入力/ステップ入力に対応しており、最大音符分解能は1/192。楽器別に32ステップでプログラムできるインストレベル、アクセントレベルや、パンも設定可能でした(→ソングごとにメモリーも可)。
 
 

データ保存

 本体内に100パターン、10ソングまでメモリー可能(ソング内最大パターン数は255)。別売りのRAMカートリッジにデータを記憶することもできました。
 
 

パラレル・アウトプット!

 ステレオ出力(L/R)に加え、楽器ごとに独立した10のアウトプット端子を備えています(→つまり全12チャンネル)。この辺りのアウトプット・アサインは割と自由にできるので、エフェクトをかけたくない(かける必要のない)音はL/Rに全てまとめることで、ミキサー側で使用するチャンネルも少なくて済みますね。

 

 

 

RX15の場合

YAMAHA RX15

 
以下はRX11との相違点です。
 
■内蔵音色数:15音色(※RX11は29音色)
■パラレル・アウトプット:なし(L/Rのみ)
■価格:79,800円(※RX11は148,000円)
 
 
 

つぶやき的な

 80年代初頭の “生ドラムをサンプリングしたリズム・マシン”といえば「LINN Drum」(→リン・ドラム。今でもたまに坂本龍一が使っているのを見かける)という海外製品が代表的で、価格も50万円ほどしていた高級機です。
 
 
 RX15の場合だと実売約8万円であり、アマチュアでも割と気軽に手に入れられる価格帯になってきたという感じですね。ちなみにコストパフォーマンスの高さからか、RX11よりもRX15の方が売れたみたいです。
 
 
 

余談的な

 80年代では、同社のQX(シーケンサー)やTX(音源モジュール)、DX7なども併せて購入し、「ヤマハ・セット」で固めているミュージシャンも多く見受けられました。さらにはパソコンまでCX(※いわゆるMSXパソコン)というネーミングで出てたりして、当時のヤマハさんの “末尾Xの機材で一式揃えようね”戦略は、なかなかのものだったと思います(笑)
 
 
 
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仕様
■音源方式:PCM(RX11…256kビットROM×6、 RX15…256kビットROM×4)
■プリセット音色数:29音色(RX11)、15音色(RX15)

■外形寸法:400(W)×68(H)×270(D)mm  ※RX11、RX15共通
■重量:3.1kg(RX11)、2.8kg(RX15)
■価格:148,000円(RX11)、79,800(RX15)
■発売開始年:1984年

 

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