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1990年代' Roland 楽器・機材【Vol.〇〇】

【Vol.98】Roland JV-1010 ~GM音源も内蔵したハーフラック・音源モジュール[1999年]

2019/01/19

 

 

 今回は1999年にローランドから発売された音源モジュール「JV-1010」についてご紹介してみます。JV-80(1992年)から長きにわたって、数多くの品番がリリースされたJVシリーズですが、本機JV-1010が(現在のところ)最後のJVシリーズとなっています。

 

Roland JV-1010

 

 なお本機と同時にXP-30も発売されていますね。そしてXPシリーズもそれを最後に終了しています。「XP&JVのコンセプトではこれがラストだからね!」といった感じで、最後に打ち上げた花火といったところでしょうか。。
 
 
 

概要

 RolandのJVシリーズといえばおおむね「音源モジュール(+鍵盤)」の形態を取っており、JV-1000を除きシーケンサーを内蔵したモデルはありませんでした。本機JV-1010は、(DTM用音源モジュールを除いては)同社初のハーフラック・シンセ・モジュールになっていて、価格とサイズを抑えた非常にコンパクトな一台に仕上がっています。
 

Roland JV-1010
 
 
 

音(音源部)について

 JV-2080のプリセット・パッチA~Eバンクを標準装備していました。JV-2080は2Uサイズであり、その多くのパッチが本機・JV-1010のハーフラックに収まっており、非常にスッキリ感がありますね。
 
 
 最大同時発音数は64音で、コンピューターとシリアルケーブル1本で接続できる端子も装備しているので、DTM音源としても使うことができます。この辺りの仕様は同時期のSC-88Proと近い感じですね(サイズ感といい。。)
 
 
 さらに本機では、同社のエクスパンション・ボードの一つである「SR-JV80-09 "Session"」の波形およびパッチをオンボードで内蔵しています。「SR-JV80-09 "Session"」といえば、汎用性の高い様々なジャンルで使われる音をまんべんなく収録している感じのボードですね。“とりあえず拡張するんだったらこの一枚”といった感じで選ばれていたと思われます。なおボード単体での価格は25,000円でした。
 
 
 総プリセット数は「パッチ」が 895、「パフォーマンス」が64、リズムセットが18です。さすがにJV初期のモデルと比べると飛躍的に増えています!
 
 
 関連記事:「Roland SR-JV80-01~06 ~90年代ローランドのエキパン!(その1・初期製品モデル)
 
 
 

操作性について

 表示部は3桁のLED(7セグメント)と簡単なモード表示のみであり、本体だけで内部パラメーターを細かくエディットするにはかなりの熟練が必要になってきます。一応、VOLUMEノブを押しながらVALUEノブを押すことでエディット・モードに入ることができ、CATEGORY/BANKノブでパラメーターなどをエディット可能となります。

 

 

 

拡張性について

 音色拡張ボード「SR-JV-80シリーズ」用の空きスロットを1基用意しています。 これによりプリセットの895に加え、最大1,151パッチという大容量のサウンドを扱うことができます。
 
 
 

個人的かんそう

 これはのちに発売される「XV-2020」(2002年)と外観およびハード設計がよく似ていますね(→色は異なるが、外寸・重量はほぼ全く同じ)
 
 関連記事:「Roland XV-2020 ~ハーフラック音源モジュールの最終形?[2002年]
 
 
 ただしXV-2020では最初から無償エディターがバンドルされてたり、フロントパネルにUSBジャックなどが配されていて、コンピューターとの連携がより強固になっている印象です。1999年発売のJV-1010と、2002年発売のXV-2020。この3年間は急速に一般家庭にパソコンが普及した時期でもあり、電子楽器にとってもある意味転換期だったのかもしれません。
 
 
 本機をDTM向け音源として見ればSC-88Proあたりの専用機には敵わなかったわけですし、シンセサイザーと見ればエディットの難解さの壁にぶち当たってしまうでしょう。。そこで、本機ではいっそのことGM音源も排し、「ほぼプレイバック専用音源モジュール」として、個性的な音色をもっと搭載しておけば、より個性が発揮できた一台になったのでは、、と個人的には思ったりします。
 
 
 JV-1010はどちらかというと、「手軽にJVの音源を持ち歩きたい」「コンパクトで、かつ大容量の音源を足したい」というサブ的な使われ方をされていたイメージが強いですね。そのコンパクトさ・接続の手軽さを生かし、ライブ用として持ち歩くには今でも使える機会はあると思います。
 
 
 
 関連記事(ローランドJVシリーズ):
 「Roland JV-80 ~エキパン「SR-JV80シリーズ」搭載可能の初シンセ[1992年]
 「Roland JV-90 ~JV-1000からシーケンサー部を除いた76鍵シンセ[1993年]
 「Roland JV-35 ~コスパの高かったローランド・JVシンセの一つ[1994年]
 「Roland JV-1000 ~二つの心臓を持ったモンスター・シンセ[1993年]
 「Roland JV-1080 ~90年代の人気音源モジュール(前編)[1994年]
 

仕様
■最大同時発音数:64
■プリセット・メモリー:パッチ895、パフォーマンス64、リズムセット18
 ユーザー・メモリー:パッチ128、パフォーマンス32、リズムセット2

■内蔵エフェクト:マルチエフェクト40種、コーラス1種、リバーブ1種(8タイプ)
■外形寸法:218(W)×45(H)×237(D)mm
■重量:1.4kg(ACアダプタ除く)
■価格:57,800円(税抜)
■発売開始年:1999年

 

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