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CASIO 楽器・機材【Vol.〇〇】

【Vol.46】CASIO サンプルトーン SK-1 ~爆発的ヒットを記録したサンプリング・キーボード[1985年]

2018/11/24

 

 

 今回ご紹介する鍵盤は、CASIOの「SK-1」です。発売は1985年。

 

CASIO SK-1

 
 この機種が面白いところは、定価が16,000円と超低価格なサンプリング機能付き鍵盤だったこと、史上最も売れたサンプリング・キーボードであること、そしてその割にいまいち知名度が低いこと、などです(最後は個人的所感です)。どんなものだったかちょっと見てみましょう。
 
 
 

どんな楽器なの?

 32鍵ミニ鍵盤採用、4音ポリフォニック、サンプリング・レートは9.3kHz、最大サンプリングタイムは1.4秒(8bit PCM)。電池駆動も可能なので、気軽に持ち出して遊べるサンプリング・キーボードといった趣きですね。
 
 またプリセット8音色のうち、ピアノやトランペットなど5音色はPCM音源方式を採用しています。
 

CASIO SK-1(改造済)
改造を施したSK-1(Five Gさんにて撮影)
 
 
 

サンプリングの操作は?

 SK-1のサンプリングは実に簡単で、サンプリング・キーを押し、内蔵マイクに向かって音を鳴らせば、本体側が自動で感知しサンプリングを始めてくれる「オート・トリガー機能」を備えています。
 
もちろん外部のマイクやライン入力からもサンプリングできる入力端子も装備しています。

 

 

 

他の機能は?

 エンベロープのパターンを13種揃えており、変化させたいエンベロープと対応した黒鍵を押すだけで、元の音が指定のエンベロープに変わります。
 
 
 またサンプリング機能と並んでSK-1がこの価格帯で初めて実現したものに、「倍音合成機能」があります。これは基音に対して9種の倍音をそれぞれ14段階のレベルで加えることができるもので、先のエンベロープを組み合わせることにより、シンセサイザーらしい様々な音色を作り出すことが可能となっています。
 

CASIO SK-1(advertisement)
SK-1, SK-200 /カシオ計算機(株) 雑誌広告より画像引用
 
 
 

MIDIは?

 残念ながらMIDI端子は標準では付いていません。とはいえ、翌86年には、専用のMIDIインターフェイス「バイテック MIDI之助」がモリダイラ楽器から発売されています。これで手持ちのMIDIキーボードをプラスしたり、シーケンサーでコントロール可能となるわけですね。
 

バイテック MIDI之助(CASIO SK-1)

 
 ただし「MIDI之助」取り付けの際はSK-1本体の改造が必要だったため、“対策済みSK-1”とセットにして29,800円で売られることになりました。本体の倍近くの価格になってしまいましたが、それでも当時の一般的なサンプラーが20~30万円くらいしたことを考えると超安といえますね。
 
 
 

実機を見たい!

 売れに売れた機種なので、現在でもヤフオク等で多くのSK-1が出品されています。落札価格は状態等にもよりますが3,000円前後ですね。案外YMOとか好きだった職場のおじさんが今でも持ってるかもしれません(笑)
 
 
 なお、東京・世田谷にある「樫尾俊雄 発明記念館」にも本機は展示されています。こちらはカシオ製の鍵盤楽器の他、同社の年代モノの大型電卓等も展示されているので、メカ好きの人にはたまらないかもしれません。予約をすれば見学もできるそうなので、興味のある方は訪れてみてはいかがでしょうか(実機を触らせてくれるかは不明ですが。。)
 
 
 

おまけ情報

 2015年6月2日放送のTV番組『モヤモヤさまぁ~ず2』(テレビ東京)でも紹介されていましたね。上記の施設にさまぁ~ずと狩野アナが訪れ、実際にSK-1で三村さんの声をサンプリングして遊んでいます。
 
 

仕様
■鍵盤:32鍵(ミニ鍵盤)
■プリセット:PCM5音色(ピアノ、ブラスアンサンブル、トランペット、シンセドラム、ヒューマンボイス)
       倍音合成音3音色(フルート、パイプオルガン、ジャズオルガン)
■最大同時発音数:4音
■エフェクト:ビブラート、ポルタメント
■エンベロープ・セレクト:13種類
■オートリズム:11リズム
■外形寸法:461(W)×44(H)×155(D)mm
■重量:1.2kg(単3乾電池5本含む)
■発売当時の価格:16,000円
■発売開始年:1985年

 

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