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ENSONIQ 楽器・機材【Vol.〇〇】

【Vol.39】ENSONIQ TS-10 ~ワークステーション、だけどライブに良し![1993年]

2018/03/08

 今回ご紹介する鍵盤はENSONIQ(エンソニック)の「TS-10」です。発売は1993年。同社の「SD-1」の上位機種にあたり、当時のエンソニック・ワークステーション・シンセサイザーのラインナップ中、最上位に位置する機種でした。

 

ENSONIQ TS-10


 
 
 これ僕も勤務している楽器屋で遊び倒していました。当時の国産シンセサイザーにはない、存在感のある「エグい」音色群が強く印象に残っています。コクンと落ちる独特の鍵盤タッチも好きでした。
 

 この機種、ワークステーション(シーケンサーも内蔵)だったんですね、割と最近知りました。ではざっと特徴を見てみましょう。
 
 
 

音について

 硬くてヌケのいい、“いい時代の” エンソニックの音が出ます。波形はPCM方式であり、それをフィルター→アンプで作っていくという当時の主流に則っています。
 
 
 音作りの基本単位は「サウンド」と呼ばれ、1サウンドは最大6ボイスから構成されます。この辺りは国産シンセとも似ていますね。また、レイヤーやスプリットなどのサウンドの組み合わせは「プリセット」と呼ばれています。
 
 
 なお、内蔵の2MBのSIMMメモリーに、同社のサンプラー(ASR-10,EPS-16)のサンプリング・サウンドを読み込んでそれを音色プログラムに取り入れることが可能だそうです。エンソニックのサンプリング・ライブラリーといえば当時多く出回っていましたし、それら資産を引き継げるのは大きなメリットですね。
 
 
 

ディスプレイについて

 視認性の高い「蛍光ディスプレイ」が採用されています(40字×2段)。これはOberheimのXpanderみたいな感じのものを想像して頂いてよいですが、電子ゲーム世代のお父さんにとっては「FL管」と言った方がピンとくるかもしれません(笑)
 

ENSONIQ TS-10 panel


 
 当時のシンセのディスプレイはLCDが主流でしたが(→照度がいまいち低いものもあった)、この蛍光管では暗いステージなどで非常に明るく灯ってくれます。ちなみに蛍光管での1文字は16セグメントからなり、慣れれば問題なく読めましたよ。
 
ちなみに16セグメントというのは以下のようなもの。↓

16seg

電卓とかで主に使われるのは7セグメントですね。
 
 
 

斬新な音色チェンジのシステム

サウンドとプリセットは、バンクセットごとにさらに10個のバンクに分かれています。
 
 ディスプレイには常に現在のバンク内の “6つの音色名”(サウンド or プリセット)が同時に表示されています。演奏者は表示された音色名を見て、弾きたい音色のところにあるボタンを押すことで、音色が切り替わります。
 
 これは、曲ごとに使う音色を同一のバンクに集約しておけば、あとは切り替えをする(ボタンを押す)だけで音色チェンジが行えます。これは当時斬新かつ便利でしたね。

 

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ちょっと残念な

 61鍵盤にしては約16.8kgと非常に重いです。あとせっかくFDDが装備されているのですが、スタンダードMIDIファイルには対応していません(なお、Version3.0からはGM対応になった)。
 
 
 

まとめ的な

 音の存在感があり(→音ヌケがいい)、演奏者のためのユーザー・インターフェイスも充実していたので、“シンセサイザーを演奏する”プレイヤーにとっては非常によい機種だったと思います。リアルタイム操作性が高く、ライブ向けといえますね。
 
 
 当時の販売価格は、他の国産ワークステーションの相場からすれば高めに設定されており、決して初心者が手に取りやすいものではなかったですが、それだけの価値はあったのかもしれません。とにかくこの頃のエンソニックは音がいいですよ! 中古品等で見かけ、もし音が出る状態であればとりあえず弾いてみてください。
 
なお、本機の76鍵バージョンである「TS-12」も別途記事にしてみました。ご参考までに。
 
 
 関連記事:「ENSONIQ TS-12 ~TS-10の76鍵ピアノ・タッチ仕様[1994年]
 

仕様
■鍵盤:61鍵(プログラマブル・ベロシティ、プレッシャー・センシティビティ対応)
■ウェーブ・フォーム:254種類(6MB)
■最大同時発音数:32音(12パート・マルチティンバー)
■エフェクト:24ビット・カスタムDSP(73アルゴリズム)
■シーケンサー:分解能96、標準30,000音メモリー可能
■シーケンサー最大同時発音数:31音
■インターナル・メモリー:300プログラム/300パフォーマンス
■外形寸法:1025.5(W)×101.6(H)×368.3(D)mm
■重量:16.78kg
■発売当時の価格:348,000円
■発売開始年:1993年

 

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